今年の世界経済フォーラム年次総会がダボスで開催され、世界がますます複雑化・分断化するさまざまな側面と、世界のリーダーがどう対応すべきかを探ります。
この会合は、技術の進歩が仕事の未来をめぐる意見の分かれる議論を引き起こすなかで開催されます。テクノロジー主導の世界の労働市場の変化は、既存の不平等を拡大させ、包摂的な成長という目標から私たちをさらに遠ざけるのでしょうか。それとも、自動化や機械学習の進歩によって人間の潜在能力が解き放たれ、より崇高な目標を追求できるようになるのでしょうか。
経済に関する、より多くの、そしてよりタイムリーなデータに前例のないほどアクセスできるようになれば、意見が分かれがちな議論を、共通理解や協働による解決策につながる確かな事実に基づいて進められると期待しています。行政の労働市場データなど、従来は別々に扱われてきたデータ源を、LinkedInなどのデジタルプラットフォームから得られる新たなデータと組み合わせることで、労働市場の現状と新たな傾向を、はるかに包括的かつリアルタイムに把握できます。
デジタルで捉える世界の労働市場
LinkedInでは、世界の労働市場をデジタルで表現したものを構築しました。私たちが「経済グラフ」と呼ぶこの仕組みにより、採用率、雇用主が求めるスキル、国内外における人材の移動について理解し、知見を共有できます。
世界の労働力を構成するすべての人に経済的な機会を創出するという自社のビジョンを実現するために最善の方法の一つは、政策立案者にこうした知見を提供することだと考えています。そうすれば、労働市場を運営する際に、データに基づくタイムリーで十分な情報に裏打ちされた的確な意思決定が可能になります。

私たちはパートナーが経済グラフを活用し、私たち全員が直面する新たな課題に取り組めるよう支援しています。私たちは今、第4次産業革命を迎えています。一方で、経済グラフは、昔から存在する課題の解決にも役立ちます。
政策立案者、組織、労働市場を悩ませる、根深いジェンダー格差を考えてみましょう。世界経済フォーラムとの協力のもと、LinkedInはさまざまな業界で、女性がキャリアの各段階でどのような障壁に直面しているか、また採用から上級管理職に至るまで、キャリアのどの段階で遅れが生じているかを調査してきました。昨年の世界ジェンダー格差報告書に示されたこうした知見は、不公正な採用慣行から昇進における潜在的な偏見まで、構造的な問題がどこで生じるかを理解する助けとなります。そして、意思決定者が連携してこうした課題に取り組むよう促します。
「スキル・ゲノム」を描き出す
フォーラムは最近、LinkedInのデータを世界人材報告書に活用しました。同報告書は、各国が経済的価値を創出するために、労働力の知識やスキルへの投資と活用をどれだけ効果的に行っているかを評価し、順位付けしています。5万種類のスキルの需給に関する独自のデータを用いて、さまざまな大学の学位課程について、時系列で「スキル・ゲノム」を作成しました。これにより、異なる学位課程に共通するスキルや、専攻分野を問わず最も重要な横断的スキルをより深く理解できます。成長の著しい分野で特に需要の高いスキルを把握することで、政策立案者は労働力の育成をどのように支援し、人材資本を伸ばすべきか、より適切な判断を下せます。

これまで労働市場データは、月次、四半期ごと、年次、あるいはそれより少ない頻度で収集されてきました。そのため、過去に起きたことを振り返るには役立ちますが、現在何が起きているかを理解するにはあまり役立ちませんでした。LinkedInなど、よりリアルタイム性の高いデータ源を活用すれば、労働市場の構造や変化を、これまでにない新たな方法で理解できます。
経済グラフを通じて労働市場の変化をリアルタイムに分析すると、その変化の性質をより深く把握できます。背景にある要因や、ほかに変化を促す要素、将来に及ぼしうる影響、そしてその結果として今後予想されることを知ることができます。

