「生涯にわたる絆は、日々の何気ない瞬間に育まれます」と、アニカ・サーリッコは書いている。フィンランドの家族・社会サービス相である彼女は、父親に育児休業の取得を促すキャンペーンでこう述べている。
彼女によれば、数十年に及ぶ職業人生の中で、育児休業が占めるのはほんの短い期間にすぎない。フィンランドのメディア全体で展開されているこのキャンペーンには、頑丈な体格の建設作業員が、赤ちゃんを乗せた手押し車を楽しそうに押す姿が描かれている。
男女平等で羨望を集めるフィンランドの評判を考えれば、このようなキャンペーンは意外に思えるかもしれない。実際、フィンランドは、分析対象となった144カ国のうち男女平等度が3番目に高い国と、つい先ごろ評価された。「世界男女格差報告書2017」による評価だ。
しかし、こうした積極的な取り組みと、父親であることの重要性を一貫して伝えるメッセージが、フィンランドを独自の位置へと導いた。先進国の中で、学齢期の子どもと過ごす時間が母親より父親のほうが長い唯一の国なのだ。
OECDの報告書「男女平等の実現に向けて」によると、フィンランドの父親は、学齢期の子どもと過ごす時間が母親より1日平均8分長い。8分は大した差ではないように思えるかもしれない。しかし、フィンランドでは母親も父親もフルタイムで働く傾向にあり、育児を分担していることを示している。
下の図では、男女それぞれが毎日育児に費やす時間を示している。四角は男性、丸は女性を表し、四角が丸より上に位置するのはフィンランドだけだ。
この図はまた、フィンランドでは母親も父親も通常フルタイムで働いているため、学齢期の子どもと過ごす時間が1日あたり比較的短いことも示している。さらに、フィンランドを含むすべての国で、就学前の子どもの育児の大半を今も女性が担っている。

権利と意識
親が育児休業を取得する権利、そしてその休業が有給かどうかは、全体像を左右する重要な要素だ。
フィンランドでは、政府が父親に9週間の育児休業を認めており、その間は給与の70%が支給される。一方、母親の休業期間は約4カ月だ。さらに、夫婦は追加で5カ月を超える有給の育児休業を分け合うことができる。育児休業期間が終わった後も、親のどちらか一方は子どもが3歳の誕生日を迎えるまで月額528ドルを受け取りながら自宅で過ごし、その後同じ仕事に復帰する権利がある。
しかし、次の図が示すように、制度上認められていることよりも、社会の意識のほうが重要かもしれない。
日本と韓国では、父親は仕事を丸1年間休むことが認められている。意外ではないかもしれないが、キャリアに響くことを恐れ、実際に取得する人は少ない。
対照的に、北欧諸国では父親の40%が育児休業を取得しているとOECDは述べている。フィンランドだけを見ると、有給休業を取得する父親の割合は2006年から2013年の間に倍増し、現在は80%に達している。
こうして、より多くの父親に休業を利用してもらうためのフィンランドのキャンペーンに話が戻る。
「父親も子どもの世話をし、そうする意欲も能力もあるのだと、次の世代に示す時です」と締めくくるのは、サーリッコだ。フィンランドは、男女平等の実現に必要な社会意識の変化を促そうと、積極的に取り組んでいる。



