調査によると、米国の大学生の17%は秋学期に復学する予定がありません。
雇用市場の活況や費用の上昇が、大学を中退する理由として挙げられています。
学費や日々の生活費を払えないという学生もいれば、起業したいという学生もいます。
米国政府は「パンデミックによる被害に対処する」ため、低所得の学生も対象に含む、対象を絞った債務救済策を計画していると発表しました。
教育を受けることは未来へのパスポートだと言われます。しかしパンデミック以降、米国では大学に通うより、人生から学ぶ道を選ぶ学生が増えているようです。
では、なぜ米国で高等教育をやめる学生が増えているのでしょうか。新たなデータによると、活況を呈する雇用市場や費用の上昇が理由かもしれません。
17%の大学在籍学生が、今学期の終了後に大学を中退すると答えています。教育情報サイトIntelligent.comの調査によるものです。
2023年に卒業予定の学部生1,250人を対象とした調査では、さらに19%が、この秋に大学へ戻るかどうか分からないと答えました。
調査対象の学生のうち、46%は現在在籍する大学に戻る予定で、残る18%は別の大学に移る予定です。
雇用の急増が学生を引きつける
米国では労働者の需要が高く、今学期の終了後に大学を中退する学生の31%は、仕事を見つけるためだと答えています。
さらに31%は、何を学びたいのか分からないため大学をやめると答えています。
こうした学生は、「本当に望んでいるか分からない学位に時間とお金を注ぐのをやめ、仕事が見つかりやすいうちに職を探す」ことを決めるかもしれないと、Intelligent.comは示唆しています。
生活費の上昇を理由に大学へ戻らないと答えた学生は29%に上ります。調査の執筆者によると、学生は「インフレのため、日々の生活費を払えない」としています。
中退のその他の主な理由には、心身の健康問題、学費を払えないこと、大学生活に対する新型コロナウイルス感染症の影響などがあります。
オンラインで学ぶ学生は、対面授業またはその両方を受講する学生に比べて、今学期の終了後に大学を中退すると答える可能性が「やや高い」とされています。
起業を目指す学生も
大学をやめる学生の28%は、起業を目指しています。こうした若い起業家は、「マーク・ザッカーバーグやビル・ゲイツのような有名な大学中退者の足跡をたどる」つもりだと、Intelligent.comは示唆しています。
大学をやめる学生のさらに26%は、フルタイムで働き始める予定です。
大学を中退する学生の中には、コンピューター・プログラミングのブートキャンプや職業訓練校など、別の方法で学び続ける予定の人もいます。
復学するか、しないか
この秋に大学をやめる学生の大半は、いつか学位を取得するために戻るかもしれないと考えています。調査対象の学生の36%は、その可能性が「非常に高い」と答えました。
大学を中退する予定の学生のさらに3分の1は、大学に戻る可能性が「ある程度高い」と答えました。残りの学生は復学を考えていません。
米国の雇用市場はなぜこれほど好調なのか
6月末時点で、米国の求人は1,070万件あり、失業者1人当たりの求人は1.8件でした。米労働省の最新雇用データに関するロイターの報道によるものです。
BBCによると、米国の失業率は「50年来の低水準近くで推移」しており、パンデミック開始時に失われた米国の2,200万件の雇用はすべて回復しました。
3月には、米国の雇用主が過去最多の求人を出し、求人は1,150万件に達する一方、450万人が仕事を辞めたと、ニュースサイトのUS Newsは伝えています。
物価上昇が学生を圧迫
同時に、物価の上昇によって、大学生が学費を払うことが難しくなっています。
大学や短期大学は、授業料やその他の費用を引き上げており、住居費や食事プランなどの費用も約2%から5%近く上昇していると、NBC Newsが公表し、教育ジャーナリズム団体The Hechinger Reportがまとめた分析は示しています。
燃料、食料、住居の価格上昇により、6月の米国のインフレ率は40年ぶりの高水準となる9.1%に達したと、BBCは伝えています。
米国の中央銀行である連邦準備制度理事会(FRB)は、借入コストに当たる金利を引き上げて物価上昇を抑えようとしており、金利は3月以降、4回引き上げられています。
学生にとって金利の上昇は、学生ローンなどの金融商品の費用も増えることを意味します。8月、バイデン大統領は、3段階からなる債務救済策を発表し、「パンデミックによる被害に対処する」ため、低・中所得の借り手を対象に学生ローンの債務1万ドルを免除する計画などを盛り込みました。





