今日、中小企業が直面する課題の一つは、大企業の競合他社と同等の顧客体験を提供することだ。しかし、大企業に影響を及ぼしているデジタル化による破壊的変化と広範なイノベーションは、中小企業の競争力を高めることにもつながる。
今年、NFIB中小企業楽観度指数は、「今後3~6カ月以内に設備投資を計画している中小企業経営者の割合が、2006年以来の最高水準に達した」と報告した。中小企業経営者は、機械やテクノロジーのアップグレードへの投資に前向きだという。
しかし、新興テクノロジーをめぐる専門用語は難解に感じられ、その可能性を見えにくくすることがある。
事業の業績と顧客体験全体の向上を目指し、経営者が投資している新興分野をいくつか紹介する。
クラウド
テクノロジーの進化に伴い、オンラインで処理できる業務が増え、従来のアナログ機器もインターネットやクラウドに接続されるようになっている。世界経済フォーラムによると、「2005年にインターネットに接続されていた機器はわずか5億台だったが、現在は80億台に上る。2030年までには1兆台になると推定されている」。
この増加の一因として、接続機器が家庭からオフィスへと広がっていることが挙げられる。経営者は、こうしたデジタル接続機器の導入により、業務を効率化し、新たな価値を生み出せることを学びつつある。インターネット接続を通じて、機器はアプリやソフトウェアを使って互いに「会話」し、本来の用途を超えた機能を提供する。
その一例が、荷物、小型郵便物、平たい郵便物を発送するためのSendPro Cシリーズだ。オープンプラットフォームとAndroidオペレーティングシステムを搭載し、Google G Suiteなどの協業先によるさまざまなアプリ、分析機能、サービスを提供する。これらは、中小企業経営者を配送や郵送以外の面でも支援する。
アナリティクス
消費者の嗜好が絶えず変化するビジネス環境では、データに基づく洞察が、今日の常時接続された消費者のニーズに応え、顧客を確保する鍵となる。データとアナリティクスを活用すれば、企業は優れた顧客体験を提供し、製品やサービスのイノベーションを支え、業務プロセスを最適化するための体制を整えられる。たとえば、ウェブサイトの訪問履歴や過去の購買履歴から得たデータを使うことで、顧客により的を絞ったマーケティングを行える。
バーチャルアシスタント
会議の予定を組み、メールアカウントを管理できる対話型チャットボットは、特に中小企業にとって、パーソナルコンピューティングの新たな可能性を示している。事務作業の支援を必要としていても、新たに従業員を雇う余裕がない中小企業の経営者にとって、対話型チャットボットは救いとなる可能性がある。
チャットボットは、中小企業の経営者と消費者をつなぐ新たなコミュニケーションチャネルにもなる。電子商取引の自動化や消費者向けサポートを目的に開発されたチャットボット技術は、利用者が企業と迅速かつ直感的にやり取りできる道を開く。現在では、会話の中で商品閲覧から決済まで、オンラインショッピングの全行程を完了できるチャットボットもある。その過程でチャットボットは購買パターンのデータを収集・分析し、将来、消費者により良いサービスを提供できるようにする。
人工知能
人工知能(AI)の導入は、中小企業経営者の業務効率化とコスト削減につながり、とりわけ顧客との関わりやマーケティング活動で効果を発揮する可能性がある。Salesforceの2016年版「Connected Small Business Report」によると、「AIについて、中小企業経営者は、メールが読まれる可能性の高い時間に合わせたメールマーケティングの自動配信(33%)、顧客への自動レコメンデーション(30%)、マーケティング向けの予測オーディエンス(19%)に関心があると答えた」。メールやソーシャルメディアなどのマーケティングと顧客とのコミュニケーションを自動化することで、企業は中核事業に注力しながら、顧客との関係を深められる。
大企業の競合他社が、体験を重視する傾向を強める消費者に合わせて変化するなか、中小企業も遅れを取ってはいない。クラウド、アナリティクス、バーチャルアシスタント、AIなどの新興テクノロジーを取り入れれば、中小企業は競合他社との顧客体験の差を縮められる。

