労働年齢人口の減少、出生率の低下、世界的な失業率の低さを背景に、人材不足は世界的な課題となっています。
AIは、これまで想像もできなかった水準の生産性向上と効率化を可能にしており、AIスキルへの需要は1年間で5倍に増加しました。
ランドスタッドの「人材不足を理解する:AIと公平性に関する報告書」は、AIが性別、世代、障害のある人々の間の公平性の格差に及ぼす影響を検証しています。
人材不足は、今後数十年にわたって職場のあり方を決定づける、構造的かつ世界的な課題です。
世界的な課題のすべてを予測できるわけではありませんが、労働年齢人口の着実な減少に出生率の低下と失業率の低さが重なり、すでに世界各地で深刻な人材不足が生じています。
それを防ぐ万能策はありませんが、その影響を回避できる可能性のある解決策が現れ始めています。
AIは前例のない速さで進化し、これまで想像もできなかった水準の生産性向上と効率化を可能にしています。
組織もこの動きを認識しており、過去1年間でAIスキルへの需要は5倍に増えたと、ランドスタッドの新たな調査は示しています。キャリアを歩み始めた若い人材が、前例のないペースでAIスキルの習得をけん引しており、前年比の伸び率は292%を超えています。
しかし、同じ調査によると、このテクノロジーへのアクセスやスキル習得の機会は、現在、あらゆる人材層に公平に行き渡っていません。
したがって、テクノロジーには労働市場を広げる可能性がある一方、現在の不公平を認識し、積極的に是正しなければ、人材不足をさらに深刻化させることになります。最終的には、業界全体で不足がいっそう拡大するでしょう。
ランドスタッドの最新報告書「人材不足を理解する:AIと公平性に関する報告書」は、1万2,000人の人材を対象に調査を行い、300万件を超える職務プロフィールのデータを分析して、AIが性別、世代、障害のある人々の間の公平性の格差に及ぼす影響を検証しました。
主な調査結果をいくつか紹介します。
AIの研修やスキル習得機会の不平等
データによると、年齢の高い労働者や女性は、職場でAIを利用するためのアクセスや研修を平等に受けられていません。プロフィールにAIスキルを記載している人材を見ると、男性が71%、女性はわずか29%で、男女間には42ポイントの差があります。
テクノロジーへのアクセスにも同じ傾向が表れています。雇用主からAIへのアクセスを提供された女性は3分の1強(35%)で、男性の5分の2(41%)と比べて少ない状況です。
世代間の差を見ると、AIスキル習得の機会を提供されたのは、ベビーブーマー世代ではわずか22%です。X世代は28%、ミレニアル世代は43%、Z世代の労働者は45%でした。
データは、デジタル格差の拡大や不平等の深刻化、人材不足の解消に向けた進展の妨げとなる現実的な脅威を示しています。
AIスキル習得に期待できる理由
性別や世代によってAIテクノロジーに触れる機会に不公平がある一方で、私たちのデータからは前向きな傾向も明らかになっています。
男女間の格差は縮まりつつあるようです。約30年の職務経験がある女性は、AIスキルを持つ人材のわずか21%を占めます。一方、職務経験が1年未満の人に限ると、その割合は34%に上昇します。
また、全般に、障害のある人々は障害のない人々よりもこのテクノロジーに前向きです。このグループの半数以上(55%)が、職場で問題解決のためにAIを利用したことがあり、障害のない人々では39%でした。
職場の公平性をめぐって、障害のある人々はしばしば見過ごされてきました。そのため、これほど積極的に利用し、前向きに捉えていることは、本当に心強いことです。
一方で、研修や導入に関して雇用主にさらなる対応を求める傾向も強く見られます。実際、過半数(57%)が職場の外でAI研修を受けています。この人材層の人材を確保するには、雇用主がこうした要望に応えていく必要があります。
AI導入の公平性を高める4つの方法
格差が縮まり、主要な人口層がAIテクノロジーを活用しているのは喜ばしいことです。しかし、人材不足が深刻な世界では、現れつつある格差を重大な懸念として受け止めるべきです。
世界各地の組織、そしてより広く社会全体が、この不公平に対処するための措置を講じる必要があります。
AIの専門家や、ランドスタッドの従業員主導のビジネス・リソース・グループと協議し、AI導入の公平性を高める4つの方法を特定しました。
スキル習得のあり方を見直す:このテクノロジーは人々にとって難しく感じられることがあるため、組織は迅速にスキルを習得できる機会を提供することが重要です。変化を認識し、受け入れ、支援することで、人材は新たな動向を先取りできます。
可能性と限界を探る:バイアスはAIの最大のリスクの一つです。テクノロジー自体に内在するだけでなく、人材が各種ツールの出力をどう利用し、信頼するかにも影響します。組織はテクノロジーの活用方法を批判的に検討する必要があります。
一人ひとりに合わせたアプローチを取る:組織は、さまざまな人材層が参入する際に直面する障壁を理解するために、真剣に取り組む必要があります。AIに関して、人々が必要または希望するペースでスキルを習得できない理由は多岐にわたります。
連携を促進する:組織、教育機関、そしてより広く社会が連携することで、主要な人口層間のスキル格差を引き続き縮小できます。
AIは、障害のある人材など一部の人口層の格差を縮める力を示していますが、まだ公平に活用されているとは言えません。アクセスの不足が女性や年齢の高い層に悪影響を及ぼしています。
課題への対処を怠れば、格差が広がり、人材不足が深刻化する可能性があります。一方でAIは、生産性の向上と効率化を同時に進め、公平性の格差を埋めることで、この課題に立ち向かう強力な手段となる可能性を秘めています。
世界経済フォーラムは、人工知能のためのガードレールをどのように整備しているのでしょうか。
AIエクセレンス・センターは、人工知能の急速な進化と、それが経済や社会に及ぼす影響を理解するために、分野を超えてリーダーをつなぎます。AI導入に関わる機会、リスク、トレードオフについて、十分な情報に基づく対話を支援しています。
信頼できる場や協働の取り組みを通じて、同センターはパートナーが共通理解を築き、AIの革新と利用に責任ある形で取り組めるよう支援します。
組織や社会が向き合うべき問いは、AIの恩恵やアクセス、研修を、あらゆる人口層に公平に広げるにはどうすればよいか、ということです。
この課題に明確な目的を持って取り組むことは、私たちが必要とする効果的で公平、かつ革新的な労働力の実現につながります。




