マジック・ポニーとアメリカのユニコーン企業:移民はいかにイノベーションを生み出すか

A yellow dandelion grows through wood planks in Zahara de los Atunes, March 18, 2007. REUTERS/Marcelo del Pozo (SPAIN) FOR BEST QUALITY IMAGE ALSO SEE: GM1E87B1BXZ01 - RTR1NNFS
'Why have so many “brilliant minds blossomed in alien soil”?'Image: REUTERS/Marcelo del Pozo
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休暇中に私は『The Undoing Project』を読んだ。マイケル・ルイスによる、読み応えのある新刊だ。イスラエル人心理学者のエイモス・トベルスキーとダニエル・カーネマンの深い関係と、二人が歩んだ素晴らしい道のりが描かれている。彼らの物語には心を動かす出来事が数多くあるが、その一つが、カナダ人のドン・レデルマイヤーとの偶然の出会いと、彼がその後カーネマンと築いた実り多い協力関係だ。二人のブレインストーミングは、抗生物質の処方を減らすことから、関節炎の痛みと天候が関係するという俗説を覆すことまで、幅広い分野で認知バイアスや医学界の定説に挑んだ。

1993年、レデルマイヤーとカーネマンは画期的な研究を発表し、「ピーク・エンドの法則」を実証した。苦痛を伴う行為が、全体的な不快感が長引く場合であっても、最後に少し痛みの弱い形で終われば、人はその苦痛の記憶をより肯定的に捉える。

その後数年の間に、レデルマイヤーとカーネマンはこの重要な知見を、大腸内視鏡検査のような不快な医療処置に応用した。処置の最後をより痛みの少ない形に変えると、患者は再検査を受けることに前向きになった。ほかの研究者たちも二人の卓越した知見を活用し、医療界は今日に至るまで新たな応用法を見いだしている。

2013年の式典で、バラク・オバマ米大統領からダニエル・カーネマンに大統領自由勲章が授与されたImage: REUTERS/Larry Downing

こうしたイノベーションについて特に重要なのは、それを生み出したのが移民だったという事実だ。レデルマイヤーが米国とカナダの間を移り住んだのは北米の研究者によくあることだが、カーネマンの歩みは異なっていた。テルアビブ生まれのカーネマンは、リトアニア人の両親のもとに生まれ、パリで育った。幼少期の多くを、占領下のフランスで逃げながら過ごし、1948年にイスラエルに定住した後、数十年を経て米国に移住した。

優れた人々が移動し、異なる文化が出会い、協力すると、何かが起きる。エリック・ワイナーが指摘するように、それはアインシュタインの「奇跡の年」にも見られる。1905年、スイスからドイツに移った直後に、彼は後世に残る重要な論文を4本発表した。

もっと身近な例では、ハンガリー生まれのデニス・ガボールがドイツから英国に逃れ、インペリアル・カレッジ・ロンドンでホログラフィーを開拓した。これはノーベル物理学賞で認められた業績だ。実際、偉大な学者のうち、かつて留学生や博士研究員だった人は驚くほど多い。1980年以降のノーベル物理学賞・化学賞受賞者のほぼ40%は、外国で働いていた。2016年には、受賞者6人全員がそうだった。

フォーチュン500企業の40%が第一世代または第二世代の移民によって創業されたことや、ユニコーン企業と呼ばれる米国の評価額10億ドル以上のスタートアップの半数以上を、イーロン・マスク、ピーター・ティール、アレクサンダー・アシリーのような移民が創業したことは、偶然ではない。こうしたユニコーン企業の創業者の4分の1は、当初、科学・技術・工学・医学(STEM)またはビジネスを学ぶ学生として米国に来た。卒業後もとどまる留学生の影響は、10億ドル規模のスタートアップにとどまらない。移民の大学卒業者の割合が1パーセントポイント上昇すると、1人当たりの特許数は9~18%増えるため、経済全体に利益がもたらされる。

では、ワイナーの言葉を借りれば、なぜこれほど多くの「優れた頭脳が異国の地で花開いた」のだろうか。

鍵となるのは、移住そのものではなく、異なる背景、文化、国籍を持つ人々――多くの場合、受け入れ国の人々――と共に働く力だ。世界最高峰の大学や企業を動かしているのはこの精神であり、そうした大学や企業は互いに連携していることが多い。国境を越えて協力する科学者は、問題への異なる取り組み方から恩恵を受ける発見や知見を生み出す。思考の過程や視点にも違いがある。

今週のダボス会議を含め、反グローバリゼーションの動きがこれほど話題になる中で、どうすればこの精神をもっと広げられるだろうか。

世界経済フォーラムが、状況に応じた責任あるリーダーシップに焦点を当てる中、市民が国際協力の価値や海外から来る学生の重要性を理解する力を、私たちは過小評価すべきではない。Universities UKの委託によるComResの世論調査では、ブレグジットに投票した人の大半を含む英国人の4分の3が、留学生の数を現在と同じ水準に保つか、さらに増やすことを望んでいる。

世界最高の留学生、卒業生、学者、起業家が地域経済にもたらす効果は、人々に理解され、評価されている。彼らは国内の学生と協力して、価値ある発明を生み出すことも多い。

その一例が、中国人コンピューター科学者のワン・ゼハンだ。彼は、インペリアル・カレッジの英国人同級生ロブ・ビショップと、機械学習と人工知能(AI)を手がける企業マジック・ポニーを創業した。二人は昨年、同社を1億5000万ドルでツイッターに売却し、現在はロンドンにツイッターのグローバルAI研究開発センターを設立している。

急成長中の企業グラビティ・スケッチを支える、メキシコ人、ナイジェリア人、英国人の若いチームにも注目してほしい。ジェームズ・ダイソン財団の支援を受けた彼らは、スマートフォンを持つ誰もが工業デザイナーになれるような、世界最先端の3Dスケッチツールを開発している。

インド出身でロンドンを拠点とするデザインエンジニア、マラヴ・サンガヴィは、国際投資家の注目を集めている。開発中の製品には、開発途上国への輸出を予定する超低価格の保育器や、筋肉の形が変化しても義肢を交換せずに済むよう、切断者向けに設計したスマートソケットがある。マラヴは英国の地元人材やインドの人脈と、英国の大学卒業者向け起業家ビザを通じて協力している。この種のビザのように、雇用を生み出す政策のイノベーションがもっと必要だ。

米国が最近、一部のSTEM分野の博士号取得者に対し、博士課程修了後、最長3年間の国内滞在を認めた措置が賢明なのはこのためだ。欧米諸国の指導者が移民政策を見直す際には、カーネマンやマスク、ガボールやワンのような革新的な移民の貢献を、最優先で考えるべきだ。

博士号取得者や大学院修了者の起業家など、彼らのような人々のためのビザが必要だ。また、優れた学者が移動し、自らの「奇跡の年」を迎えられるよう、信頼できる政策決定も必要である。その恩恵は世界全体に及ぶ。

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