アジアの高齢化を強みに変えるテクノロジー活用の3つの方法

Darunee Kamwong, a 72-year-old cleaner, poses for a portrait while working in a rice vermicelli factory outside Bangkok, Thailand, February 5, 2016. The World Bank estimates the working-age population will shrink by 11 percent by 2040, the fastest contraction among Southeast Asia's developing countries. Thailand's stage of economic development, the rising cost of living and education, and a population waiting longer to get married are among the reasons it is ageing more quickly than its neighbours. An effective contraception programme in the 1970s also played a part, said Sutayut Osornprasop, a human development specialist at the World Bank in Thailand. Picture taken February 5, 2016. REUTERS/Jorge Silva TPX IMAGES OF THE DAY
Technology could help many Asian economies weather the oncoming storm of ageing populations.Image: REUTERS/Jorge Silva
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アジアでは急速に高齢化が進んでいる。2020年から2050年にかけて、地域人口に占める65歳以上の高齢者の割合は9.2%から18%へと倍増し、2050年には世界平均の16%を上回る。

発展途上アジアの多くの経済圏は、豊かになる前に高齢化するリスクに直面している。生産年齢人口(15~64歳)が大幅に減少するとともに、現役労働力の高齢化が進む地域もある。香港(中国)と大韓民国では、生産年齢人口が2017年から2030年の間に10%減少する。2015年から2050年にかけて、この地域の労働力の平均年齢は37歳から40歳に上昇すると予測されている。

Image: Statista

急速かつ早期の高齢化により、一部の国では、インフラや人的資本の開発に大規模な投資を行って経済成長を促し続けながら、高齢者に十分な社会サービスや所得支援制度を提供することが難しくなるのではないかとの懸念が高まっている。

急速に高齢化するアジア経済の生産性向上を再び加速させる方法の一つは、テクノロジーを活用することだ。高齢化を経験した先進経済の事例からは、テクノロジーが健康と長寿の向上、仕事や職場の変革に役立つほか、労働者の訓練や、求職者と適切な職務を結び付ける職業紹介サービスの改善を通じて、労働市場の機能を高められることがうかがえる。

このプロセスを促す第一の要因は、医学とバイオテクノロジーの進歩である。これらは長寿と健康寿命に寄与し、より長く健康に働ける期間につながる。例えば、成人男性(55~69歳)の推定就労能力は、1977年から2010年にかけてOECD諸国で平均5.5年伸びた。健康な労働者ほど生産性も高いことが、証拠によって示されている。

第二に、テクノロジーは高齢労働者の労働参加を促し、生産性も高めている。自動化によって仕事のあり方が変わり、人が担う手作業や身体的負担の大きい作業が減少した。この地域での産業用ロボットの導入は、2016年から2020年にかけて120%増加すると予測されている。また、テクノロジーにより企業は柔軟な働き方を導入できる。

第三に、新しいテクノロジーを活用した職業紹介や訓練サービスには、より多くの高齢者を労働力に迎え入れる大きな可能性がある。最新技術を用いた革新的で個別化された双方向型の訓練も、彼らのスキル向上に役立つ。

すでに人口転換を終えた先進経済の経験からは、長寿の恩恵を生かすことは、政策面でより重視し、先を見据えた革新的な措置を講じれば実現可能だと分かる。研究によれば、こうした先進経済の成長は(一部の急成長する中所得経済と比べて)鈍化したものの、持続している。

例えば、EUでは生産年齢人口の割合が2006年から2016年にかけて67%から65%へと縮小し、65歳以上の高齢者は総人口の19%に達した。同じ期間に、EUの成長率は約3%から2%へと鈍化した。

OECD諸国では、通常の退職年齢である65歳を超えた高齢者の就業者が増えている。65~69歳の労働参加率は2006年の20%から2016年には26%へ上昇し、70~74歳でも同期間に12%から15 %へ上昇した。特に、65~69歳の高齢者の就業割合は、ニュージーランドで28%から43%に、オーストラリアで18%から26%に、日本で35%から43%に増加した。

テクノロジーの変化は、現在の退職年齢を超えて働く人々の労働参加と生産性を高める重要な要因である。例えば、自動化と人工知能は労働を補完し、仕事や作業の身体的負担を軽減するとともに、より精密に実行できるようにする。

発展途上アジアは、縮小し高齢化する労働力がもたらす悪影響を克服し、包摂的で持続的な成長に向けて長寿の恩恵を最大限に生かすため、テクノロジーを活用する必要がある。ただし、その恩恵は自動的に得られるものではない。実現に向けた方法を3つ紹介する。

第一に、研究開発に十分な資金を投じ、技術革新とその導入を積極的に促進しなければならない。高齢化のリスクが特に高い地域経済は、革新や高齢化に対応したテクノロジーの導入、生涯学習を推進するために必要な措置を講じるとともに、高齢労働者が働きやすい環境を整えるべきだ。

特に、「グレー・ディバイド」を埋める取り組みは、高齢者それぞれのニーズや懸念に配慮することで強化できる。例えば、日本で使いやすい高齢者向けスマートフォンを提供しているように、高齢者のニーズに合わせてデジタル機器をカスタマイズすれば、デジタル技術を利用しやすくなる。また高齢者は、正式な研修プログラムよりも、家族や友人からの非公式な訓練を通じて新しい技術や機器について学ぶことを好む。

より多くの高齢者に生産的な仕事に従事してもらう第二の方法は、生涯学習の機会を提供し、認知的・非認知的スキルの向上を続けることだ。人的資本を育成し、技術革新と適応を促すための資源を配分しながら、あらゆる年齢の労働者がキャリアを通じて継続的にスキルを高め、新たなスキルを身につける機会を提供することが重要である。

最後の第三の取り組みは、労働者の国境を越えた移動を促進することだ。これは、発展途上アジアの広い範囲で生じている労働力不足やスキルのミスマッチの緩和に役立つ。若く人口の多い国々は、高齢化が進む国々の人口転換を補完できる。

人口構成が異なる経済圏どうしの相互補完の可能性を生かすには、各国が連結性とスキル開発に投資し、労働移動や移住の障壁を減らし、共通の課題に対処するための地域協力を強化する必要がある。

アジアは高齢化しているが、力強く包摂的な成長を続けることができる。高齢者の才能、スキル、経験を生かす形で高齢者層を活用すれば、長寿の恩恵を得られる。

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