女性の権利が後退している。だが待ってほしい、後退を主導しているのは誰か

Protesters take part in the Women's March on London, as they walk from the American Embassy to Trafalgar Square, in central London, Britain January 21, 2017. The march formed part of a worldwide day of action following the election of Donald Trump to U.S. President. REUTERS/Neil Hall - RTSWNZ6
For many women, sexual equality comes second to economic stabilityImage: REUTERS/Neil Hall
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女性の発展と平等を推進する動きは、試練に直面しています。今日の世界で女性の前進を損なう力は、これまでの進歩を持続できるのか、私たちに考えるよう迫っています。しかし、ジェンダー平等を支持する人々には、それを守るための社会的・文化的な力があるのでしょうか。

米国でドナルド・トランプ氏に投票した人々とヒラリー・クリントン氏に投票した人々を比べると、ある傾向が浮かび上がります。この二つのグループは世界を異なる視点で見ており、ジェンダー役割や女性の扱い、権利についての見方も異なります。

最近のピュー・リサーチ・センターの調査によると、トランプ氏に投票した人々の過半数は、多様性が自分たちの生活や国に良い影響をもたらしていない(あるいは悪影響をもたらしている)と考えています。一方、ヒラリー・クリントン氏の投票者の72%は、多様性によって国がより良い場所になったと答えています。

ジェンダー役割の変化や男性らしさの再定義も、こうした考え方に影響しています。ニューヨーク・タイムズによると、米国では、社会において女性より男性であるほうがよい時代だという意見が多数を占めています。女性であるほうが男性であるよりよい時代だと考えているのは、共和党支持の男性だけです。

Image: ピュー・リサーチ・センター

ここでいう権利とは、どのような権利でしょうか。

いわゆる自由世界で、これまでに女性の権利が後退した例としては、世界各地でのリプロダクティブ・ヘルスへの資金削減、家族計画における女性の選択肢を縮小またはなくすとの明言、そして米国の閣僚級ポストにおける女性やマイノリティの著しい過少代表が挙げられます。

進歩の後退は米国に限りません。最近、ロシアでも憂慮すべき事態が起きました。ロシア議会であるドゥーマは、「重大な身体的危害」を与えず、年に1回を超えて起きていない場合、家庭内暴力を非犯罪化する法案を賛成380、反対3で可決しました。クレムリンの報道官は記者団に、家族間のもめ事が「必ずしも家庭内暴力に当たるとは限らない」と述べました。

こうした考え方は、女性の権利を中世にまで引き戻しかねません。

では、何がこの動きを後押ししているのでしょうか。

とりわけ不可解で心を痛めるのは、白人女性の53%が現職の米大統領に投票し、ロシアでは超国家主義の女性議員たちが家庭内暴力法案を支持したことです。

何が起きているのでしょうか。多くの女性にとって、ある種のマズローの欲求階層説が当てはまるのかもしれません。ジェンダー平等よりも、経済的な安定、グローバル化や自動化による雇用喪失、テロの脅威、そして自らのアイデンティティに訴える国家主義的な呼びかけへの懸念のほうが、差し迫った課題となっているのです。

ジェンダー平等や賃金の公平性、セクシュアルハラスメントや屈辱的な扱いがないことは、あれば望ましいものではあっても、経済不安や取り残されているという感覚に直面したとき、不可欠なものとは見なされないのかもしれません。過去のより良い時代への願望や郷愁、つまり「米国を再び偉大にする」という思いには、歴史的に女性と男性が担ってきた性別役割の固定観念に戻ることも含まれているようです。

フランスでは、女性たちは仕事と生活の安定を守るため、マリーヌ・ルペン氏を支持していると述べています。ルペン氏は平等を掲げて選挙運動をしているのではなく、正義と安全を約束しているのだと、モンペリエ大学でフランスの極右政治を研究するニコラ・ルブルグ氏は説明します。「それは、日々の課題に直面する女性たちの心に、より強く響くことがよくあります。」

都市部と農村部の経済格差が、こうした不安や経済的懸念を生むことがあります。社会的なセーフティネットを利用しにくいことが多い女性にとって、この不安は圧倒的な推進力になり得ます。

Image: ロイター/ルーカス・ジャクソン

ヒラリー・クリントン氏の場合、女性が権力を求める姿勢を示すと、男女双方から反発を招くこともあるようです。ハーバード・ケネディ・スクールの研究者らによると、女性政治家が権力を求めていると評されると、男女ともにその女性に対して道徳的な憤り(軽蔑、怒り、嫌悪など)を感じます。

小さな前進

しかし、明るい兆しもあります。リプロダクティブ・ライツなどの後退を受け、世界中の女性たちが結束し、平等の実現を脅かすと見なした米大統領の就任に抗議するため、1月には何百万人もの女性が街頭に繰り出しました。

米大統領選を通じて、行進に参加した人々が目の当たりにしたのは、女性を悪者扱いし、侮辱的で暴力的、差別的な言動をしても、何の報いも受けないどころか、群衆から歓声が上がることさえあるという現実でした。文化的な歯止めのこうした弱まりは、ほかの地域でも起きています。英国では、女性議員の過半数が、一般市民からのオンラインでの殺害予告や暴言の増加を経験しています。

一方、多くの国では進歩が見られます。世界経済フォーラムのジェンダー・ギャップ報告書は、女性の地位に基づいて各国を順位付けしており、一部の国で全体的な進歩が大きく進んだことを示しています。

女性の前進は、私たちの多くが考えていたよりも脆い基盤の上に成り立っています。今こそ、あらゆる階層と国の男性リーダーが女性リーダーとともに、女性のために声を上げる必要があります。女性の大統領や首相も声を上げ、これまでの成果の後退を許している人々を動かすことができます。ツイートし、組織をつくり、抗議する何百万人もの女性や男性にも同じことができます。

こんな素敵な言葉があります。「女性は雪の結晶のよう。一つだけなら溶けてしまうかもしれない。でも、力を合わせれば交通を止められる。」

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