なぜ老舗企業が米国経済の足かせになっているのか

An American flag is seen left on a fence outside the National 9/11 Memorial and Museum during ceremonies marking the 16th anniversary of the September 11, 2001 attacks in New York, U.S., September 11, 2017. REUTERS/Shannon Stapleton - RC1E86015FC0
A new paper looks at how much the aging of companies is affecting productivity in the United States.Image: REUTERS/Shannon Stapleton
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スティーヴィー・ニックスは歌ってはいないが、企業も高齢化している。米国では企業の平均年齢が上昇する一方、米国人が起業する割合は低下している。1980年に始まった、スタートアップの減少と企業の高齢化という傾向は、さまざまな悪影響をもたらす可能性があり、その重要な一つが生産性上昇の鈍化だ。では、企業の高齢化は生産性に実際どの程度影響しているのだろうか。新たな論文が、全米経済研究所(National Bureau of Economic Research)から今週発表され、この問題を検討している。

ノースウェスタン大学の経済学者タイタン・アロン氏とデービッド・バーガー氏、野村證券のロバート・デント氏、ノートルダム大学のベンジャミン・パグズリー氏によるこの論文は、企業の高齢化が生産性上昇のペースにどの程度影響しているかを明らかにするため、二つの方法を用いている。一つ目は、米国国勢調査局のデータを使い、企業のライフサイクルを通じた労働生産性のデータを作成する方法だ。こうしたライフサイクルのデータから、企業の年齢層によって生産性上昇率がどの程度異なるかが分かる。分析結果によれば、若い企業は生産性上昇率が著しく高いものの、その伸びは急速に落ち込む。創業初年度には、新設企業の生産性は平均で15%上昇する。しかし、その後数年で伸びは急速に鈍化し、5年目には平均の生産性上昇率は実質的にゼロとなる。

生産性上昇率のこの低下傾向は何によって生じるのだろうか。著者らは企業のライフサイクルに沿った推移を分解し、その傾向の各部分を特定の要因に割り当てている。若い企業の大きな生産性上昇をもたらす最大の要因は、より生産性の高い企業への資源の再配分であり、生産性上昇の約3分の2を占める。残りの3分の1は選別によるもので、生産性の低い企業のほうが高い企業よりも多く退出することを指す。

次に経済学者らは、スタートアップ率が1980年の水準を保ち、その後34年間に企業の構成が高齢化しなかったとしたら、2014年の生産性上昇率がどの水準になっていたかを算出する。この試算では、2014年の労働生産性は3.1%高く、別の言い方をすれば、この期間を通じて毎年0.1%高かったことになる。労働生産性の上昇が家計所得に完全に反映されると仮定すると、この状況では世帯所得の中央値は約1,600ドル高かったことになる。

4人の経済学者はさらに、州および大都市圏統計地域におけるスタートアップの増加と生産性上昇との関係について、複数の回帰分析を行っている。彼らはスタートアップ率が生産性に与える影響を把握しようとしているが、生産性もまたスタートアップ率に影響している可能性が高い。地域の生産性が高く、伸びていれば、起業する人も増えるだろう。この潜在的な問題に対処するため、著者らは操作変数を用いて新規事業の創出を推定する。具体的には、州または大都市圏統計地域の人口動態の変化を使い、二つ目の分析では、2002~2006年のバブル期における住宅価格上昇のうち、投機による部分も用いている。その考え方は、人口増加が大きい地域では需要の増加によって起業する人が増え、住宅価格の上昇によって融資の担保に使える資産へのアクセスが改善した地域でもスタートアップが増えるというものだ。いずれの要因も、生産性上昇の影響を受ける可能性は低い。ここでの結果は、先の知見とおおむね一致している。スタートアップが減り、企業が高齢化すると、生産性上昇は鈍化する。

著者らは、現在スタートアップが減少している理由を検討していないが、研究者の間では、市場支配力の強まりが果たす役割に注目する動きが広がっている。生産性の上昇だけでは生活水準の大幅な向上にはつながらないが、生産性が上がらなければ生活水準の向上も見込みにくい。企業の統合など、あるいはその他の要因によって米国経済の新規企業が減っているのかを理解することは、多くの経済学者や経済政策担当者が現在考えている以上に重要かもしれない。

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