欧州が起業家に投資すべき理由

欧州が起業家に投資すべき理由
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あらゆる形態の起業が経済において重要な役割を果たしているが、イノベーションと雇用創出の主要な原動力は高成長企業であることを示す証拠が増えている。

カウフマン財団のこの 報告書 が示すように、概して雇用創出は若い企業によるものだった(米国に焦点を当てると約3分の2)。より幅広い国々を対象としたOECDのこの 報告書 も、若い企業が経済における純雇用創出の主な担い手であることを確認している。報告書が示すように、雇用の大半は歴史の長い企業にあるものの、新規雇用の約50%は若い企業によって生み出されている。創出された雇用だけでなく失われた雇用も考慮すると、純雇用創出に寄与しているのは若い企業だけだと分かる。つまり、若い企業全体の総雇用創出数は総雇用喪失数を上回る。この傾向は、カウフマン財団のこの 報告書 でも示されている。さらに、若い企業のなかでも、高成長企業(「ガゼル」と呼ばれる企業)が新規雇用の主な創出者である。この点はカウフマンの最初の報告書、およびEU INNOVAのこの 報告書 で説明されている。

したがって、雇用創出が主要な目標であるなら、ユンカーの投資計画は、経済における雇用の原動力であるガゼルの創出と成長を促進する必要がある。

以下のグラフでは、欧州における起業の動向と、持続的な雇用創出を促すうえで若い高成長企業に注目する重要性を検討する。最初のグラフから、欧州のほとんどの国で起業が危機の悪影響を受けたことが分かる。

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注:色の段階は、2010~2012年と2007~2009年の期間における平均企業誕生率の変化を示す。緑色は2010~2012年の平均誕生率が前の期間より高かったことを示し、赤色はその逆を示す。企業誕生率は、企業の誕生数を人口1,000人当たりで算出したもの。フィンランドの最新データは2011年まで。

各国の色は、欧州危機が企業創出に与えた影響を可視化するため、2010~2012年と2007~2009年の期間における平均誕生率の変化を示している。大半の国は赤色で、企業創出が減少したことを表す。危機は起業家が事業を創出する能力だけでなく、成長させる能力にも影響した。さらに、ユーロバロメーターのこの 報告書 によると、欧州各国で起業意欲は低下または停滞した。これは、人々が企業を創出し成長させる能力を失っただけでなく、起業家になるリスクを取る意欲も低下した可能性を示している。

例外は、フランスのように、自営業を促す明示的または暗黙的なインセンティブがあったと考えられる国に多い。フランスでは2010年に「自動起業家(auto entrepreneur)」制度が導入された。

次のグラフでは、新興企業が成熟に至る能力(少なくとも5年間存続すること)が危機によってどのような影響を受けたのかを示す。特に南欧、東欧、バルト諸国で影響が大きかった。

企業の5年間存続率

出典:Eurostatに基づくBruegelの分析

注:存続率は、t-5年に誕生しt年まで存続した企業数を、t-5年の企業誕生数で割った百分率。グラフは、2004年に誕生して2009年まで存続した企業群、2005年に誕生して2010年まで存続した企業群、そして以降同様の企業群を示す。南欧カテゴリーの対象国:イタリア、スペイン、ポルトガル。中核・北部:デンマーク、ドイツ、フランス、ルクセンブルク、オランダ、オーストリア、スウェーデン、英国。東欧・バルト諸国:ブルガリア、エストニア、ラトビア、リトアニア、ハンガリー、ルーマニア、スロベニア、スロバキア、ポーランド、チェコ。

このグラフから、危機前に誕生し、その影響を受けた企業、すなわち2010年まで存続した企業(2005年誕生)の割合は、2009年まで存続した企業(2004年誕生)と比べ、対象国すべてで低下したことが分かる。しかし、南欧、東欧、バルト諸国の若い企業は、対象期間を通じて低い存続率に直面し続けた一方、中核・北部諸国は影響が比較的小さかった。概して、これらの国々は危機の影響も比較的軽かった。

この状況を好転させ、欧州の失業率を下げるには、持続的な純雇用創出の原動力であるガゼルに注目することが重要だ。次のグラフが示すように、ガゼルは主にハイテク産業または知識集約型産業に属する。

若い企業全体に占めるガゼルの産業別割合

出典:Eurostatに基づくBruegelの分析

注:このグラフは、示された産業区分ごとに、若い企業全体に占めるガゼルの割合を示す。知識集約度(例:研究開発や人的資本の集約度で測定)に基づくEurostatの産業分類を用い、サービス業と製造業を区別している。さらに知識集約度の高い産業では、市場向けサービス(例:経営サービス、建築・エンジニアリング活動)、ハイテクサービス(例:電気通信、コンピュータープログラミング)、金融サービス、その他(例:行政、教育、保健、社会福祉)を区別している。ハイテク製造業には、例えば医薬品、コンピューター、宇宙船関連製品が含まれる。

グラフから分かるように、ガゼルは主に知識集約型の市場向けサービスとハイテクサービス、そしてハイテク製造業に属しており、こうした業績上位企業にとって知識が重要であることを示している。

この見方を補うものとして、Eurostatが2010年に実施した 調査 では、起業家に2011~2013年に予想される主な課題を尋ねた。この調査によると、ガゼルの創業者は、マクロ経済環境に次いで、熟練労働者の確保と資金調達の難しさが、平均して成長を制約する主な要因だと回答した。さらに、現在の事業を維持し国内事業を拡大することに次いで、資金を必要とする主な理由はイノベーションと研究開発への投資だった。これらは経済にさらなる好ましい波及効果をもたらし得る。

報告されたもう一つの大きな懸念は、企業が直面する過重な規制の枠組みだった。欧州全域で規制が分断されていることも、こうした企業の成長を妨げる要因である。今後の論考では、どの種類の規制が起業を促すうえでより効果的だったのかを分析する。また、高成長企業が直面する固有の資金調達課題についても、さらに検討する。

結論として、欧州の大半の国で起業は危機の悪影響を受け、企業の創出と存続が制約されたことを示した。

欧州が切実に必要とする雇用を生み出すには、ユンカーの投資計画は中小企業全般に対処するだけでなく、若い高成長企業の創出と成長の促進に特に重点を置くべきだ。ガゼルは経済における純雇用創出の不釣り合いに大きな割合を担い、主に知識を原動力としている。

したがって、欧州の成長計画では、知識集約型企業の創出と国境を越えた成長に適した環境を整え、資金調達を容易にし、イノベーションと研究開発への投資を促進すべきである。同様に、現在および将来の労働力の技能をさらに高めるための大規模な投資も不可欠だ。

本記事は、 Bruegelとの協力により掲載されています。掲載は、世界経済フォーラムが見解を支持することを意味するものではありません。

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著者:Diogo MachadoはBruegelのリサーチアシスタント。Karen E. WilsonはBruegelのシニアフェロー。

画像:ロンドンのロイター・プラザで時計の前を通り過ぎる人々。REUTERS/Jon Jones。

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