小学生の女子は、男子のクラスメートと同じくらい身体能力が高いことが、私たちの研究で分かりました。「女の子みたいにプレーする」という侮辱の痛手を和らげる結果です。
小学生の身体能力を比較したところ、女子と男子の違いは、一般に思われているほど重要ではありませんでした。ですから、子どもたちは裏庭や遊び場、スポーツ施設で、互いに楽しく遊び、競い合うべきです。
生涯にわたる人々の身体能力を評価するより広範な研究の一環として、3歳から19歳までの子どもと若者300人を対象に検査を行いました。
各児童を2時間以上かけて検査し、100項目を超える測定を行いました。これには、14の筋群の筋力、13の関節の柔軟性、10種類のバランス能力の測定が含まれます。手先の器用さ、反応時間、歩ける距離、跳べる高さや距離、歩き方なども調べました。
何が分かったのでしょうか?
身体能力のあらゆる測定項目を通じて、一貫した結果が一つ得られました。高校生になる頃(一般に12歳)までは、女子と男子の能力に統計的な差はありませんでした。
立ち幅跳び(ブロードジャンプテストとも呼ばれます)を例に見てみましょう。これは脚の瞬発力を測るものです。必要な器具は最小限で、結果は、高価な器具を使った筋力検査で得られる情報とよく一致します。また、アメリカのNFL(ナショナル・フットボール・リーグ)入りを目指す選手が、タレントスカウトに実力をアピールするために受けるテストの一つでもあります。
12歳になる前の男子と女子には差がないことが分かりました(下のグラフを参照)。すべての身体測定項目で同じ傾向が見られました。
今回の結果は、他の研究とどう比べられるでしょうか?
他の研究でも、同様の結果が得られています。たとえば、筋力、歩行、跳躍とバランスを調べた研究があります。
ただし、研究ごとに標本の規模が異なり、対象となる子どもの年齢幅や評価項目も違うため、研究間のデータを直接比較するのは困難です。たとえば、一般の子どもに何ができるかを調べるため、時間を計る階段昇降テストとステップ反応時間を初めて用いたのは私たちです。
一部の 研究では、私たちと同じ種類のテストを用いて、小学生の男子と女子の身体能力に違いがあると報告しています。また、6~17歳の男子と女子では跳躍高にわずかな差があるものの、立ち幅跳びでは差がないと報告した研究もあります。
こうした違いの一因として、特定の年齢層や地域に限られたサンプリング方法が考えられます。また、社会経済的背景も関係している可能性があり、後者は身体の健康や活動に大きな影響を与え得ます。
対照的に、私たちの研究の子どもたちは、社会経済的地位、民族性、ボディマス指数に関するオーストラリア統計局のデータを用いると、概ねオーストラリアの人口を代表する集団でした。
今回の結果は、子どもやコーチ、保護者にとって何を意味するのでしょうか?
小学生の男女混合スポーツについて、学校間でも競技間でも統一した見解はありません。
たとえば、地元のほとんどのリトル・アスレティックスでは5歳を過ぎると男子と女子が別々に競技しますが、フィールドホッケーでは男女混合チームで17歳までプレーできます。
テニスでは、小学生の女子と男子はシングルスの試合では別々にプレーしますが、混合ダブルスでは互いに対戦できます。
今回の結果は、小学校を卒業するまで男子と女子が混合チームで競技することを後押しします。その後は、思春期のホルモン変化により、男子は筋力やスピードを要するスポーツや課題で、より良い成績を上げる傾向があります。
小学校や週末の大会で男女混合スポーツを行うことには、実務上の利点もあります。
- 自治体のスケジュール調整の衝突が減る(学校やスポーツの運営者が、混雑する競技施設に試合をより都合よく組み込める)
- すでに逼迫している政府や民間部門の資金を分け合うクラブや団体が減る
- コーチや運営者の人材を集約できる。そして何よりも、
- 保護者がタクシー代わりに送迎する回数が減る。
男子と女子の身体能力に違いがあるという認識は、生まれたときから見られる時代遅れの性別役割の固定観念に基づいているのかもしれません。たとえば、男の子には初めてのフットボールが、女の子には初めての人形が贈られるようなものです。
幼い男子のほうが幼い女子より身体能力が高いという考えがどこから来たにせよ、証拠は明らかです。男子も「女の子のようにプレーする」のです。それは決して侮辱ではありません。



