中東のデジタル決済急成長の背景にあるものとは?

Digital payments are growing faster in the Middle East than anywhere else.
Digital payments are growing faster in the Middle East than anywhere else.Image: Bahrain Economic Development Board
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  • 中東は、世界で最も成長の速いリアルタイム決済市場です。

  • このデジタル革命を牽引しているのは、地域の若くテクノロジーに精通した人々など、需要側の要因と、政府による投資です。

  • デジタル決済は、十分なサービスを受けられていない市場のニーズに応えることで、経済成長を促し、金融包摂を改善しています。

即時銀行振込やモバイル決済アプリによるリアルタイム決済は、銀行業界に変革をもたらし、決済処理をかつてないほど迅速、便利かつ安全にしています。

こうした決済は社会全体にも同様に大きな変革をもたらしており、とりわけ中東は、世界で最も成長の速いリアルタイム決済市場です。2022年、この地域のリアルタイム決済額は6億7,500万ドルでしたが、2027年までに26億ドルに達すると予測されています。このデジタル革命を推進しているものは何でしょうか。そして、どのような影響が考えられるでしょうか。

要因1:若くテクノロジーに精通した人々

中東は、世界で最も若い地域の一つです。人口の半数以上が25歳未満で、年齢の中央値は22歳と、世界全体の28歳を下回ります。こうした若者たちは、デジタルネイティブとして育ち、暮らしを便利にするテクノロジーに囲まれてきました。新しい製品やサービスをいち早く取り入れることが多く、特に、自分たちの価値観を共有し、社会に貢献するブランドが提供するものに積極的です。例えばバーレーンは、若く、新しいものをいち早く取り入れる人々が多い国です。2023年時点で、同国のモバイル普及率は137%で、インターネット普及率は世界最高水準にあり、人口のほぼ全員がインターネットに接続しています。

この若くテクノロジーに精通した人々のおかげで、より優れた、シームレスなデジタル決済への需要が地域で急速に高まりました。こうした若者のニーズに耳を傾けた企業は、利用者数を急速に伸ばしています。その一例が、バーレーンを拠点とするアプリ「BenefitPay」です。スマートフォンを通じて迅速かつ安全に支払いや送金ができます。同プラットフォームの2023年の取引件数は3億4,540万件に達し、前年から37%増加しました。

要因2:モバイル利用の拡大

スマートフォンの広範な普及も、この地域、とりわけGCCにおけるリアルタイム決済の成長を促す重要な要因です。GCCでは、スマートフォン普及率が2022年の76%から2030年までに92%へ上昇すると予測されています。

モバイル利用の拡大により、デジタル決済はこれまで以上に簡単になっています。そのため、従来は現金取引に依存してきた地域の国々で、モバイル決済の利用が急増しているのも不思議ではありません。モバイル決済サービスは消費者の暮らしをよりシンプルで便利にします。BenefitPayのようなアプリを使えば、送金、買い物の支払い、請求書の支払い、その他のサービスの利用を一か所で行えます。

Apple PayやGoogle Payなどの国際的な決済アプリはGCC全域で広く利用されています。一方、サウジアラビアのSTCPayやUAEを拠点とするCareem Payなどの地域サービスは、急成長する市場で、モバイル決済に関する顧客のニーズに合わせたソリューションを提供しています。中東・アフリカのモバイル決済市場は、2022年から2027年にかけて年平均成長率30.1%を記録すると予測されています。

このアプリを使えば、クレジットカードやデビットカードを使わずに支払いができます。
このアプリを使えば、クレジットカードやデビットカードを使わずに支払いができます。
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要因3:電子商取引の急成長

新型コロナウイルス感染症の流行前から、中東の電子商取引分野は活況を呈していましたが、パンデミックを受けて地域でさらに急成長しました。2021年には、若いアラブ人の80%が頻繁にオンラインで買い物をしており、2019年の71%から増加しました。「今買って後で払う」サービスの利用も急増し、顧客は無利息の分割払いで商品を購入できるようになりました。TabbyとTamaraは、サウジアラビア、クウェート、UAE、バーレーンでそれぞれ約1,000万人の利用者を擁し、評価額はそれぞれ15億ドルと10億ドルです。

オンラインへの移行は、デジタル決済への急速なシフトにもつながっています。地域有数の電子商取引の成功例であるSouq.comを擁するUAEでは、国民の64%が、2030年までに国が完全なキャッシュレス社会になると予想しています。

要因4:政府による投資

中東におけるデジタル決済の成長は消費者の需要に牽引されてきましたが、地域の政府が適切な環境づくりに意欲的に取り組んできたことも、大きな影響を及ぼしています。

2019年にはすでに地域で商用5Gネットワークサービスが利用可能になっており、インターネット速度の向上とともに、デジタル決済の普及を後押ししてきました。今年時点で、世界でインターネット速度が最も速い10カ国のうち4カ国がGCCにあります。カタール、UAE、クウェート、バーレーンです。バーレーンは、商用5Gネットワークを世界でいち早く導入した国の一つでもあります。こうした政府主導のネットワークインフラ投資は、デジタル決済の普及を促す重要な要因となっています。

官民連携も、デジタル決済が広く普及する環境づくりに大きく貢献してきました。例えば、「電子顧客確認(e-KYC)サービス」のシステムにより、企業は、かつては時間と手間、費用がかかっていたものの、金融取引に不可欠だった手続きを、効率的でシームレスなものへと変えることができます。

地域の政府は、将来の成長と繁栄を促す重要な手段として、デジタル変革を優先しています。サウジ・ビジョン2030、エジプト・ビジョン2030、UAEのデジタル戦略は、その実例です。サウジアラビア通貨庁は、国内でデジタル決済を促進するための取り組みを成功させてきました。2022年には、デジタル決済が62%増加し、80億件の取引が記録され、その金額は4,260億ドル超に相当しました。

デジタル決済革命が中東社会にもたらすもの

中東の革新的なデジタル決済の取り組みは、十分なサービスを受けられていない市場のニーズに応えることで、経済成長を促し、金融包摂を改善しています。

例えば、IBANに基づくリアルタイム決済などのサービスを通じて、デジタル決済アプリは零細企業、中小企業が現金への依存を減らしながら、高額なデジタルインフラへの投資を避けられるよう支援しています。また、電子送金などの機能により、従来の銀行サービスを利用する際に依然として障壁に直面する移民労働者も、母国へより簡単かつ安全に送金できるようになっています。

中東は、若くテクノロジーに精通した人々、モバイル利用の拡大、電子商取引の急成長を背景に、デジタル決済革命の最前線に立っています。政府の投資や民間部門との連携意欲が示すように、この地域は機会を捉えるだけでなく、積極的にその環境を形づくっています。

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