一見すると、中東はスタートアップブームの真っただ中にある。
投資は急増しているが、その多くはわずか2社、そして1か国に集中している。世界の先進地域に追いつくにはまだ取り組むべき課題があるが、拡大の余地が大きいのは明るい材料だ。
年間資金調達額は10億ドルに迫る
Magnittの調査によると、中東・北アフリカ(MENA)地域のスタートアップへの年間投資額は、10億ドルに急速に近づいている。この調査には、スタートアップ・シーンが確立しているイスラエルは含まれていない。
昨年、テクノロジー企業に投じられた資金は4倍以上に増え、8億7,000万ドルに達した。しかし、その大半に当たる6億2,500万ドルは、オンライン小売業者のSouqと、MENAおよび南アジアの53都市で事業を展開する、ドバイを拠点としたUberの競合企業Careemのわずか2社に流れた。
Amazonによる買収
AmazonによるSouq.comの買収は、報道によれば、6億5,000万~7億5,000万ドル規模とされ、今年、同地域のスタートアップ・シーンを世界の注目の的にした。
SouqはMENAを代表するオンライン小売業者と言える存在であり、同地域の主要市場のいくつかでAmazonと競合している。
資金の行き先
MENAのスタートアップへの投資の大半は、わずか1か国に集中している。Magnittによると、アラブ首長国連邦(UAE)は過去3年間に同地域で行われたテクノロジー投資の半分を獲得した。
参入障壁
UAEは、新たな事業を始めるのに同地域で最も適した国と評価されているため、最も多くの資金を集めているのも不思議ではない。
世界銀行のデータをエコノミスト誌がまとめたところ、MENAの多くの国では、官僚主義の強さと政府の支援不足が相まって、世界の他の多くの地域よりもスタートアップにとって厳しい環境を生み出している。
しかし、世界での競争力を高めようと、各国政府が方針を変えつつある兆しもある。例えば今年初め、エジプトは新たな破産法案を導入し、事業に失敗した会社の創業者を収監する制度を廃止する。
世界の先進地域に追いつく
中東の都市が世界を代表するスタートアップ拠点と競えるようになるまでには、まだ長い道のりがある。
アラブ諸国は一つも、『グローバル・スタートアップ・ゲノム・エコシステム・レポート2017』に掲載されなかった。同レポートは、スタートアップが成長できる環境を整える力に基づいて世界の都市を順位付けした調査である。
より広い意味での中東地域から唯一掲載された都市はイスラエルのテルアビブで、世界のテクノロジー業界でその規模をはるかに超える存在感を示している。
明るい材料は、成長の余地が十分にあることだ。わずか8%のMENA企業しかデジタル展開をしていない(米国では80%)。MENAの小売売上高に占めるオンライン販売の割合も、わずか1.5%だ。デジタル市場は、2020年までに年間GDPを950億ドル押し上げると推定されている。



