ギリシャはアルゼンチンから何を学べるか?

ギリシャはアルゼンチンから何を学べるか?
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13年前、アルゼンチンは窮地に陥っていた。ペソは、その価値をはるかに上回る水準でドルに固定されていた。対外債務は持続不可能だった。さらに米国からの政治的圧力により、弱体化した政府は、国際通貨基金(IMF)でさえ非現実的だと理解していた救済プログラムの再交渉を妨げられていた。

今日、ギリシャが同じ課題の多くに直面するなか、アルゼンチン危機から得られた教訓を改めて詳しく検討する価値がある。当時、私たちは政策対応を「経済的にも政治的にも狂気じみている……。予算削減を重ねるたびに景気後退は悪化し、社会的緊張が高まり、信頼はさらに損なわれている……。IMFも、ほかの誰も、こうしたマゾヒスティックで自滅的な政策を先進国が採用するよう勧めるはずがない……。もうやめるべき時だ」と評した。

おおむね、私たちの見立ては正しかった。確かに、やめるべき時だった。政府はすぐに崩壊し、通貨を切り下げ、国の債務をデフォルトする政府に取って代わられた。それでも、広く予測されていた破局は起きなかった。経済危機は確かに深刻だったが、すでに底を打っていた。数か月後には成長が再開し、その後5年間の平均成長率は驚異的な8%に達した。

しかし、私たちは一つの点で間違っていた。先進国がこれほど有害な政策を押しつけられることはない、という想定である。経済学者は歴史から学んだかもしれないが、政治家は同じ過ちを繰り返す運命にあるようだ。ギリシャでも再び、近視眼的な政治家から圧力を受けたIMFが、持続可能でもなく、国の最善の利益にもかなわないと十分承知しているプログラムを支持している。

欧州やシステム全体の金融安定の名のもとにギリシャの利益を犠牲にすることは、かつてIMFが追求すべき正しい道だったかもしれない。しかし、現地の危機は、こうした政策が正当化できなくなった時点をとうに過ぎている。無力で不人気なギリシャ政府が退陣した今(これも正確な予測だった)、欧州の他の国々が金融上の混乱を収拾すべき時だ。残念ながらユーロ圏の政策担当者が今、断固として進めようとしているように見える、「道徳的」な立場を示すために不可能な債務返済を強いることでは、解決できない。

アルゼンチンから得られる第一の教訓は、経済的な根拠がこちらにあるなら、破局を予言する政治家の言葉を無視できるし、無視すべきだということだ。(ドイツ以外の)経済学者の圧倒的多数は、ギリシャの債務を減免し、財政政策を緩和すべきだと考えている。また、IMF上級エコノミストの見解もそうであることはほぼ疑いない。例えば、最近退任したIMF欧州局長のレザ・モガダムは、ギリシャの債務を半減させるよう求めた。

アルゼンチン危機の第二の教訓は、短期間の政治的混乱によるコストは、誤った政策を無思慮に長期間追求するコストに比べ、驚くほど小さい場合があるということだ。ギリシャ株が急落し、国債利回りが急騰しているという事実は、ほとんど意味をなさない。7年間にわたる経済縮小と、1930年代の大恐慌を上回る人的苦難を経た今、大きな市場変動があっても、失敗した政策を続ける理由にはならない。

アルゼンチンの経験は、政策転換後、驚くほど早く回復が訪れる可能性を示している。ギリシャ債務を再編する合意と、安定した改革推進型の政府があれば、信頼は急速に回復し、成長も速やかに再開するだろう。

ただし、第三の教訓には大きな但し書きがある。ギリシャは、根本的な問題が自ら招いたものだと認めなければならない。急増する財政赤字と持続不可能な債務は、深刻な病弊の症状だった。機能不全の公共部門、競争力のない民間部門、そして責任を放棄し、その時々の課題に向き合う代わりに、国家を政治的忠誠者に仕事を与える手段として利用したエリート層である。

新しいギリシャ政府は、欧州連合(EU)やドイツをスケープゴートにしてはならない。ギリシャには抜本的な構造改革が必要だ。

もちろん、これは新政府が前政権の合意した政策をすべて継続しなければならないという意味ではない。例えば、最低賃金の引き上げ計画はほとんど問題を引き起こさないはずだ。労働生産性との比較で見れば、フランスや英国より高くなることはないからだ。

同様に、先進国と途上国の双方における豊富な経験から、財政危機の最中に民営化を行うと、しばしば惨事につながることが示されている。効率性の向上どころか、国有資産が有力者や企業に投げ売りされる結果となることがあまりにも多い。民営化を棚上げするのは、まったく理にかなっている。

それでも、ギリシャにはやるべきことが多い。政府はIMFと協力し、公平性と効率性を両立させるプログラムを策定すべきだ。つまり、競争を促進し、寡占を解消し、起業家とイノベーションを支援することだ。同時に、ギリシャには若年失業に取り組む大規模なプログラムが必要である。裏切られた世代のためのニューディールだ。

アルゼンチンから得られる第四の教訓は、戒めの物語という形をとる。2002年、新政府は回復だけでなく、機能不全に陥った政治制度の改革も約束した。しかし、その約束は果たせなかった。新政権は当初の経済的成功と、国の問題は外国人のせいだという政治的に都合のよい物語を利用し、約束を後退させた。

10年に及ぶ商品ブームは、アルゼンチンに経済的な余裕をもたらした。しかし、同国の経済・政治の病弊の根本原因は、結局対処されなかった。10年以上が過ぎた今も、憂うつになるほどほとんど何も変わっていない。ギリシャが商品ブームによる猶予を得られる可能性は低い。持続可能な回復への道に進むには、時間を無駄にする余裕はない。
持続可能な回復への道に進むには、時間を無駄にする余裕はない。

本記事は、 プロジェクト・シンジケートとの協力により掲載されています。掲載は、世界経済フォーラムが見解を支持することを意味しません。

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著者:ジョナサン・ポーツは、国立経済社会研究所の所長。ラケル・フェルナンデスは、ニューヨーク大学の経済学教授。

画像:2012年6月17日、アテネのアクロポリスの丘にあるパルテノン神殿の記念碑の前で、欧州連合(EU)の旗がはためく。REUTERS。

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