この世界経済フォーラムの動画で、国連財団のエコノミスト兼シニアフェロー、ジョン・W・マッカーサー氏が、2015年末に期限を迎えるミレニアム開発目標(MDGs)の先を見据えます。期限が近づくなか、世界の開発における次の課題を考えなければならないと述べ、2030年までに何が可能なのかを問いかけます。
上の動画全編をご覧いただくか、以下の抜粋をご一読ください。
これまでの進展
アジェンダの基本要素を見ると、第一に、疑いなく挙げられるのは2030年までに極度の貧困をなくすことです。現在、1日1.25ドル未満で暮らす人は約10億人います。これは開発途上国の人口の約18%に当たります。大きな数字に思えるかもしれませんが、わずか一世代前には40%を超えていたことを忘れてはなりません。私たちは文字どおり、極度の貧困の終わりを見届けられる最初の世代です。第一の目標が極度の貧困ゼロなら、第二の目標は100%の包摂であるべきです。場所によっては、雇用機会と社会サービスがより充実した、よりよく設計された都市が必要です。また別の場所では、より良いインフラ、市場へのアクセス、投入資材へのアクセスを通じて農家を支援することになるでしょう。最大の飛躍は保健分野で、特にHIV/AIDS治療を利用可能にする世界的な取り組みで顕著でした。ミレニアムの変わり目には、2,500万人がHIV/AIDSに感染し、適切な薬を入手できないため毎年数百万人が亡くなっていました。今日では1,000万人が基本的な抗レトロウイルス治療を受けています。多くの人が、試みることさえ不可能だと言っていたことです。人口が増加するなか、MDGsは子どもの死亡率低下にも貢献しました。1990年には毎年1,200万人の子どもが亡くなっていました。現在、子どもの死亡数は年間約650万人です。子どもの死亡数は劇的に減少し、MDGsは、今そして未来に命を救うことについての私たちの考え方を変えました。
中等教育の普遍化
初等教育では大きな進展が見られました。期待したほどの質の飛躍はなかったかもしれませんが、MDGsが導入された頃と比べ、初等学校に通う子どもは数千万人増えました。しかし、必要なのは初等教育と中等教育の両方です。21世紀に仕事を得て生計を立てるには、中等教育が必要であることに疑問の余地はありません。初等教育へのアクセスだけに重点を置くことから方針を転換する国が増えています。例えばウガンダは、中等教育の普遍化を目指す政策を進め始めました。これは当然のことのはずですが、そうなっていません。世界社会は、初等・中等教育への普遍的なアクセスを最低基準とすることを、まだ重視していないのです。
イノベーション
2019年までに、世界の93%で携帯電話の通信サービスが利用可能になります。これは通信分野での飛躍を約束するだけでなく、モバイルヘルスにも大きな可能性をもたらします。地域の保健従事者はスマートフォンでデータを収集し、その場で関連する助言を得られるようになります。これほど短い期間でどこまで進歩したか、そしてテクノロジーによって世界の最も遠隔地にまで手が届くようになることを考えると、驚くべきことです。
提言
ミレニアム開発目標は2015年12月31日に期限を迎えますが、進展を実現する時間はまだあります。各国政府には、2015年9月までに新たな開発目標のアジェンダで合意するという、明確な日程があります。それは目標を定めるだけでなく、実現に向けた経済・財政の枠組みを定めることも意味します。新たな目標には、その費用を賄う予算が必要です。第二に、民間部門は貢献する機会と責任を理解する必要があります。CEOの発言は、目標達成の方法について力強いメッセージを発信する有効な手段です。業界ごとに独自の目標を設定し、政府に期待するのと同じ説明責任を負うことができます。第三に、交通、農業、エネルギーの各システムなど、インフラへの投資が大いに必要です。こうした投資は年間最大1兆ドルに達する可能性があり、その大部分は 民間部門からのものとなるでしょう。 ただし、公共部門との連携による投資も考えられます。政治家、企業や市民社会のリーダー、独立した科学者や学者が協力し、持続的な変化を実現するのです。この連合型のアプローチは、世界が最大の課題を解決する助けとなる戦略です。最後に、2015年以降、私たちは想像していた以上のことを達成できると思います。私たちは、極度の貧困の終わりを見届けられる最初の世代です。さあ、分野や国を越えて協力し、それを現実にしましょう。
著者:ジョン・W・マッカーサー、国連財団シニアフェロー
画像:マリの首都バマコで、フランス語の授業中に学ぶマリの生徒たち。REUTERS/フィンバー・オライリー


