トリクルダウン経済学とゾンビ企業の違いをご存じですか?

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  • 国際通貨基金(IMF)の最新評価によると、世界経済を特徴づけるのはインフレと不確実性の2つです。

  • 世界経済の活動は減速し、インフレ率は数年来の高水準にあります。

  • 物価の安定を取り戻し、生活費上昇の圧力から市民を守るには、困難な道筋を描く必要があります。

  • こうした状況を受け、トリクルダウン経済学、スタグフレーション、ゾンビ企業などの経済用語が再び注目されています。それぞれの意味を見ていきましょう。

「インフレと不確実性」。

国際通貨基金(IMF)は、最新の評価で世界経済をこうとらえ、世界の成長率は今年の3.2%から2023年には2.7%へ減速すると予測しました。世界経済を特徴づけたのは。最新の評価で、世界の成長率は今年の3.2%から2023年には2.7%へ減速すると予測しました。

同機関は、世界経済の活動が予想を上回るペースで減速し、インフレ率が数年来の高水準にあるという、明るさに欠ける見通しを示しました。さらに、広範な生活費危機、金融環境の引き締まり、ロシアによるウクライナ侵攻が先行きを不透明にし、変動を増幅させています。

暗さを増す経済見通し。Image: IMF

政策立案者、政治家、公務員は、成長を促しながら物価の安定を取り戻し、生活費上昇の圧力から市民を守るという、困難な道筋を描かなければなりません。

こうした激動の背景を踏まえ、知っておきたい経済用語を5つ紹介します。

1. トリクルダウン経済学

減税と規制緩和によって成長を促す考え方は、「サプライサイド経済学」または「トリクルダウン経済学」と呼ばれます。英国のリズ・トラス前首相が、企業や富裕層を対象とする大規模な減税を発表し、英国資産をめぐる金融市場の混乱を招いたことから、ここ数週間、ニュースで大きく取り上げられています。

長年にわたり、各国の政治家がトリクルダウン効果を支持してきました。2017年、米国のドナルド・トランプ大統領は、自身の減税策が経済にとって「ロケット燃料」となり、富裕層がより多くの人を雇い、より多く投資できるようになると述べました。

世界経済フォーラムは、より効率的で強靭、包摂的かつ公平な金融システムの実現にどのように貢献しているのでしょうか?

金融・通貨システムセンターは、持続可能性や強靭性からイノベーション、デジタル化まで、世界の金融システム全体に及ぶ変革への理解を深めるため、リーダーたちを招集しています。

協力と知見の共有を促すことで、同センターはパートナーが金融システムを長期的な経済の安定と繁栄の共有に沿わせるよう支援しています。

同センターの取り組みを見る

しかし、これを裏付ける学術的な証拠はほとんどありません。

富裕層への減税は、経済成長にも失業率にも影響しなかったと、ロンドン・スクール・オブ・エコノミクスが18のOECD加盟国を対象に50年間にわたって分析した結果、明らかになりました。調査によると、大規模な減税を1回実施するごとに、税引き前国民所得に占める上位1%の割合は平均で0.8ポイント上昇しました。

「富裕層を対象とする大規模な減税は、税引き前国民所得に占める上位1%の割合で測った所得格差を拡大させることが分かりました」と、研究の著者であるデビッド・ホープ氏とジュリアン・リンバーグ氏は記しています。「経済実績に目を向けると、富裕層を対象とする大規模な減税による有意な効果は認められませんでした。」

2. スタグフレーション

スタグフレーションとは、高インフレと低成長、または景気後退が同時に起こる状態を指します。スタグフレーション下では、中央銀行が物価上昇を抑えるために金利を引き上げ、その結果、成長がさらに阻害されて負のスパイラルに陥るおそれがあります。

世界銀行は今年初め、世界経済が景気後退を回避できたとしても、スタグフレーションが数年間続く可能性があると警告しました。

「平均を上回るインフレと平均を下回る成長が今後数年間続く可能性が高く、低・中所得国に不安定化をもたらしかねません」と、同行は2022年6月の『世界経済見通し』で述べています。「スタグフレーションという現象は、1970年代以降、世界で見られていません。」

スタグフレーションのリスク。Image: 世界銀行

世界銀行は、1970年代から得られる重要な教訓として、インフレが制御不能になるのを防ぐため中央銀行は早期に行動し、各国政府も財政政策を通じてその戦略を支援する必要があると指摘しました。

3. 賃金・物価スパイラル

高いインフレ率は、賃金・物価スパイラルのリスクも高めます。物価上昇を受けて賃上げ要求が起こり、それがさらなる物価上昇を招く状態です。

この現象が起こる可能性は、IMFの最新の経済見通しで検証されましたが、現時点で起こる可能性は低いとの結論に至りました。

「これまでのところ、賃金上昇率は概してインフレ率を下回っていますが、物価と賃金が相互に押し上げ合い始める可能性を指摘する人もいます」と、IMFの報告書は述べています。「持続的な賃金・物価スパイラルのリスクは限定的とみられます。基調的なインフレショックは労働市場の外部から生じており、金融政策が積極的に引き締められているためです。」

4. ゾンビ企業

現在の経済情勢のもう一つの特徴は、借入コストの上昇です。世界各地でインフレ率が数年来の高水準にあるなか、米連邦準備制度理事会(FRB)を含む多くの中央銀行が金利を引き上げており、家計と企業の双方にとって、ほとんどの借入コストが上昇しています。

いわゆるゾンビ企業、つまり債務の利息を支払えるだけの利益は上げていても、債務を返済するには利益が足りない企業は、借入コストの上昇で苦境に立たされています。10年以上にわたる低金利と中央銀行の支援がこうした企業を支えてきましたが、その状況は変わる可能性があります。

英国では、2020年3月時点で、企業の5社に1社がゾンビ企業だったと、シンクタンクOnwardの調査が示しています。米国では、連邦準備制度の推計によると、その割合はより低く、上場企業の約10%、非上場企業の5%です。

米国のゾンビ企業。 Image: 米連邦準備制度

5. 下振れリスク

下振れリスクとは、要するに、予想より悪い結果につながりかねないさまざまな要因のことです。

IMFは最新の見通しで「先行きのリスクは異例なほど大きく、下振れ方向に偏っています」と述べ、2023年に世界の成長率が2%を下回る確率を25%と予測しました。

こうした「下振れリスク」には、さらなる食料価格やエネルギー価格のショックが含まれる可能性があると、IMFは述べています。

現在の経済を部分的に特徴づけるこの5つの言葉から明らかなのは、世界各地で厳しい状況が続き、先行きが不透明だということです。

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