世界経済に逆風をもたらす中国

世界経済に逆風をもたらす中国
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昨年、世界経済は正常な状態への回帰を始めると見込まれていた。米国と英国では金利が上昇し始め、日本では量的緩和によってインフレ率が高まり、銀行への信頼が回復すれば、ユーロ圏では信用主導の景気回復が可能になるはずだった。12カ月後、正常化は相変わらず遠いままであり、その大きな原因となっているのが中国発の経済的逆風だ。

経済成長を促し、繁栄を実現するため、中国は日本、韓国、台湾が切り開いた道をたどろうとしてきたが、重要な違いが一つある。それは規模だ。人口がそれぞれ1億2,700万人、5,000万人、2,300万人のこれらアジアの模範的な経済は、輸出主導型の成長に頼り、高所得水準へと到達できた。しかし、中国の13億人の国民に高所得をもたらすには、世界市場の規模は到底足りない。

確かに、中国では輸出主導型モデルがしばらく機能し、貿易黒字は2007年にGDPの10%まで拡大し、製造業の雇用が農村部の余剰労働力を吸収した。しかし、中国の黒字の裏側には、とりわけ米国を中心に、他の地域で信用に支えられた巨額の赤字があった。2008年に信用バブルが崩壊すると、中国の輸出市場は打撃を受けた。

雇用喪失を食い止め、経済成長を維持するため、中国は信用に支えられた建設の波を引き起こし、国内需要を刺激した。一次産品の輸入が急増する一方、経常黒字はGDPの2%を下回った。
しかし、中国経済自体はより不均衡になった。投資は2007年のGDP比42%から2010年には48%に上昇し、不動産・インフラ事業が最も多くの資金を集めた。同様に、信用は2007年のGDP比130%から2014年には220%に膨らみ、その45%が不動産または関連部門に供与された。

この不動産ブームは、1980年代後半の日本のブームに似ていた。日本ではその後、バブルが崩壊し、長期にわたる低成長とデフレが始まり、今なお脱却に苦しんでいる。ブーム期の日本と比べ、中国の一人当たり所得はわずか4分の1にすぎなかったことを踏まえれば、中国が直面するリスクを過小評価すべきではない。

これに対して、中国は比較的安全だという見方がある。中国の一人当たり資本ストックも1980年代の日本を大きく下回っており、急速に拡大する都市人口を支えるには、さらに多くの投資が必要になるからだ(都市人口の割合は2013年の53%から2020年までに60%へ上昇する見込み)。しかし、この投資を当てにするのは楽観的すぎるかもしれない。中国にさらなる投資が必要なのは確かだが、その資本配分の仕組みは膨大な無駄を生み出してきた。

実際、中国は都市化を明示的な目標に据えたことで――日本、韓国、台湾は決してそうしなかった――建設に偏る構造的な経済の傾向を組み込んでしまった。数百の都市がインフラ開発を通じて互いに競い合うなか、「ゴーストタウン」が増殖するだろう。

問題をさらに悪化させているのが、中国の地方政府の資金調達モデルだ。過剰投資と過度のレバレッジを生み出すには、これ以上ないほど効果的な仕組みである。地方政府は土地を担保に融資を受けてインフラ投資に充て、その後の土地売却収入に頼って返済資金を確保する。不動産ブームが衰えるにつれて、地方政府の債務はますます持続不可能になっている。すでに一部の地方政府では、価格を下支えするために土地購入資金を借り入れざるを得なくなったと報じられている。経済学者ハイマン・ミンスキーの用語を借りれば、単純な「投機的」金融は、完全に循環的な「ポンジ」活動へと変わった。

その結果、中国の信用総額は名目GDPの3倍の速さで増え続けているにもかかわらず、大幅な景気後退がすでに進行している。不動産販売は、特に最大都市以外で落ち込み、建設の伸びが鈍化したことで、重工業は深刻な過剰生産能力に直面している。最新の調査データは、産業活動の大幅な減速を示している。先月の生産者物価は前年同月比で4.3%下落した。これに伴う需要の減少により、一次産品価格は大きく下落し、他の主要な新興経済国の成長見通しを損なっている。

一方、中国の経常黒字は再び急増した。GDP比では危機前の水準よりかなり小さく見えるものの、直近の月次ベースでは約4%で、2007年の10%と比べれば低い。しかし、絶対額ではピークに戻っている。そして世界需要への影響を決めるのは、中国の対外黒字の絶対額だ。要するに、中国は出発点に逆戻りし、先進国の債務過剰によって今や大きく制約されている輸出需要に成長を依存している。

その結果、中国の景気後退は世界経済の回復を妨げるデフレ圧力を強め、石油価格の下落を促すうえで(供給増とともに)大きな役割を果たした。原油価格の下落は世界経済全体にとって純益となるものの、その下落は深刻な需要不足を反映している。

中国は今、日本、韓国、台湾が直面する必要のなかった問題への解決策を見いださなければならない。国内需要をいかに迅速かつ持続的に押し上げるか、という問題だ。幸い、2014年にはこの点でいくらか進展があり、GDPに占める家計消費の割合は(極めて低い水準からではあるが)わずかに上昇した。

消費の伸びを加速させるには、中国の指導者たちは、より強力で包括的な社会的セーフティネットを実施し、予備的貯蓄を高水準に保つ必要性を減らさなければならない。国有企業からの配当を増やせば、こうした取り組みの資金調達に役立つとともに、過剰投資を促す誘因を取り除くことができる。

人口動態の変化も役立つ可能性がある。特に15~30歳の人口は、今後10年間で25%減少する。人口の安定化は、今日の過剰な不動産投資の危険性を増幅させるかもしれないが、労働市場を引き締め、賃金上昇を促すことにもなる。

中国は、これからの課題を十分に乗り越えられるかもしれない。しかし、開発の投資主導段階が終わるにつれ、大幅な成長減速は確実であり、世界経済のデフレ圧力は避けられず強まるだろう。そう考えると、2015年もまた、正常な状態への回帰という期待が裏切られる年になる可能性が高い。

この記事は、 プロジェクト・シンジケートとの協力のもとに掲載されています。掲載は、世界経済フォーラムが見解を支持していることを意味しません。

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著者:アデア・ターナー。英国金融サービス機構の元会長で、英国金融政策委員会の元委員。新経済思考研究所およびフランクフルト金融研究センターのシニアフェロー。

画像:上海中心部の豫園で、元宵節を前に龍の模様をあしらったランタンのそばを歩く人々。ロイター/カルロス・バリア

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