テクノロジーを誰もが活用できるようにするには

A man uses a cell phone in a building earmarked for demolition in the Mathare neighbourhood of Nairobi, Kenya, May 17, 2016.
The winning entry in May's Global Shaper essay competition sees tech as a tool for inclusive growthImage: REUTERS/Goran Tomasevic
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イノベーションによる問題解決は、常にトップダウンで進められてきた。職場では、経営幹部が新たな技術革新の恩恵を最初に受ける。こうした傾向は変わらなければならない。技術革新がもたらす利点は広く人々に届き、富裕層と貧困層の経済格差を埋める手段となる必要がある。

経済格差を縮め、各国が一人当たりGDPの高い成長率を維持するには、包摂的成長が急務である。テクノロジーは過去10年間に飛躍的に進歩し、今日のミレニアル世代の暮らしに重要な役割を果たしている。コミュニケーションの取り方、余暇の過ごし方、働き方は、技術革新のおかげで良い方向に変わった――今日、平均的な都市部のミレニアル世代ならそう語るだろう。私たちが享受し、支持し、市場に送り出すのを後押ししている技術革新は、裕福で恵まれた人々だけのものなのだろうか。それとも、ピラミッドの底辺にいる人々の生活を向上させるために、こうした技術を活用すべきなのだろうか。

人工知能(AI)と機械学習は、自動運転車を話題にするカフェでの会話にも登場する流行語だ。人間と機械が一体となるシンギュラリティの実現を目指すなかで、より大きく喫緊の現実世界の問題、つまり食料不足の解決にテクノロジーを活用することを忘れてはいないだろうか。衛星画像データと予測分析ツールを組み合わせれば、農家が病害の発生を予測し、政府が干ばつの季節の到来を事前に把握できる可能性がある。こうしてAIと機械学習は、農地で働く農家の負担を軽減し、政府が世界的な食料危機により適切に対処する助けとなる。

ナノテクノロジーはコンピューターチップの小型化を進め、宇宙用途に適した軽量で強度の高い新素材の開発を後押ししている。さらに重要なのは、ナノテクノロジーが開発途上国や後発開発途上国の大きな課題、すなわち飲料水を得られない人々に安全な水を届けることの解決に役立つ点だ。ナノテクノロジーを活用すれば、低コストのろ過膜システムを開発し、水を飲用可能で病原菌のない状態にして、最も辺鄙な地域を含め世界中に供給できる。この技術は、国連のような組織による慈善活動の効果を大幅に高める可能性がある。

研究開発に数十億ドルを投じて生まれたバイオテクノロジーの進歩も、フォーチュン500に名を連ねるバイオテクノロジー企業の壁の内側にとどまっている。バイオテクノロジー研究から生まれたハイブリッド種子には、収量が多く病害に強いものもあるが、一般の農家はそれを諸刃の剣と見ている。種子が高価で、こうした製品を入手しにくいため、社会全体が得る恩恵は小さい。政府は、特に農業の課題を解決するためのバイオテクノロジー研究に、税金の相当な割合を投資すべきだ。これはより良い未来への投資となり、そうしなければ大企業が販売する高価な遺伝子組み換え種子によって食料価格が高騰する事態に直面しかねない次世代の負担を軽減する。

太陽光発電技術の急速な普及を受け、エネルギー貯蔵がにわかに急務となっている。太陽光パネルは何十年も前から存在するが、最近の製造価格の低下により、各国はエネルギーの選択を見直すようになった。

転換点を迎え、再生可能エネルギー源に追い風が吹いている。石炭などの非再生可能エネルギーと比べ、太陽光発電の単位当たりの発電コストが競争力を持つようになったためだ。しかし、太陽が照るのは1日10~12時間である一方、エネルギー消費は24時間続くため、需給は大きな課題となる。政府は都市部と農村部のすべての電力網を整備し、屋上の太陽光パネルで発電した電力を受け入れられるようにするとともに、太陽光エネルギーに切り替える人々に低金利融資や炭素税の軽減措置を提供すべきだ。これにより、業界を後押しし、普及を促せる。使われていない広大な不毛地で太陽光発電を行い、エネルギーを大量に消費する近隣都市に供給することは、かつて農業だけを生計の手段としていた人々に収入をもたらす、優れたビジネスモデルになりそうだ。

湖の汚染が進み、ごみが増え、車両や工場からの排水が増えるほど、社会のピラミッドの底辺にいる人々が最も大きな被害を受ける。ごみや汚染など都市規模の問題を制御・監視するために、モノのインターネット(IoT)を活用することは不可欠だ。満杯になると地域のごみ収集車の運転手に知らせるスマートごみ箱、住宅地の排水に含まれる過剰な汚染物質を追跡して警告を地元当局に送るセンサー、車両に組み込まれ、排気管からの汚染物質の濃度上昇を追跡するセンサーがあれば、恵まれた人もそうでない人も、誰もがより暮らしやすくなるよう是正措置を講じられる。

多くの国で市民が直面する大きな問題は、融資を行う金融システムの透明性の欠如と、忌まわしい官僚的手続きだ。政府は最も支援を必要とする人々のための給付制度を発表することが多いが、資金や給付が実際に届くことはまれである。ブロックチェーンなどの最先端技術を使い、さらに量子処理でブロックチェーン上の膨大な取引を処理すれば、政府は給付を人々に直接届け、手続きを透明にできる。その結果、給付のあらゆる段階にはびこる貪欲な仲介業者を排除できる。

テクノロジーは時とともに進化する。しかし、それを必要とする人々、つまり生き延びるため、あるいは命に関わる危機を解決するために必要としている人々に最大限の恩恵が届くよう、どのように活用するか。それが地域社会の包摂的成長を確かなものにする。

この記事について:アロク・メディケプラ・アニル氏は、バンガロール・ハブに所属する世界経済フォーラムのグローバル・シェイパーである。同氏の記事は、包摂的成長をテーマとする今月のグローバル・シェイパーズ・エッセイコンテストで最優秀作に選ばれた。

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