本定期ニュースまとめでは、世界経済フォーラムの経済成長・変革担当責任者が、世界経済に関する重要なニュースと最新情報をお届けします。
主要ニュース:中国と米国は関税を大幅に引き下げることで合意した。全体としては暗い経済見通しの中で示された、慎重ながらも前向きな動きのひとつであり、中でも最も注目すべきものである。
4月初めに米国が打ち出した劇的な貿易政策の動きを受け、世界経済は依然として不確実性に満ちている。しかしその後、緊張は明らかに和らいできている。
従来の状態への回帰に向けた特に心強い動きが5月12日にあった。この日、米国と中国は、それまで目を覆うほど高かった関税を115ポイント引き下げることで合意に達したと発表し、その措置は少なくとも90日間にわたる。 合意に基づき、中国から米国への輸出品には30%の関税が適用され、逆方向に向かう品目には10%の関税が課される。
米中合意は、米国が他国に向けて発表していた関税の多くを先に一時停止したことに続くものだった。市場は安堵のため息をつき、一時停止のたびに、以前の貿易秩序との断絶が、これまで懸念されていたほど大規模ではない可能性が高まっていることを示した。
それでも、少なくとも一時停止の期限が過ぎ、延長の是非を判断する必要が生じるまでは、多くの点が依然として不透明なままである。
現在のより落ち着いた一時停止状態が新たな現状となれば、世界経済にとって大きな後押しとみなされるだろう。しかし、安堵感は必然的に次の3つの事実によって和らげられる。すなわち、経済の不確実性は依然として極めて高いこと、政策と政治の方向性はかつてよりはるかに不安定になっていること、そして強大な主体が、不公正だとみなす世界経済の構造的基盤に対する大きな変革を引き続き求めていることである。依然として前途は波乱含みである。
唯一確かなものは不確実性である
米中貿易摩擦の緩和は、最悪のシナリオの可能性が遠のくにつれ、世界経済に対する弱気な見通しが和らぐことにつながりそうだ。4月初め以降、エコノミストは前例のない不確実性の中で予測を立てるのに苦慮してきたが、大半の予測は明らかに暗い方向を示してきた。
最も注目されている予測のひとつはIMFによるもので、同機関の『世界経済見通し』(World Economic Outlook)の最新版は4月22日に発表され、今年の世界成長率は2.8%に鈍化するとの見通しを示した。従来の3.3%という推計から大幅に下方修正された。他の主要機関もこの弱気な見方を反映しており、UNCTADは世界の成長が2.3%に鈍化すると予測し、一方WTOは世界の貿易量が今年縮小する見通しだと述べた。
予想どおり、IMFによる国別の下方修正で最も大きかったのは、貿易関連の混乱に最も深く巻き込まれた国々だった。米国の2025年成長率予測は2.7%から1.8%に引き下げられ、中国の成長率は4.6%から4%に下方修正された。カナダの成長見通しは0.5ポイント下方修正されて1.4%となり、メキシコは特に大幅な下方修正を受け、1.7ポイント下げられて0.3%のマイナス成長が予測された。
これらの国々はいずれも、脅威にさらされていた多くの関税の一時停止により、ある程度の一息がつけるとみられる。しかし、金融市場は持ち直したものの、その他の経済的打撃の修復にはより長い時間がかかる可能性がある。米国は今年1~3月期に年率換算でGDPの0.3%減少を記録し、消費者センチメントと企業の期待はいずれも低下している。 最近のマッキンゼーの調査によると、経営幹部の3分の2以上が景気後退シナリオを想定していた。
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