鉱業・金属産業の未来を形作る7つのトレンド

An autonomous vehicle drives along a road as it collects iron ore at Australia's Fortescue Metals Group (FMG) mine in the Pilbara region, located south-east of the coastal town of Port Hedland in Western Australia, November 29, 2018
Automation - such as this driverless truck - and digitalization are two of the forces shaping the future of mining and metasImage: REUTERS/Melanie Burton - RC1E2E3671D0
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鉱業・金属産業は、数十年来で最も厳しい時期の一つから回復しつつある。市場の変動と商品価格の下落により、コスト削減、自動化、業務効率化が極めて重要となる新たな常態が生まれている。

一方で、規制、地政学的リスク、天然資源利用に対する法的制限、株主活動、公的な監視といった業界特有の問題が、新たな課題を生み出している。鉱物需要は今後数年間で増加すると考えているが、将来どのタイプの鉱業企業が優位に立つかを決める傾向がいくつかある。当社は、鉱業・金属セクターを形作ると考える以下の7つの要因を特定した。

1. 低炭素経済への移行

エネルギー転換を実現するため、ほとんどの鉱物の需要は高くなると予測されている。化石燃料は18世紀以降、世界中の生活水準の向上に貢献してきたが、それに伴う温室効果ガスの排出が地球温暖化を招いてきた。地球に壊滅的な影響をもたらす気温上昇を避けるためには、今世紀半ばまでにエネルギーシステムを脱炭素化しなければならない。低排出のエネルギーおよび輸送システムは、化石燃料ベースのものと比べて鉱物集約的であることを考えると、この移行は鉱業分野にとって大きな好機となる。同時に、鉱業分野は自らの排出量も削減しなければならない。事業に再生可能エネルギーを利用し、電動または水素動力のトラック車両群を運用し、バリューチェーンにリサイクルを組み込む鉱業企業は、低炭素のプレミアム鉱物を販売するうえで最も有利な立場に立つだろう。

鉱業における繋がりの可視化Image: 世界経済フォーラム

2. 資源へのアクセス

企業は、フロンティアの鉱山地域に進出する必要がある。低リスク地域にある世界有数の鉱物資源が枯渇するにつれ、鉱業企業は、抽出・処理の新技術を習得するか、これまで経済的に採算が取れなかったフロンティア地域に進出するしかなくなる。自動化とデジタル化により、より的を絞った効率的な採掘が可能になり、これは更に次のような分野における技術的ブレークスルーによって強化されうる。その分野とは、インサイチュー浸出(銅やウランなどの鉱物を、鉱床に掘削したボーリング孔を通して回収する採掘方法)、ブロックケービング(重力を利用して深部に位置する鉱体を採掘する地下採掘法)、バイオマイニング(主に原核生物や菌類を用いて鉱石やその他の固体材料から金属を抽出する技術)などである。

認識されるリスクが高い鉱業管轄区域は、投資家からの関心が高まる可能性がある。高品位鉱床の探索において、深海底鉱業や小惑星鉱業は、政府や企業によってますます調査されるようになるだろう。これらの技術は、鉱業企業が既存資源の価値向上を最適化したり、新たな資源へのアクセスを可能にしたりする新たな道を開くものの、ビジネスモデル、プロセス、そして潜在的な社会的・環境的外部性の面では未開拓の領域である。

3. 鉱業の新たな資金調達方法

鉱業企業がリスクを抑えようとする中で、新たな資金調達と生産モデルがより一般的になるだろう。21世紀最初の10年に中国の需要が商品ブームを引き起こした後、価格は暴落し、鉱業企業は債務比率の低減と財務状況の改善に注力せざるを得なくなった。ロイヤルティおよびメタルストリーム契約など、鉱業企業のバランスシートへの負担を軽減する代替的な資金調達手段が開発された。資本集約的な新規プロジェクトのリスクを分散するため、これらの資金調達手段は今後も拡大する可能性が高い。企業は、特定のプロジェクトや管轄区域へのエクスポージャーを減らすため、石油・ガス分野で見られるものと同様の合弁事業の開発を模索することもあり、またサービス契約の締結を検討することもあるだろう。

4. 鉱業における社会契約

鉱山近隣のコミュニティに実質的な便益をもたらすことは、新規プロジェクトを成功させる鍵となる。近年、地域社会から「操業許可(ライセンス・トゥ・オペレート)」を得ることは、鉱業界にとって課題となってきた。提案された多くのプロジェクトが却下され、抗議活動によって操業が妨げられてきた。過去最多の数の鉱山が寿命を迎えつつある一方、修復のための資金は不十分にしか積み立てられておらず、新規の鉱業プロジェクトは、必ずしも地域レベルでの追加雇用を生むことなく業界の足跡を拡大させている。さらに、自動化による地域レベルでの雇用機会の減少に加え、地球温暖化による水ストレスと異常気象の増加もある。影響を受けるコミュニティに便益をもたらす新たなビジネスモデルが開発されなければ、鉱業に対する地域住民の反対は強まる可能性が高い。

5. ビッグデータと鉱業

鉱業界のステークホルダーとの関係を支援するためのデータの透明性。鉱業企業がデジタル化と業務の自動化を進める中で、膨大な量のデータの収集と処理が不可欠となる。どのデータを共有し、透明化すべきかは、引き続き大きな議論の的となるだろう。政府は、税源浸食に対処するため、子会社の構造の開示をさらに推し進めようとするだろう。消費者はバリューチェーンの透明性向上を求めるだろう。投資家は、非財務データの増加を活用して鉱業ポートフォリオのリスクをより適切に評価するだろう。市民社会は、企業が義務的なEITI基準を超えるよう引き続き働きかけるだろう。また、影響を受けるコミュニティは、自らに影響を与える外部性を捉えたデータへのアクセスに特に関心を寄せている。標準化、有用性、そして影響力を確保するため、企業は他のステークホルダーと協力し、利用可能にすべきデータの種類と、データ開示が取るべき適切な形式を理解することが重要となるだろう。

6. 鉱業の地政学

鉱業企業は、高まる地政学的リスクと経済的保護主義を乗り越えなければならない。グローバル化と自由貿易に対する一般市民の抵抗が強まり、政治を変えつつあり、鉱業・金属セクターに直接影響を及ぼしている。鉱業管轄区域の政策立案者は、鉱物を輸出前に加工することを求める現地調達規制や法律の制定を、ますます試みている。同時に、鋼鉄やアルミニウムなどの半製品に対する輸入制限が、近年の貿易紛争の中心となっている。貿易戦争と保護主義の高まりは、世界の商品需要を減退させ、鉱業・金属企業のバリューチェーンを混乱させる可能性が高い。ハイテクおよび将来志向の産業の中核をなす『重要鉱物』セクターでは、少数のプレーヤーの手に市場が集中することにより、この傾向がさらに複雑化している。さらなる統合、地政学的な駆け引き、そして力の誇示により、これまで比較的自由な貿易体制の下で繁栄してきた企業にとって課題が生まれる一方、政府の介入なしには経済的に成り立たないかもしれない国内プロジェクトに機会が生まれる可能性もある。

7. 現代の鉱業の労働力

鉱業企業が従業員基盤の刷新を図る中で、オープンな対話を維持することが鍵となる。絶えず進化する技術やビジネスモデルにより、鉱業企業の従業員は新たなスキルを習得する必要が出てくるだろう。同セクターは、デジタル化と自動化のプロセスを推進するため、大学から優秀な人材を獲得する上で、IT分野とますます競争しなければならなくなるだろう。政府と企業は協力し、自動化された鉱業分野で吸収されない労働者が、再教育や転職支援プログラムを通じて新たな分野に移行できるよう支援しなければならないだろう。鉱業企業が鉱山サイトで新技術を導入できるスピードは、雇用と調達機会の減少をホスト国政府や労働組合がどの程度受け入れるかと密接に関連するだろう。したがって、これらの関係者は、移行に関する意思決定や、悪影響を受ける人々を支援する政策の策定に関与する必要がある。

Nicolas Maennling と Perrine Toledano は、世界経済フォーラムの鉱業・金属に関する変革マップの共同キュレーターである。

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