なぜ私たちは現在の景気回復にさえ備えられておらず、次の危機にはなおさら備えられていないのか

Leader of the Christian Social Union (CSU) Horst Seehofer and Bavarian State Prime Minister Markus Soeder shake hands on stage during a CSU election campaign rally in Ingolstadt, Germany, October 8, 2018. REUTERS/Michael Dalder - RC1629CE9ED0
"Structural reforms are too important to be left to politicians."Image: REUTERS/Michael Dalder
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2007年の金融危機は、崩壊の速さだけでなく、回復に要した長さによっても研究者たちの記憶に残るだろう。回復は異例なほど長期化し、とりわけ欧州で顕著だった。さらに、欧州の中核部と周辺部では回復に大きなばらつきがあった(Baldwin and Giavazzi 2015)。

あまりにも頻繁に、構造改革こそが景気回復を実現し、より高い成長と生産性を取り戻す鍵だと診断されてきた。

原則として構造改革に反対する経済学者を見つけるのは難しいだろう。貿易を促進し選択肢を増やす歪みを取り除くことは、意見の一致を得られる考えがごく少ないこの分野でも、受け入れられやすい。しかし学術的な観点から見ると、構造改革が所得格差に悪影響を及ぼすことなく成長率を高めるかという問題は、著しく研究が不足している。

構造改革とは、経済の組織のあり方を根本的に変える政府の政策群である。具体的には、貿易、競争、海外直接投資に向けた経済の開放、国有資産の民間部門への移転、製品市場の規制緩和、労働市場の柔軟性を高めることを目的とする措置などが含まれる。

近ごろ、「次の危機に備えられていない」とよく耳にする。このコラムでは、現在の景気回復にさえ備えられておらず、改革を理解するまではその状態が続くと論じる。構造改革は政治家任せにするにはあまりに重要だ。改革の推進要因を改めて検討し、その影響を理解することで、改革の費用、便益、推進要因、動態について、包括的かつ批判的で、教条的でない、喫緊に必要な評価を行う必要がある。

概念上の論点

欧州の景気回復における構造改革の役割には、二つの懸念がある。一つ目は、2008年以降に経験した低成長をケインズ主義の観点から解釈することに由来する(Eggertsson and Krugman 2012, Eggertsson et al. 2014, Fatás 2016, De Grauwe and Ji 2016)。構造改革によって供給側を改善する政策を実施しても、需要や生産が自動的に増えるわけではない。構造改革は需要を減少させ、経済をさらに停滞させることさえある。新著では、欧州で実際にそうしたことが起きた証拠を示している(Campos et al. 2018)。その証拠には、成長を促すうえで、公共投資が大半の構造改革プログラムより強力な手段であることも含まれる。

この文脈では、改革を実施するタイミングが鍵となる(Eggertsson et al. 2014)。景気後退期に実施すると、後退を悪化させる改革もあり、その結果、意図せず自由市場への反感を生み、さらなる改革に取り組む政治的決意を弱めるおそれがある。したがって、構造改革は、EUで行われてきたように景気後退に対処する手段と見なすべきではなく、人々の福祉を高める手段とすべきである。

構造改革プログラムに対する二つ目の批判は、持続的な成長を実現できる国の経済力を高めるために必要な、具体的な構造改革を特定する重要性を強調する。一部の構造改革は、経済実績の改善に根本的な貢献を果たし得る。労働市場と製品市場の柔軟性に焦点を当てることは、たとえば格差への悪影響を理由に望ましくない場合もあり、成長を促すのに十分でない場合もある(Rodrik 1996, 2005)。

課題

本書の全体的な目的は、最先端の研究成果を整理し、構造改革をめぐる重要課題について必要とされる新たな研究を特定することにある。一部の構造改革は、欧州全体の経済実績の改善に根本的な貢献を果たすとともに、欧州統合の促進にも寄与し得ると確信している。一方、さまざまな改革プログラムの費用と便益を包括的かつ批判的で、教条的でない形で評価することが、今後の政策を導く鍵だと考える。これにより、構造改革が有益となる条件を特定できる。今後の研究では、構造改革が経済成長に及ぼす一般的な直接的影響の評価から、より幅広い課題や研究上の問いへと大きく軸足を移す必要がある。

第一に、構造改革の直接的な効果が重視されてきたため、間接的な効果は比較的注目されてこなかった。たとえば、ある改革が経済成長に及ぼす影響を直接特定できないのは、効果がないからではなく、別の変数を通じて間接的に作用するため、あるいは別の改革の効果に左右されるため(相互作用効果など)という場合がある。こうした間接的な効果を無視すると、構造改革の影響を適切に評価できない。

第二に、構造改革の直接的な効果に焦点を当ててきた結果、構造改革の決定要因、すなわち改革の政治経済学に関する研究も、比較的未発達なままとなっている。構造改革がどのように実現するのかを理解することは、その効果を理解することと同じくらい重要である。たとえば、債権国が上から押しつける改革(ギリシャやポルトガルの場合のようなもの)は、便益について社会的合意が形成された結果として実施される改革と同じような好影響をもたらすとは考えにくい。

第三に、研究の範囲には、改革の最適な実施時期に関する、より詳細な検討も含めるべきである。景気後退期に実施された構造改革は一般に、好況期に実施された改革ほど効果を上げないことは、すでに分かっている。同様に、新たな工業化を始める新興国で有効な改革も、脱工業化が進む成熟経済に適用してもうまく機能しない場合がある。関連する要素として、改革の順序も挙げられる。改革プロセスの最適な順序に関する文献は数多くあり、順序が重要であることを示している。つまり、改革をどの順番で実施するかによって、経済成長への短期的および長期的な影響は大きく異なる可能性がある。

第四に、改革が実施される制度的枠組みと政治体制の性質がある。合意形成を基盤とする政治体制や制度では、合意成立後に改革がより広く受け入れられる。一方、対立的な性格が強い体制では、改革後の過程で対立が生じ、実施が覆されることもある。政治体制や制度における他の多くの違いも影響し得る。

要点

さまざまな改革プログラムの費用と便益を包括的かつ批判的で、教条的でない形で評価することが、今後の政策を導く鍵だと考える。改革プログラムは、何らかの隠れたイデオロギー的議題を技術的に実施するためのものであってはならない。

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