マイクロファイナンスの次はナノファイナンス。開発の未来を担う理由

Tairabi Pathan, 40, who took a loan of rupees 10,000 ($220) from a micro finance company to start her own business, arranges her goods for sale at the side of a road in a slum area in Mumbai October 26, 2010. India's microfinance industry, which surged to prominence when George Soros-backed SKS Microfinance raised $358 million in an IPO, faces a regulatory clampdown that could erode profits and hurt growth. Reports of dozens of suicides by poor borrowers in the southern state of Andhra Pradesh, the hub of India's microfinance sector, prompted the state to enact an rules against aggressive recovery practices by lenders who make loans that average about $150 to poor customers at interest rates that can top 30 percent. Picture taken October 26, 2010. To match analysis INDIA-MICROFINANCE/ REUTERS/Danish Siddiqui (INDIA - Tags: SOCIETY BUSINESS) - GM1E6AS11VZ01
Image: REUTERS/Danish Siddiqui
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ムハマド・ユヌス氏とグラミン銀行が、マイクロファイナンスを通じて「草の根から経済・社会開発を生み出す取り組み」を行ったとして、2006年のノーベル平和賞を受賞してから、ほぼ12年が経つ。それ以来、約20ドルの融資に大きな世界市場が存在するという革新的な発想として始まったマイクロファイナンスは、世界を変えたと称賛される一方、貧困を解消できていないと批判もされてきた。

現在、マイクロ融資を行う銀行の大半は、より高い金利を課し、より大口の融資を勧めている。その理由の一つは取引コストであり、50ドル未満の融資は発行コストが法外に高くなる場合がある。こうして、多くの世帯が望まず、返済を負担しきれない大口融資を余儀なくされ、何カ月、あるいは何年にもわたり重荷を背負うことになる。大口融資では、マイクロファイナンスを利用できる製品や製品群の種類も限られてしまう。

ここ数年、モバイルマネーが広く普及したことで、従来型のマイクロファイナンスに伴う取引コストの削減や撤廃が進み、起業家がこれまで十分なサービスを受けられなかった市場に働きかける後押しとなっている。実物商品に加え、サービス業界、賃貸購入型の技術、エネルギーサービスのプラットフォームでも、モバイルマネーが受け入れられるようになっている。

エネルギーサービスへのアクセスの民主化は、ソーラー照明から始まり、LPG調理(液化石油ガスのボンベを使った調理)へと広がった。例えば、私の会社Envirofitは、調理しながら携帯電話でガス代を前払いできる新しい「SmartGas」サービスを提供している。こうした技術の進歩により、世帯は日々または週ごとに、必要で欲しいサービスの料金を支払えるようになる。顧客がより少額を借り入れ、硬直的な返済日程を避けられるようにするナノファイナンスの登場は、ナノファイナンス、これまで十分なサービスを受けられなかった人々に届く可能性をかつてなく広げている。

Image: Envirofit

マイクロ融資でもまだ大きすぎる場合

数年前、ネパールで、医療費向け融資を提供するマイクロファイナンス・プログラムに参加していた家族を訪ねた。その基金はもともと、出産ケアを手頃な価格にするために設立されたものだった。母親に融資金の使い道を尋ねると、「石けんを一個買いました」と答えた。費用は約0.50ドル。このような少額の融資は彼女にとって必要だったが、銀行が大規模に回収・管理するには、時間と資源に見合わない。

Envirofitが事業を展開する市場では、10ドルを超える商品には融資が必要となる。当社の調理用コンロは25~60ドルで、新興市場の消費者が購入しやすくするため、マイクロファイナンス機関との提携が必要だった。マイクロファイナンス機関は、商品や借り手に関する複数の要因に応じて金利が異なる6~12カ月の融資を提供し、できるだけ多くの人々にサービスを届けようとしている。こうした取り組みにより、当社は世界で150万台のコンロを販売できたが、従来のマイクロファイナンスの実情が合わず、依然としてアクセスが難しい消費者が大勢いる。

マイクロファイナンスが支援しにくい世帯は、一般にリスクを避ける傾向があり、正式な融資に不安を抱いている家族である。その多くは非公式な融資グループに属しているものの、たいていはこれ以上借り入れる余地がない。積立購入のような貯蓄方法を好むが、それが実際の購入につながることはめったにない。

供給側にも課題がある。支払いを対面で回収しなければならない場合、担当者が遠隔地の村まで長時間かけて出向く必要がある。当然ながら、この方法では必要に迫られ、柔軟性のない定期的な回収日時が設定されがちだ。しかし、天候、作物の収穫量、資源の入手状況など、さまざまな要因によって顧客の収入が変動するなら、このような硬直的な返済計画ではニーズに応えられない。

銀行を家庭に届ける

従量払い方式を通じて、ソーラー照明企業数社はすでにナノファイナンスを活用し、多くの顧客には手の届かない先進的な家庭用品を、ケニアの何千もの家庭に届けている。この場合の「融資」は照明システムそのものであり、世帯がサービスを利用したい頻度に応じて返済する。「支払いのリマインダー」となるのは、日没後に勉強や仕事をするための家庭の明かりだ。システムにはインターネットに接続するIoT(モノのインターネット)技術が搭載され、企業は利用状況を把握できるため、顧客に先回りしてサービスの連絡を行える。これにより利用と普及が促進される。

Envirofitの調理時従量払い融資のように、このナノファイナンス・モデルは、クリーンな調理へのアクセス拡大にも活用され始めている。SmartGasの顧客は、モバイル決済機能付き流量計を備えたLPGタンクを借り、1日わずか0.50ドルから柔軟に支払える。タンクのガスが切れる前に、Envirofitへ電子通知が届き、次のタンクを配達する。Envirofitは、LPGコンロや照明、水フィルターなど、ほかの製品を融資に追加することもできる。

ナノファイナンスは、顧客の消費習慣に合うことで顧客の役に立つ。つまり、ナノファイナンスは銀行を顧客のもとへ届ける。柔軟なサービス計画と組み合わせることで、その技術は長期的な利用を促す新たなコミュニケーション手段を生み出す。顧客には支払いに関する自動リマインダーのほか、機器の状態、燃料残量、使用状況に関するメッセージが届く。私たちは、優れた技術を備えるだけでは成功に不十分だと認識しているため、継続的な研修やその他の支援も提供している。

予測できない世界に対応する柔軟性

柔軟な融資の選択肢だけでは十分ではない。ナノファイナンスが人々のニーズに真に応えるには、支払い方法にも柔軟性が必要だ。従量払い型ソーラーから得られた教訓によると、収入の変動はナノファイナンスの債務不履行を招く最大要因の一つである。企業は収入の不確実性を考慮したサービス計画を設計することで、この問題を緩和してきた。ほかの支出を優先しなければならない顧客も、機器をそのまま利用できる。再び使う準備ができたら、電話かSMSを一本送るだけでシステムを再開できる。

今後は、調理時従量払いのようなナノファイナンス・サービスのプラットフォームが、マイクロファイナンス機関のインフラや顧客との関係を活用して、融資の返済回収を支援できるかもしれない。将来、エネルギー製品の購入にマイクロファイナンス融資を使う人は見られなくなると私は予測する。代わりに、家庭用品・サービスの提供企業が従量払い型ナノファイナンス企業と提携し、人々が必要とし、望むより多くの製品を対象に、少額で柔軟な家庭向け融資を提供するようになるだろう。

ナノファイナンスは、家庭用エネルギーシステムへのサービス提供から、独立した金融チャネルへと発展する可能性を秘めている。これは低・中所得世帯に持続的にサービスを提供する次の進化段階であり、顧客ケアや支援の窓口を増やすことで、世帯とのより強固な関係づくりにも役立つ。ナノファイナンスにより、社会的企業はこれまで十分なサービスを受けられなかった市場にさらに広く届き、より多くの人々が豊かに暮らせるよう支援できる。

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