シエラレオネの鉱業法から学ぶ教訓

シエラレオネの鉱業法から学ぶ教訓
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影響を受ける地域社会との関係は、鉱業活動の成否を左右し得ます。事業の観点から見ると、地域での紛争は大規模鉱山に週あたり 2,000万米ドルを超える損失をもたらすことがあります。まして、地域住民の不満が暴力的な紛争へと発展した場合、命が失われ、開発が阻まれるという、より広範な犠牲は言うまでもありません。

これを受け、鉱業会社や政府の間で「地域社会開発協定(CDA)」を導入する動きが広がっています。これは、企業と指定された地域社会との間で結ばれる、地域開発に関する正式な取り決めの総称です。CDAの対象は地域社会と企業の関係全般に及び、社会・環境への影響、利益配分、雇用、モニタリング、苦情救済などが含まれます。

CDAは、各国の法律や政策に急速に広がっています。1980年代半ば以降、32カ国が鉱業法典に地域社会開発に関する規定を採用し、 現在9カ国で導入手続きが進められています。CDAモデルは、新たな「最善 の実践」となりつつあるようで、 ラギー原則 から 国際金属・鉱業評議会 に至るまで、さまざまな取り組みがその価値を改めて示しています。

政策立案者や実務者はしばしば、CDAには地域社会が自らの統治により大きく関与できるようになる、苦情処理制度の確立によって紛争が減る、資源が地域社会の明示したニーズに直接振り向けられるため、より良い開発成果が得られる可能性がある、といった利点があると主張します。

こうした主張は妥当でしょうか。「こうした協定の実施には重大な失敗がある との兆しもある一方、実証研究や政策対話は不足しています。 現存する研究 は協定の条項に焦点を当てており、それと同じほど、あるいはそれ以上に重要な参加プロセスや実施の仕組みを扱っていません。

こうしたプロセスへの投資と、その結果には世界各地で大きなばらつきがあります。高く評価されているニューモント社の アハフォ 金鉱プロジェクトのCDAは、 3年間にわたる 能力構築と交渉のプロセスを経て成立しました。対照的に、リベリアの林業部門では、ひな型のCDAが農村地域社会に対し、 協議も 説明もないまま、署名を求めて提示されるのが一般的で、地域社会の不満を和らげる効果もほとんどありませんでした。

世界銀行は、シエラレオネなどの顧客と連携し、こうした学習面と実施面の不足に対処しています。エボラ出血熱の流行前、シエラレオネはCDAを体系的に実践していた複数の国の一つでした。同国の 2009年鉱業法 および規則にはCDAに関する規定が盛り込まれ、収益配分、透明性のある地域社会の統治、ジェンダー戦略などの要素が定められていました。しかし、実施は遅れていました。現在まで、同法の要件を満たすCDAは一件も締結されていません。

前途有望な出だしは、2014年にエボラ出血熱の流行が初期の導入プロセスを中断させ、 国内最大の鉄鉱石鉱山2カ所が操業を停止したことで 深刻な経済的打撃を受け、頓挫しました。しかし、こうした課題、とりわけエボラ出血熱の流行は、二つの重要な原則も明らかにしました。

第一に、シエラレオネの経済回復は採取産業からの収入にかかっています。第二に、脆弱性や紛争に伴うストレスには戦略的に対処する必要があります。これらは、 初期の感染拡大への対応を妨げたのと同様に、復興の取り組みを阻む可能性が高いためです。こうした現実を認識し、国家鉱物庁は、脆弱性に配慮した戦略の一環としてCDAの導入再開に向けた緊急の措置を講じています。市民・国家・投資家のパートナーシップを構築し、投資による開発の恩恵を引き出すことが狙いです。

これまでに、国家鉱物庁が主導し、世界銀行も参加する小規模な複数利害関係者グループがモデル協定を策定しました。これは、鉱山ごとの交渉と実施に向けた出発点となります。地域社会との本格的な対話が始まる前のこの初期段階でさえ、重要な課題がいくつもあります。

ある地域社会では、パラマウント・チーフが、自身の門番としての役割を侵害するものとして、透明性向上を求めるいかなる声にも断固反対する、と明言しています。別の地域では、関与している市民社会組織(CSO)に、遵守状況を効果的に監視するための財務リテラシーがあるのか、まして燃料手当があるのかが問題となっています。また別の場所では、意思決定者が、適格な「主要受入地域社会」を判断する基準に頭を悩ませています(近接性、影響、あるいは問題を起こす能力に基づくべきでしょうか)。

確かに、CDAには繁栄の共有と真の地域パートナーシップに貢献する大きな可能性がありますが、その可能性が自動的に実現するわけではありません。危険性には、開発に前向きな成果を得る機会を逃すことだけでなく、既存の非公式な合意を損ない、新たな紛争の波を招くリスクも含まれます。だからこそ、こうした変革をもたらし得る手段を効果的に活用する方法について、利害関係者が知見を生み出し、共有することがいっそう重要なのです。

CDAを実施すべきか、またどのように実施すべきかは、形式上の妥当性という考え方に委ねるべきではありません。地域開発、ガバナンス、紛争の各面で成果を高める成功・失敗要因を理解することに基づくべきです。

本記事は、 世界銀行の「ガバナンスと開発」ブログとの協力により公開されています。掲載は、世界経済フォーラムが本記事の見解を支持することを意味しません。

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著者:ジャレッド・ショットは、世界銀行のガバナンス・グローバル・プラクティスに所属するガバナンス・正義専門官です。フェリックス・マルコ・コンテは、世界銀行のガバナンス・グローバル・プラクティスに属する「貧困層のための正義プログラム」のプログラム・オフィサーです。ネイサニエル・キングは、世界銀行の「貧困層のための正義プログラム」のコンサルタント研究員です。デヴァル・デサイは、世界銀行のガバナンス・グローバル・プラクティスに所属する正義・紛争・ガバナンス専門官です。ニコラス・メンジーズは、世界銀行法務担当副総裁室の司法改革プラクティス・グループに所属する司法改革専門官です。

画像:空撮写真には、塩の採取者が掘った穴にたまり、鉱物の色を帯びた水たまりが塩原に広がる様子が写っています。REUTERS/Finbarr O’Reilly。

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