2011年、マーク・アンドリーセンは、ソフトウェアが世界を飲み込んでいると宣言しました。大半の企業がソフトウェア主導になるという考えは、当時は予測でした。今日では、それは必須要件です。
ロウズとシーメンスは、アンドリーセンがこの主張をする何年も前に設立された企業のうちの2社にすぎません。両社は今後1年間で3,000人を超えるソフトウェアエンジニアを採用する計画です。デジタル変革を進める企業は、ベンチャーキャピタルの支援を受けたテクノロジー中心の企業と、同じ人材をめぐって競っています。2018年には、ベンチャーキャピタル(VC)ファンドが1,300億ドルを超える資金を投資し、巨額の売上目標を支える研究開発の成長を促しました。
消費者の嗜好がデジタルでの関与へと移るなか、大多数の企業はソフトウェア主導になるでしょう。俊敏性と規模の拡大が必須となり、技術革新がコスト効率を高めています。しかし、こうした取り組みを支える資金は豊富にある一方、ソフトウェアエンジニアリングの人材は慢性的に不足し、採用も困難です。
テクノロジー人材より資金のほうがはるかに豊富
2018年に実施されたStripeとハリス・ポールの調査では、経営幹部の61%が、自社にとって最大の脅威は技術人材の不足だと感じていると回答しました。一方、71%は開発者が製品の市場投入を早めると答え、70%は売上増加に貢献すると考えていました。
Karatでは、ソフトウェアエンジニアを採用する必要がある企業に代わって、技術面接の一次選考を実施しています。しかし、規模を拡大しながら採用候補者を的確に評価するための専門知識やインフラが不足し、採用目標を達成できない企業があります。ソフトウェア主導の組織が、収益を生み出す新製品の開発と並行して、採用目標の達成に必要な数の面接を実施できるだけのリソースを持つことは、まずありません。
その結果、テクノロジーリーダーは非常に苦しい選択を迫られます。採用目標を達成するために、チームの時間を面接に充てるべきでしょうか。それとも、会社の収益目標を達成するため、製品開発に注力すべきでしょうか。
しかし、これは選択の問題ではありません。テクノロジーリーダーは、競争力を保ち目標を達成するために、採用と開発に投資しなければなりません。
面接のギャップ
面接は採用プロセスに欠かせない段階です。誰もが受けられる公平なものであり、誤った不採用をなくし、優秀な候補者を排除するのではなく選び出せるものであるべきです。しかし、面接を任されたソフトウェアエンジニアの大半は、面接の訓練を受けておらず(あるいは十分なスキルがなく)、さらに多くの人が面接の実施を生産性への負担だと感じています。
当社の取り組みを通じて、企業が候補者面接に活用しているソフトウェアエンジニアリングチームの割合は、わずか10~20%にとどまることが多いと分かりました。その一方で、採用目標の達成率は64%未満です。
今日、面接を実施できるソフトウェアエンジニアの数と、将来のエンジニアを面接するために必要な数との間にあるこの隔たりは、「面接のギャップ」と呼ばれています。

面接のギャップは、面接の実施能力、一貫性、機会の不足として表れます。これにより、社会や経済に大きく3つの影響が生じます。
1.優れた仕事に挑戦する機会を得られないテクノロジー人材が多すぎる。
2.面接によってエンジニアリングの生産性が損なわれる。
3. ソフトウェアエンジニアリングチームが採用目標を達成できない。
技術人材があらゆる企業で必要とされるなか、面接のギャップは経済成長を脅かす深刻な問題です。
求職者には面接を受ける平等な機会が必要
技術面接は、今日の世界経済で最良の仕事に就くための入り口です。求職者がそうした仕事に就くには面接を受ける機会が必要であり、企業が世界水準のチームを築くには面接を実施する機会が必要です。しかし、企業が面接の実施能力を希少な資源として扱うと、候補者と企業の双方で機会が制限され、面接のギャップが広がります。
さらに、面接を受ける機会がないと、候補者は仕事に就けず、次の機会に向けて実力を高めるための練習もできないという悪循環が生まれます。適切な経験を得る機会の不足は、キャリア初期の候補者、なかでも十分に代表されていないマイノリティ、女性、そして貧困地域の出身者に、より大きな影響を及ぼします。
最近、当社はチャン・ザッカーバーグ・イニシアチブと協力し、ジョージア州アトランタのモアハウス大学で技術面接のワークショップを開催しました。この取り組みを振り返り、同イニシアチブの多様性、公平性、包摂性担当リードであるモーリス・ウィルキンス氏は、母校のコンピューターサイエンス専攻の学生に就職活動のスキルだけでなく面接スキルを教えることがなぜ重要なのかについて、次のように述べています。「私たちが話題にしているのは、多くの場合、機会へのアクセスの格差です。スキルを磨く機会だけでなく、『適切な』経験を得る機会にも格差があります。」
面接を受ける機会を広げることは、その本質において包摂的な施策です。多様性のあるチームにつながり、それがイノベーションと成長を促す原動力となることが実証されています。当社はパートナーシップを通じて、組織が面接できる候補者の数を大幅に増やす様子を見てきました。
面接の実施能力の不足は士気と生産性を損なう
求職者を面接するための適切な経験を持つ熟練ソフトウェアエンジニアが不足すると、面接の実施能力にギャップが生じます。野心的な製品開発目標を担うと同時に、積極的な採用目標の達成を迫られているテクノロジーリーダーと、当社は頻繁に話をします。あまりに多くの場合、彼らから「エンジニアたちは面接に疲れ果てています」といった声を聞きます。そうなると士気が下がり、候補者は悪い経験をし、チームは築かれず、製品もリリースされません。
急成長を遂げるチームでは、この問題が特に顕著です。MuleSoftの創業者ロス・メイソン氏(同社はSalesforceに65億ドルで買収)は、会社が急成長していた頃、少数のリーダーシップチームにすべての人材の評価を頼っていたと振り返っています。「従業員が1,000人になるまで、採用面接には毎回、私たち3人が面接担当として参加していました。惨めな気分でした。」
MuleSoftとのパートナーシップを通じて、面接のギャップを解消すると、エンジニアリングチームの生産性が大きく向上することを直接確認しました。それにより優れた製品の開発が進み、士気も高まります。
規模を拡大するには、面接の専門性と一貫性が必要
企業が成長するにつれ、拠点ごとに独自の採用基準やプロセスが生まれやすくなり、採用プロセス全体の健全性が損なわれます。これは主に、プロセスがベストプラクティスに基づかず、面接担当者が有効だと感じる方法に左右されるためです。
人材プールを広げるために新しいオフィスを設ける場合、この問題は特に深刻です。テクノロジーリーダーは、新たなスキルセットを備えたチームを新しい場所に立ち上げる任務を担うこともあります。たとえば、開発チームを新たにシアトルで立ち上げようとしても、エンジニアの大半がサンフランシスコやシンガポールにいる場合、採用候補者を面接するための同等の知識を持つチームメンバーがいないことがあります。
複数の拠点にエンジニアリングチームを置く組織には、面接プロセスを一元化し、構造化して一貫性を持たせることが有効です。
Karatが実施した数万件に及ぶ技術面接を通じて、一元化された面接の実施方法と、それを支えるインフラが、面接の公平性と大規模採用における一貫した結果を促すことを確認しました。
面接のギャップを解消する
面接のギャップは、チームと個人の経済成長を脅かす世界的な現象です。これを解消することは、ソフトウェア主導の企業が次に実現できる競争優位となります。一貫性があり、構造化され、公平な面接を受ける機会を広げれば、競争条件を平等にし、ソフトウェアエンジニアリングの生産性を高め、成長するチームが採用目標を達成できるようになります。
面接のギャップを解消すれば、企業のチームと、まだ実力を発揮する機会を得ていない次世代のソフトウェアエンジニアとの間に橋を架けることができます。



