ピュー・リサーチ・センターの分析によると、過去2年間に44の先進国・地域のうち37でインフレ率が倍増した。
2022年第1四半期、トルコのインフレ率は54.8%と、他国を大きく上回った。
インフレ率が最も急速に上昇した国はイスラエルで、25倍に増加した。
ただし、インドネシア、サウジアラビア、日本などは例外だ。
2年前、何百万人もの人々が失業し、中央銀行の総裁や政治家が米国経済をある景気後退から立て直そうと努めていたとき、パンデミックに起因する景気後退のなかで、インフレは後回しの問題に見えた。その1年後、失業率が下がりインフレ率が上昇するなか、同じ政策担当者の多くは、物価上昇は「一時的」だと主張した――供給網の混乱、人手不足など、いずれは早晩解消する問題が原因だというのだ。
現在、インフレ率が1980年代初頭以来の水準に達するなか、バイデン政権当局者は、見通しを誤ったと認めている。労働統計局の最新報告によると、消費者物価指数で測った5月の年間インフレ率は8.6%で、1981年以来の高水準だった。消費者物価指数。そのほかのインフレ指標も過去1年ほどで大幅に上昇しているが、上昇幅はCPIほどではない。
米国のインフレ率は長い間比較的低水準だったため、何世代もの米国人にとって、急激な物価上昇は遠い過去の遺物のように思えたかもしれない。1991年初めから2019年末まで、前年同月比のインフレ率は月平均約2.3%で、5.0%を超えたのはわずか4回だった。現在、米国人はインフレを国の最重要課題と見なし、ジョー・バイデン大統領はこの問題への対応が自身の国内政策の最優先事項だと述べている。
しかし、米国はインフレによる急激な変化を経験している唯一の場所ではない。44の先進国・地域のデータを分析したピュー・リサーチ・センターによると、ほぼすべてで、パンデミック前と比べて消費者物価が大幅に上昇している。
世界各地のインフレ
この44カ国のうち37カ国では、今年第1四半期の年間インフレ率の平均が、COVID-19が深刻な拡大を始めた2020年第1四半期の少なくとも2倍だった。16カ国では、第1四半期のインフレ率が2年前の4倍を超えた。(この分析では、主に高度に発展した民主主義国で構成される経済協力開発機構(OECD)のデータを使用した。データの対象は、OECD加盟38カ国のうち37カ国に加え、経済的に重要なその他の7カ国。)
調査対象国のなかで、2022年第1四半期のインフレ率が突出して高かったのはトルコで、驚くべきことに54.8%に達した。トルコでは長年高インフレが続いていたが、政府が金利を引き上げるのではなく引き下げるなどの非伝統的な経済政策を進めたため、2021年後半に急上昇した。
過去2年間でインフレ率が最も急速に上昇した国はイスラエルだ。イスラエルの年間インフレ率は、2012年初めから2021年半ばまで、各四半期で2.0%を下回り(マイナスになることも珍しくなかった)、2020年第1四半期には0.13%だった。しかし、比較的軽度の景気後退を経て、イスラエルの消費者物価指数は急速に上昇し始めた。今年第1四半期の平均は3.36%で、2020年の同じ時期のインフレ率の25倍を超えた。
イスラエルのほか、2020年から2022年にかけてインフレ率が大幅に上昇した国には、2022年第1四半期に2年前のほぼ20倍となったイタリア(0.29%から5.67%)、2020年第1四半期のマイナス0.13%から今年の同じ時期に2.06%となったスイス、そして経済の混乱をよく知るギリシャがある。2010年代半ばにギリシャ経済が崩壊寸前に陥った後、同国では数年間、低インフレが続いた。パンデミック最初の春から夏にかけて始まったものを含め、デフレも複数回起きた。しかしその後、物価は急騰した。今年第1四半期のギリシャの年間インフレ率は7.44%に達し、2年前(0.36%)のほぼ21倍となった。
今年第1四半期の米国の年間インフレ率は平均で8.0%をわずかに下回り、調査対象44カ国のうち13番目に高かった。米国の第1四半期のインフレ率は、2020年第1四半期のほぼ4倍だった。
各国のインフレ率の絶対的な水準にかかわらず、ほとんどの国では同じ基本パターンに沿った変化が見られる。2020年第1四半期にCOVID-19のパンデミックが発生する前は比較的低水準で、その年の残りから2021年にかけては、多くの政府が経済活動の大半を大幅に制限したため横ばい、または低下し、世界が平常に近い状態を取り戻そうと苦闘するなか、2021年半ばから後半にかけて上昇に転じた。
ただし、全般的な低下後の急上昇というパターンには例外もある。たとえばロシアでは、パンデミック期間を通じてインフレ率が着実に上昇し、ウクライナ侵攻を受けて急騰した。インドネシアではパンデミック初期にインフレ率が低下し、その後も低水準が続いている。日本では、何年にもわたり低すぎるインフレ率への苦闘が続いている。一方、サウジアラビアでは逆のパターンとなった。インフレ率は急上昇したものの、2021年後半に大きく低下した。その後は少し上昇したが、依然としてわずか1.6%だ。。
先進国でのインフレは、まだ収束していないようだ。OECDの中間報告によると、加盟38カ国のうち32カ国で、4月のインフレ率は3月の数値を上回った。





