独立運動:欧州の逆説

独立運動:欧州の逆説
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欧州連合(EU)とユーロ圏の形成は、20世紀および21世紀における最も野心的な政治・経済プロジェクトの一つとして称賛されてきた。

ユーロ圏は発足当初、経済的覇権をめぐる米国の強力な競争相手と見なされていた。とりわけ2000年代初頭、不利な為替レートに対応しようとする米国人観光客にとってはそうだったかもしれない。しかし、真の実力が試されるのは危機のときだ。2008年の大不況と欧州債務危機がもたらした混乱からユーロ圏がよろよろと抜け出すなか、そこに生じた亀裂がいっそう明らかになっている。ユーロ圏は「グレグジット」のうわさが周期的に浮上することで危機にさらされているだけでなく、ユーロ圏を構成する多くの国々も、自らの存立に関わる困難に直面している。地域レベルの独立運動が、国民国家という考えそのものに挑戦しているのだ。

EUとユーロ圏が直面する問題を捉えるため、一方の端ではきつく巻き締められる一方、もう一方の端では同時にほどけていくロープを想像してみよう。欧州で超国家的な権限が拡大するにつれ、欧州理事会、欧州議会、欧州中央銀行といった機関の台頭が、従来の国民国家という概念に疑問を投げかけている。

ユーロ圏が低成長、経済停滞、経済不振、高失業率の時期から抜け出せずにいるなか、ユーロ圏にとどまることの有用性を疑問視する人が増え始めている。例えばギリシャでは、通貨同盟への加盟によって通貨切り下げができず、低迷する経済の立て直しに役立った可能性のある措置を取れなかったため、超国家的権限による制約への不満が高まっている。

しかし、国家と超国家の権限が正面から衝突することに加え、国民国家そのものの内部にも独立運動がある。例えばEU内には、自らの地域が属する国民国家からの分離を望みながら、EUまたはユーロ圏にはとどまりたいと考える市民がいる。

EUでは、市民は一般に仕事を求めて国から国へ自由に移動できる。労働力の流れは、EU内の経済発展が遅れた国から、より発展した国へ向かう傾向がある。景気が良いときには、移民が「仕事を奪っている」という言説はあまり聞かれない。しかし経済状況が悪化して圧力が高まると、国や文化の間で反感が募る。もちろん、社会福祉国家という考えは欧州に深く根付いているが、経済というパイが縮小すると、分かち合うことは一般に難しくなる。

EU内の持てる者から持たざる者への資金移転に対する不満が高まっている。ドイツがいわゆるPIGSへの融資に消極的な姿勢を示していることにも表れているが、経済的な逆風に直面する構成国の内部でも、富裕な地域が貧しい地域へ資金を移すことに以前ほど前向きでなくなり、同様の傾向がますます見られるようになっている。

独立運動の根本原因として民族・文化間の対立がしばしば挙げられるが、問題の多くはもっと根源的なもの、つまり単純な経済問題に行き着く。

富の移転に関しては、どこでもおおむねこうした感情があるようだ。「景気の良いときも好きではないし、悪いときは大嫌いだ」。ここで各国固有の問題をいくつか見て、こうした独立運動がEUとユーロ圏の将来に何を意味するのかを考えてみよう。

ベルギー

北海に面する人口1,100万人の国ベルギーは、オランダ、ルクセンブルク、フランス、ドイツと国境を接している。ユーロ圏の比較的豊かな北部に位置するものの、ベルギーでは北部のフラマン人と南部のフランス語話者との間で、何十年にもわたり文化的対立が続いてきた。ベルギーのフランス語圏は主に工業と製造業を基盤としてきた一方、フラマン語圏は技術、医療、高級品製造など、付加価値の高い産業へ経済を転換することに成功してきた。

文化の違いがありながらも、両地域は共存し、少なくとも経済面では互いを補い合うことさえできていた。しかし、技術とグローバル化によって従来型の製造業が衰退した今、フランス語圏はフラマン語圏との均衡を保てなくなっている。経済格差のあるユーロ圏の地域の一部とは異なり、ベルギーのフランス語圏の問題は単なる循環的なものではなく、構造的なものだ。そのためフラマン人は、なぜ、そしていつまで、経済的に弱い同胞を支えなければならないのかと疑問を抱いている。

イタリア

欧州史を少し学んだ人なら、19世紀後半までのイタリアが統一国家ではなく、似通った文化と共通の言語基盤で緩やかにつながった、独立した自治地域の集合体だったことを思い出すだろう。(今日イタリアを訪れる人は、地域によってイタリア語の響きが今もかなり異なることに気づくだろう。)近代国民国家への統一は、中央集権的な権限を持つ大国であることの多くの利点をもたらしたが、万能薬ではなかった。地域間の対立は今も存在し、大不況以降、さまざまな面で激化している。

工業化が進み経済的に発展した北部は、統一以来、南部へ資源を移転してきた。そしてこの一方的な移転は、ここ数十年でさらに拡大した。その結果、北部同盟党は過去25年間で勢力を伸ばす政党として台頭した。イタリアの経済問題が深刻化するなか、北部同盟党の主要な政策の一つは、連邦制に戻すことだ。北部で生み出された富を中央政府へ移してから南部へ再配分するのではなく、北部にとどめる制度を目指している。

多くの政党と同様、意見の相違もある。北部同盟党の場合、目指す分離の程度をめぐって党員間に意見の違いがある。党の政策綱領を不満を表明する場と捉える人もいれば、抜本的な変革を求める党員もいる。例えば、イタリア国内の地域間移転を抑えたい党員がいる一方、より極端な立場では、イタリアの領土主権を解体し、国から離脱したいと考える北部同盟党員もいる。

スペイン

欧州で最もよく知られた独立運動の一つが、スペインのカタルーニャ人によるものだ。バルセロナを訪れる人は、高校で学んだスペイン語がこの地域ではあまり役に立たないと嘆くかもしれない。住民の多くがカタルーニャ語を話すからだ。この独立運動で興味深いのは、文化やアイデンティティの衝突として描かれることが多い一方、実際には今日の主な争点が経済であることだ。

カタルーニャは歴史的にスペインで最も豊かな地域の一つだ。観光、農業、製造業、そして近年では金融サービスや技術産業の恩恵を受ける、多様な経済を持つ。経済指標から見れば、独立したカタルーニャは確かに魅力的に映り得る。歴史や文化・言語の衝突に経済的な懸念を加味すれば、独立を支持する人々の一部には、カタルーニャの独立は避けられないように思える。

イタリアと同様、独立をどの程度求めるかはさまざまだ。「私たちから中央へ移転しているGDPの4~5%の代わりに、2~3%だけ、半分の額を移転すればよい。残りは自分たちのものにすれば、満足できる。連合にはとどまる」と言って満足している人もいる。

そうした融和的な見方を共有する人の一人が、現職のカタルーニャ財務大臣アンドレウ・マス=コレルである。ちなみに、大学院1年目の私の教授でもあった。対極には、スペインからの完全な独立を求める、より革命的な分離独立派がいる。

世界金融危機はスペイン国内の分断を浮き彫りにした。生産は急落し、失業率が上昇し、税負担はさらに重くなった。その結果、豊かな地域でわずかに恵まれている人々でさえ、誰もが圧迫されていると感じている。冒頭で触れたように、景気が良いときは移転同盟も容認されるが、悪くなると嫌悪され、ときには独立を求める鬨の声となる。

スコットランド

昨年秋に実施されたスコットランド独立の住民投票を検討せずに、欧州の独立運動を論じるのは重大な見落としとなるだろう。接戦を予想する初期の世論調査もあったが、スコットランド人は圧倒的多数で英国にとどまることに投票した。

スコットランドの投票は、これ以上ないほど興味深い時期に行われた。独立したスコットランドは石油の純輸出国となる可能性が高い一方、英国の残りの地域は純輸入国のままだろう。独立支持の多くはスコットランドの豊富な石油埋蔵量を前提としており、石油価格は上がり続けると考える人も多かった。ブレント原油価格が約100ドルのとき、独立は否決された。本稿執筆時点でブレント原油価格が約50ドルで推移するなか、スコットランドは今、石油産業を救済するための減税を求めている。スコットランド独立を最も熱心に支持していた人々の一部も、英国にとどまることの有用性を理解できるようになったのかもしれない。

本記事は Roubini Global Economics との協力により掲載されています。掲載は、世界経済フォーラムが見解を支持することを意味しません。

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著者:ヌリエル・ルービニは、ニューヨーク大学スターン経営大学院の教授であり、Roubini Global Economicsの会長。

画像:ECBの外にある水たまりに部分的に映るユーロの彫刻。REUTERS/Kai Pfaffenbach。

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