低油価は開発途上国の金融政策にどのような影響を及ぼすのか?

低油価は開発途上国の金融政策にどのような影響を及ぼすのか?
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少数の産油国や、通貨の急激な下落または国内要因によってインフレ率が急上昇した国を除けば、開発途上国のインフレ率はここ数カ月で大幅に低下し、今年は2009年以来の低水準になると予想されている(図1)。インフレ鈍化は広範に見られ、その主な要因は原油価格の急落だが、その程度は特に為替相場の動向、燃料補助金の規模、その他の価格規制を反映して異なる。

原油安によるこのディスインフレ効果はおおむね一時的で、2016年末までに消失するはずだ。しかし、コアインフレ率も同時に低下し、一部の新興国経済で成長が比較的弱かったことから、今年後半に予想される米国の金融引き締めに先立ち、複数の中央銀行が政策を緩和した(図2)。こうした最近の動向を受け、開発途上国の中央銀行は原油安にどう対応すべきかという問いが浮かび上がる。産油国と石油輸入国の金融当局が直面するトレードオフや課題には、どのような違いがあるのだろうか。原油価格急落の影響を分析した世界銀行の最近の 政策研究ノート が、いくつかの指針を示している。

原油安への対応を検討する中央銀行がまず考慮すべきなのは、インフレへの影響がどの程度持続するかを見極めることだ。エネルギーは重要な中間財であるため、特に価格や賃金の形成が硬直的な場合、その価格変動の影響は幅広い部門に及び、長期化する可能性がある。しかし、原油価格の変動が総合インフレ率に及ぼす影響は急速にピークに達する一方、コアインフレ率への影響は限定的にとどまる傾向がある。これは、例えば食品価格のショックや通貨下落のより持続的な影響とは対照的だ。この観点から、中央銀行は原油安の一度限りの影響に過剰反応すべきではない。特に通貨安が進んでいる場合はそうだ。ただし、中期的な期待も悪化する場合は別である。低インフレまたはデフレによって、物価安定に対する下振れリスクに金融政策がより敏感になり得る開発途上国は、比較的限られた数にとどまるだろう。

次に考慮すべき点は、原油安が生産に及ぼすと予想される影響だ。最適な金融政策ルールでは、成長とインフレを同じ方向に押し動かす総需要ショックには強力に対応する一方、生産と物価に相反する影響を与える供給ショックには、より中立的に対応することが求められる傾向にある。したがって、原油価格の変動に対する金融政策の対応は、ショックの発生源と総需要および潜在生産水準への影響によって大きく異なり得る。

産油国では、中央銀行は成長へのマイナス効果と、強い通貨圧力に直面するなかでインフレの安定および投資家の信頼を維持する必要とのバランスを取っている。秩序ある為替減価は、交易条件の悪化というショックに産油国が適応し、総需要への影響を抑える助けとなる。一方、無秩序な通貨変動はバランスシートに大きな負担をかけ、目標を上回るインフレ、経済活動の縮小、金融面の圧力上昇が同時に起こる難しい状況を招きかねない。産油国では一般に、実質為替レートまたは輸出品の自国通貨建て価格を安定させる金融政策の方が、消費者物価インフレ率だけを目標とする政策よりも、大きな厚生上の利益と安定をもたらすと考えられている。

開発途上の石油輸入国では、インフレ率の低下、経常収支の改善、世界的に良好な資金調達環境の継続により、中央銀行は短期的に政策運営の余地を広げてきた。しかし、原油安は最終的に総需要の拡大を後押しするはずである。一方、米ドル高に伴う圧力と、米国の利上げ局面が近づいていることから、一定の慎重さが必要となる。

今後数カ月、中央銀行は相反する動向や政策上のトレードオフに引き続き直面する。インフレ率が中期的な政策目標からいずれかの方向に乖離するリスクが最も大きい要因に、重点を置くべきだ。原油価格の下落は、現時点で政策姿勢に影響する多くの要因や考慮事項のうちの一つにすぎない。

この記事は当初、 世界銀行の「開発見通し」ブログに掲載されたものです。掲載は、世界経済フォーラムが見解を支持することを意味しません。

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著者:Ayhan Koseは、世界銀行グループ開発見通し局の局長です。Marcは、DECPGのグローバル・マクロ経済チームのコンサルタントです。

画像:トルコの地中海沿岸にあるチェイハン港の石油タンクで、作業員が階段を下りている。同港は国営の石油パイプライン公社(BOTAS)が運営する。REUTERS/Umit Bektas。

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