新興国市場はFRBの金融引き締めをどう乗り切るのか?

新興国市場はFRBの金融引き締めをどう乗り切るのか?
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米連邦準備制度理事会(FRB)による金融引き締めに言及するだけで、過去の新興国市場(EM)危機の苦い記憶がよみがえる。実際、1994年と1999年の米国金融引き締めサイクルは、メキシコとアジアの危機を引き起こす一因となり、両地域の経済と資産価格に大きな打撃を与えた。

FRBの「利上げ開始」は市場のボラティリティを高め、新興国経済への圧力をさらに強める可能性があるものの、証拠からは、EM全体として、世界の金利が乖離する状況に適応するうえで、より良い位置にあることがうかがえる。今後、各EM国の基礎的な経済ファンダメンタルズが、この資産クラスを左右する最も重要な要因となる。

外国為替市場の直近の動きにより、EM通貨は対米ドルで過去最安値を更新した。これらの通貨は2011年以降、価値をほぼ半減させている(下のグラフ参照)。EM通貨の下落には国ごとの要因もあるが、輸出の伸び悩みや、他の主要通貨に対するドルの全般的な上昇など、大きな世界的要因も作用している。

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しかし、EM金融市場における最近の調整で、おそらく最も重要なのは、大きな混乱が起きなかったこと、そして実際、ボラティリティが終始比較的低くとどまったことだ。

これは主に、EM経済がここ数年で整えてきた、マクロ経済政策の枠組みの改善と、金融面での柔軟性の向上による。1990年代の激動期を経て、多くの新興国は通貨を変動相場制に移行せざるを得なかった。この移行は、各国の中央銀行が独立性を獲得し、信頼性の高いインフレ目標政策を採用する助けにもなった。こうした政策枠組みの改善に加え、現地通貨建て金利の期間構造が発達し、公的債務の償還期間も長期化した。

変動為替相場と金利を組み合わせることで、EM金融市場はより効果的に自律的な均衡を取り戻せるようになった。通貨が変動し、債券価格が上下すると、それらは自動安定化装置として機能し、実体経済の変数への圧力を和らげ、1990年代に見られたような「従来型」のEM金融危機が起きる可能性を低下させる。

こうした進展の一部はすでに明らかだ。EMの現地市場は、2004年のFRBによる一連の金融引き締めをすでに経験しており、当初の市場の変動を経た後も、この資産クラスは比較的堅調だった。24カ月の間にFF金利が1%から5.25%へ上昇した局面でのことだ。現地金融市場は2008~2009年の危機にも耐えることができた。

さらに重要なのは、EM金融市場が今やファンダメンタルズに基づいて、はるかにうまく調整していることだ。「テーパー・タントラム」の局面では、対外ポジションが最も弱い国々が市場から最も厳しい評価を受けた。それ以降、市場は対外収支が改善した国々も評価し、通貨市場はより安定した(下のグラフ参照)。

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この点では、商品価格の暴落による交易条件の悪化で特に大きな打撃を受けたラテンアメリカ(LatAm)経済は、他のEM経済よりも大幅な為替下落も経験した。この点については、最近論じた「 集中する痛み、広がる利益」で述べた。

さらに、EM経済全般のGDP成長の減速が、株式市場を押し下げている。IMFが昨年4月に公表した最新の「 世界経済見通し 」では、2015年のEMのGDP成長率予測が5回連続で下方修正され、4.26%となった。2010年時点で同じ予測は6.7%だった(下のグラフ参照)。

GDP成長の停滞と商品価格の暴落は、特にラテンアメリカの株式市場に大きな打撃を与え、同地域は過去3年間、EMの中で最も成績の悪い地域となった。実際、過去5年間のブラジル株式市場の投資家リターンは年平均マイナス12.5%で、ギリシャに次いでEMで最も成績の悪い国となった。

しかし、通貨安と低迷する金融資産価格は、FRBの金融引き締めサイクルを前に、EMにとってむしろ好材料となる可能性がある。他の局面とは異なり、崩壊しうる明白なEMバブルが存在しないため、FRBの引き締めに伴う金融市場のボラティリティは、特に株式投資家にとって、魅力的な投資参入機会となるかもしれない。

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FRBの金融引き締めが予想され、名目成長率が比較的低い現在の状況では、EM投資における私たちの中心的なテーマは差別化だ。最近の「 FRBが譲歩するとき」でも論じた。信用ファンダメンタルズの強さ、魅力的なバリュエーション、経済改革の勢いを理由に、アジアの債券を選好する。構造改革の進展が期待される国としては、インドと中国が先行している(上のグラフ参照)。

また、ポーランドなど、東欧の一部の国も有望視している。その結果、米ドル建てEM債務は特に魅力的に見える。平均利回りは米国債の2倍であり、現在、EMのソブリン債務の大半は投資適格格付けを有する。

ただし、国の選別が極めて重要だ。成長の鈍化と商品価格の下落を背景に、信用格付けが引き下げられる可能性がある。ベネズエラ、ロシア、ブラジルは最も大きな下落に見舞われた国々だが、資産価格が大幅に下落したことで、これらの国の投資家はリスクに見合う、より高い補償を得られるようになっている。

「ラテンアメリカに関する世界経済フォーラム2015 」は、5月6~8日にメキシコのリビエラ・マヤで開催される。

著者:Gerardo Rodriguez、ポートフォリオ・マネジャー、Emerging Markets Multi-Asset Strategies責任者、BlackRock

画像:2015年4月28日、中国湖北省武漢市の証券会社で、株式情報を表示する画面の前に立つ投資家。REUTERS/Stringer

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