事業の成長に不可欠なイノベーションを推進するには、三つの重要な課題があります。イノベーションの火付け役となる人材を見つけること、それを持続させる適切な能力を確保すること、そしてイノベーションが花開く組織文化を育むことです。
Netflixは、世界で最も革新的な企業の一つとして知られるようになる前に、こうした課題に取り組みました。テレビ業界に変革をもたらしたことで名高いこのストリーミングサービスは、有料テレビの従来の価格モデルを下回る料金を打ち出し、テレビの視聴方法を変え、最高品質の番組を従来の開発サイクルに通す必要はないと証明しました。文化を変える取り組みは、2009年に発表された今では有名なプレゼンテーションから始まりました。それは、高い成果を上げる革新的な文化への道筋を示し、成果を出した人々に真に報いるものでした。
しかし、多くの企業は、革新的な文化を掲げることと、それを実現することは別だと気づきます。掲げている文化と実際の文化との間には、しばしば隔たりが見られます。こうした場合、ギャップ分析によって、企業が望むと述べている行動や成果と、実際に報奨の対象となっている行動や成果との不一致が明らかになります。
テクノロジー業界やニューメディア業界では人材への需要が非常に高いため、企業は働きがいのある職場でなければなりません。企業文化はイノベーションと成長を支える必要があります。優秀な人材を引きつけ、イノベーションに報い、成長する機会を与えるべきです。そのためには、失敗する自由を受け入れることが必要です。
イノベーションの推進を目指す組織には、三種類の人材が必要です。
チーム 問題を解決し、共に学び、イノベーションを起こす
マネージャー 人材の成長、学習、イノベーションを促す
シニアリーダー 戦略を定め、ビジョンを伝え、望ましい行動を自ら示し、組織のすべての要素がイノベーションのビジョンに沿って連携するようにする
イノベーションの潜在力が最も高い候補者には、創造性、学習の俊敏性、柔軟性、問題解決力、実験精神、粘り強さ、協働性、そして外部志向という特徴があります。
こうした特性をどう育めばよいでしょうか。強固な対話と、課題に関連する適切な意見の対立を通じて協働し、問題を解決し、発散してから収束できるチームを育成することです。また、チームを取り巻く環境やステークホルダーと関わり、学習やイノベーションに結びつくその他のチームプロセスにも取り組ませます。
専門知識や職務経験の水準が異なるメンバーで構成されたチームは、一般に問題解決、学習、イノベーションにも優れていることが分かっています。職務に関連する経歴があれば役立ちます。例えばGoogleは、多様な関心やスキルを持つ人材を採用しようとする一方で、事業に関連する分野、すなわちコンピューターサイエンスと数学の基礎スキルも求めています。
人材を見極め、育成するにあたり、組織は次の問いを自らに投げかける必要があります。
自社の事業にはどのような人材が必要か。
従業員の力を最大限に引き出すにはどうすればよいか。
チームやグループを個別に、また相互依存的に活用するうえで、最善の方法は何か。
マネージャーやリーダーをどのように選び、育成し、昇進させているか。新たな現実のもとで成功するには、彼らにどのような経験が必要か。
硬直しない視点や行動をどのように育み、促進できるか。イノベーターとそうでない人を分ける「発見のスキル」、すなわち関連づける、問いかける、観察する、実験する、ネットワーキングするといった能力をどう伸ばせるか。
シニアスタッフがチームのイノベーション力を高めるために、どのような研修が必要か。
リーダーはイノベーションを率先して進め、それを支える文化変革を推進する必要があります。強いチームを築き、学び続けられることを実証しなければなりません。そして全体を通じて、文化を形づくる要素と事業戦略を支える要素など、相互に依存する組織のすべての構成要素を一つにまとめ、イノベーションのビジョンを軸に足並みをそろえる必要があります。
著者:Dan Fisher、AlixPartnersのリーダーシップおよび組織効果プラクティスのディレクター。
画像:2015年3月17日、東京のビジネス街の歩道橋を歩く人々。REUTERS/Yuya Shino


