開発を促進し、気候変動に取り組むには

開発を促進し、気候変動に取り組むには
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「気候変動対策の方針に賛同しないかもしれない国を、どう巻き込めばよいのでしょうか?」

先週、ウィリアムズ大学開発経済学センターの学生たちに、最近の報告書『 気候スマートな開発:繁栄の構築、貧困の終結、気候変動との闘いに役立つ行動の便益を算定する 』の調査結果を紹介していたときに、この質問が出ました。私の講演が彼女の質問に答えられていればと思います。意思決定者はますます、緊急の開発優先課題に対応すると同時に、急速に温暖化する世界の課題にも対処できる投資判断があるかを知りたがっている、と私は指摘しました。

今週報道された3本の記事は、私たちの報告書のメッセージを裏付け、彼女の質問への答えをさらに明らかにしています。2本の研究論文は、ブラックカーボンと地表オゾン――いわゆる短寿命気候汚染物質(SLCP)に関係する大気汚染――がすでに インドの農業生産量を最大半分減少させていること、また、大気汚染の大きな発生源でありCO2も排出する石炭火力発電が、 中国で67万人の死亡を招いている ことを指摘しています。いずれも、気候に配慮した投資の選択肢を示す、地域の開発課題の典型例です。大気汚染によって深刻化している健康や農業の問題への解決策を政府が模索するなか、選択肢は2つあります。作物の損失や死亡を引き起こす大気汚染をなくす煙突規制などの対策に投資しつつCO2の排出は続けるか、あるいは、両方の形態の気候汚染を減らす代替エネルギー源や効率化策に投資するかです。

こうした問いへの答えは、今後数十年間に大きな違いをもたらします。 新気候経済(New Climate Economy) の報告書は、現在から2030年までに、都市、土地利用、エネルギーのインフラに90兆ドルを超える投資が行われると指摘しています。こうした投資は、気候に配慮した形でも、そうでない形でも行われ得ます。回避できる世界規模の気候影響だけでなく、健康、農業などに及ぶ複数の地域的便益を経済分析が認識しなければ、政府はさまざまな気候配慮型投資の選択肢の価値を十分に把握できないでしょう。

今週発表された別の論文は、急速な温暖化の状況下で開発の優先課題を定めるという問いを取り上げています。論文は、開発上の便益と短期的な気候緩和をもたらすSLCPの削減と、長期的な気候安定化の鍵となるCO2削減との トレードオフ を論じています。SLCP削減への重点がCO2対策を妨げているのではないかと疑問を呈する研究者もいます。この研究によれば、SLCPとCO2は多くの場合、発生源が共通しているため、CO2を大幅に削減すれば、SLCP削減による気候面の便益の多くも得られます。さらに、大気汚染削減への強力かつ継続的な投資によって、残りの便益も得られます。問題は、CO2排出量の容赦ない増加に対処するためにも、何千万人もの人々に日々影響を及ぼす壊滅的な大気汚染に対処するためにも、世界がまだ十分な行動を取っていないことです。

こうして、ウィリアムズ大学の学生の質問に戻ります。気候にとどまらない、温室効果ガスとSLCPの排出削減がもたらす多くの便益に注目することが、両方への取り組みを促す最善の方法かもしれません。今週の報道は、複数便益の枠組みとは、政府に特定の気候変動対策の方針への賛同を迫るものではないことを明らかにしています。むしろこの枠組みによって、開発投資が行われる場所(そして近く90兆ドル相当の投資が行われます)には、短期と長期の双方で、ある程度の気候緩和を同時に実現できる機会があるかもしれないと、意思決定者が認識できるのです。

この投稿は、当初 世界銀行ブログ

著者:ゲイリー・クライマンは、世界銀行グループの上級環境専門官で、州・国政府の大気質および気候計画を担当しています。

画像:南半球の冬の時期に予期せぬ崩落が起き、ペリト・モレノ氷河の側面の一つから氷の破片が剥がれ落ちる。アルゼンチン南部、サンタクルス州パタゴニア地方のエル・カラファテ市近郊。2008年7月7日。REUTERS/Andres Forza。

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