今、期限が迫っているのは「持続可能な開発のための2030アジェンダ」である。このアジェンダの達成に不可欠な投資は近年、低所得国で増加しているものの、脆弱なインフラが依然として成長を妨げている。経済の繁栄を支える基盤を築くには、政府による大幅な改善が必要だ。人々と市場を結ぶ道路、工場の稼働を支える電力、病気を防ぐ衛生設備、安全な水を届けるパイプラインが求められている。
そのため、運輸、電気通信、公益事業の更新と拡充は、多くの国の国家開発戦略の重要な柱となっている。

低所得国ではどのような課題があり、目標達成に向けて何をすべきなのか。IMFの最近の報告書の一章では、こうした問いを掘り下げている。
高水準の債務、資金不足、実施能力の制約
多くの低所得国では公的債務が増加し、対外資金調達の条件が厳しくなったため、インフラ事業への投資を目的とする借り入れは、ますます困難でリスクの高いものになっている。2015年だけでも、GDPに対する公的債務の比率は34%から42%に上昇した。
ある調査によると、最も脆弱な国々では、対外資金の確保と行政能力の制約が、公共インフラ投資の拡大を妨げる主な要因となっている。一方、世界の資本市場との結びつきが強い低所得国では、国内の金融資源が十分かどうかが最も重要な懸念事項である。

複数の側面から不足を補う
資源が限られているため、貧しい国々は公共投資の効率を高めることで大きな恩恵を得られる。IMFの最近の分析が示すように、公共投資の費用対効果は低所得国の間で大きく異なり、一般に他の国々より低い。公共投資の効率を高める基本原則、たとえば資本支出を最も生産性の高い事業に充てるべきだという考えは広く理解されているが、それを実現する制度的な仕組み(効果的な費用便益分析、透明性の高い調達)が常に整っているとは限らない。
税収による国内資金を増やせば、インフラなど優先分野への支出余地を広げられる。しかし、一定の進展はあるものの、徴税効率が低いことなどから、貧しい国々の税収は依然として他の国々を下回っている。したがって、税務行政の改善、課税ベースの拡大、正当化できない抜け穴の解消、歳出の合理化、場合によっては税率の引き上げによって、インフラ整備に充てる予算を確保できる。

低所得国の開発資金を賄ううえで、譲許的融資は今後も重要な役割を果たす必要がある。多国間開発銀行の資本を増強し、その運用方法を調整すれば、最貧国により多くの資金を生み出せる可能性がある。
特に中国をはじめとする新たな二国間ドナーや、アジアインフラ投資銀行などの新たな機関の台頭により、開発資金が追加された。
とはいえ、多くのドナー候補国は自国の財政課題に直面しており、多国間および二国間ドナーによる資金を大幅に増やせる見通しは限られている。いずれにしても、全般的な合意として、政府開発援助を拡大しても、持続可能な開発目標の2030年までの投資需要を満たすには不十分だとされている。
民間セクターを巻き込む
低所得国では、携帯電話通信分野を除き、民間だけで運営されるインフラはほとんどない。しかし、この顕著な例外は、このモデルが実現可能であることを示している。太陽光マイクログリッドなど、他分野における小規模な導入例もこの見方を裏付けている。
別の方法として、官民パートナーシップを通じて公的資本と民間資本を組み合わせることができる。これは発電分野で比較的よく見られるモデルだ。もちろん、こうした仕組みによって財政リスクが過度に高まるのを防ぐには、強固な制度的枠組みと適切な官民パートナーシップ運営が欠かせない。
インフラへの民間投資を呼び込むには?
安定したマクロ経済環境と予測可能な政策・規制を含む、良好なビジネス環境がまず重要だ。しかし、それだけでは十分でない場合もある。先進国では、十分な収益を求める機関投資家の資金プールが100兆ドル近くに達する一方、民間投資家と実現可能な事業を結びつけるうえで、多くの障害が立ちはだかる。とりわけ低所得国では、民間投資家にとって許容できるリスクとリターンの組み合わせを確保できるよう事業を組み立てる専門知識が限られている。
多国間開発銀行は、開発途上国がこうした課題の多くに対処するのを支援している。数多くの事業準備ファシリティが実現可能な事業の組成を支援しており、その一例が、当初資本金1億ドルで最近設立されたグローバル・インフラストラクチャー・ファシリティである。
さらに開発銀行は、政治リスク保険、信用保証、劣後債などの手段を通じてリスクを軽減し、民間投資の呼び込みを目指している。これは非常に有望な方向性だが、これまでの進展は限られている。
IMFには支援の手段がある
IMFは、インフラ投資の拡大を目指す加盟国を支援している。IMFの「インフラ政策支援イニシアティブ」は、複数の投資計画や資金調達戦略がもたらすマクロ経済・財政面の影響を各国が評価し、公共投資管理に関する制度的能力を強化するための一連のツールである。
これらのツールは、カンボジア、ホンジュラス、キルギス共和国、トーゴなど、多くの国ですでに活用されている。またIMFは、各国の能力構築に対する支援の5分の1を、国内歳入の動員に不可欠な税制と税務行政の分野への支援に充てている。



