ラテンアメリカはいかにして格差拡大の潮流に逆行したのか

People walk near the Government Palace in Lima, Peru, December 18, 2017. REUTERS/Guadalupe Pardo - RC1D8A5A60A0
Increased government revenue, democratisation and social movements have made inequality a political issue.Image: REUTERS/Guadalupe Pardo
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所得格差への注目が高まっている。

朗報は、その対策が分かっていることだ。世界の富に課税し、ユニバーサル・ベーシックインカムを導入し、質の高い教育へのアクセスを広げ、ディーセント・ワークを推進する。

悪い知らせは、多くの政府が関心を示しておらず、有権者も同様だということだ。格差拡大に歯止めをかけるには、抵抗や政治問題化、政府の対応を促す要因を理解する必要がある。

ラテンアメリカには参考になる教訓がある。この地域では、平均ジニ指数が2000年から2012年にかけて13%低下し、所得格差が拡大する世界的な傾向に逆行した。

Image: ザ・カンバセーション

ラテンアメリカの所得格差が縮小した一因は、労働市場の変化にある。コモディティ・ブーム(非熟練労働への需要を押し上げた)や、技能水準の向上(政府の教育投資によって促進された)、さらに積極的労働市場政策(労働法の執行や最低賃金の引き上げ)によって、貧困層の賃金は上昇した。

これに富の再分配が加わった。医療、教育、社会保障への公的支出が増え、すべての市民に対するサービスの適用範囲と質が向上した。

次に、なぜこうした政策が採用されたのかを理解する必要がある。考えられる説明は三つある。コモディティ・ブームによる政府歳入の増加、民主化によって政党が貧困層の有権者を取り込むよう促されたこと、そして格差を政治課題にする社会運動だ。

政府歳入の増加

2000年代のコモディティ・ブームによって、社会のあらゆる層に恩恵をもたらす公的支出が可能になったと考えられる。このブームに伴い、交易条件の改善、経済成長、税収の対GDP比の上昇、債務免除、米国や国際金融機関への依存の低下、さらにミレニアム開発目標の達成に向けた対外援助の増加も見られた。

しかし、なぜ政府はエリートを富ませるのではなく、再分配を選んだのだろうか。ラテンアメリカ経済は1990年代にも成長したが、格差は拡大し続けた(今日の米国と同じように)。ところが2000年代には、再分配を掲げる左派政党への支持が高まった。

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民主化

民主化は格差縮小の説明になるかもしれない。票を獲得し、政権を維持したいという願いが、政党に貧困層の有権者を取り込み、その懸念に対処する動機を与えた可能性がある。

しかし、民主主義が格差を縮小するという確かな証拠はない。ラテンアメリカでは、民主主義が社会支出を増やすとも見られない。さらに、最貧困層が必ずしも左派政党に投票するとは限らない。

とはいえ、20年間で見ると、民主化は社会支出の増加と所得格差の縮小に関連している。民主化は、左派の組織化など、ほかの重要な要因を可能にするようだ。

社会運動

長期にわたる過程の一つとして、格差を政治問題化した社会動員がある。

先住民政党はラテンアメリカで最も貧しい層の一部を代表しており、先住民の社会運動がより強く、結束している国ほど、選挙で好成績を収めてきた。

ストライキもまた、社会保障支出に長期的な好影響を与えてきた。デモを主導したのは、地域住民組織、土地を持たない人々、失業者、コカ栽培農家、家事労働者、女性団体、年金生活者、学生などだ。

これらの運動は、主に経済的な利害から生じた。物価上昇、鉱山開発計画、賃金凍結、大量解雇、民営化、経済安定化、鉱物採掘によって、抗議する人々にとって何もしないことの代償が大きくなりすぎたのだ。

変わる考え方

社会動員は経済自由化をきっかけに始まったが、その後、考え方の変化を促した。集会や道路封鎖で経験を共有し、共通の不満を認識し、新自由主義の正統論に揺さぶりをかけ、それまで周縁化されていたアイデンティティを称え、現状への広範な抵抗を目の当たりにすることで、多くのラテンアメリカの人々は社会変革の可能性に自信を持つようになった。

ここで重要なのが「規範に関する認識」だ。これは、他者が何を考え、どう行動するかについての私たちの信念を指す。抵抗を目にすることがなければ、他者も現状を受け入れていると思い込むかもしれない。そうすると、私たちは意気消沈し、行動を起こすことをためらう。こうした規範に関する認識は、格差を強める可能性がある。だがラテンアメリカでは、継続的な活動を通じて状況が変わった。

隣国での進展を目にしたことも、人々の規範に関する認識を変えた。コロンビア、エクアドル、ボリビアでの選挙勝利は、他国の先住民組織を後押しし、政党の結成につながった。この地域的な波及効果が、ラテンアメリカでは格差が縮小し、他の地域ではそうならなかった理由の一端を説明する可能性がある。

ラテンアメリカの高い都市化率も関係している。相互につながり、多様な人々が密集して暮らす地域では、多様で批判的な言説に触れたり、周縁化された集団について前向きな物語を伝えるコミュニティラジオを聴いたりする機会が多い。抵抗のスローガンが描かれたストリートアートを目にし、成功した活動について知る可能性も高い。

こうした接触は規範に関する認識を変え、好循環を生み出す。仲間が変化を求める姿を見れば、人々は集団で抵抗することの可能性に自信を深め、力を合わせるかもしれない。こうした学び合いは、より遠隔地では明らかに難しい。

継続的なネットワークづくりと抵抗を通じて、再分配と承認を実現した多くのラテンアメリカの人々は、政府により多くを期待するようになった。

しかし、物質的な変化は人々の要求に追いついていない。ラテンアメリカの政府は、コモディティ・ブームを慎重に管理し、汚職を抑え込むことに失敗した。価格が急落すると、政府もまた倒れた。それでも格差は政治問題であり続けている。

格差に対する抵抗を強めるには、規範に関する認識を変える必要がある。私の研究は、ラテンアメリカを対象に、広範な抵抗を目にすること、集団的な組織化の力を認識すること、政府の対応を実現すること、そして格差を大幅に縮小できると認識することの重要性を明らかにしている。

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