主観的ウェルビーイングはどのように測定できるのか?

主観的ウェルビーイングはどのように測定できるのか?
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経済分析では、実勢市場価格で評価した消費または所得が、人々の福祉を測る主力指標となっている。貧困はほぼ例外なくこの基準で定義され、国民経済の成長も同じ基準で測定される。しかし、経済分析でこうした尺度が用いられるようになって以来、これらの概念では福祉を包括的に捉えきれないという問題が指摘されてきた。たとえば、これらの尺度では非市場財へのアクセスを十分に考慮できない。さらによく知られているのは、アマルティア・センが人間の機能とケイパビリティを重視したことに関連する問題である。これらの尺度では、個人が主体性を発揮し、実現する能力を十分に捉えられない可能性がある。

人々は金銭尺度そのものではなく、機能やケイパビリティに本質的な価値を見いだすという見方に一部触発され、貧困研究の新興分野では、主観的、すなわち自己申告によるウェルビーイング(SWB)のさまざまな測定法が提案されてきた。SWBは 広く多次元的なものと捉えられており 、単一の質問だけでは測定できない。そのためSWBの測定には多様なアプローチがあり、なかでも、人生の満足度を尋ねるような評価的・認知的アプローチと、幸福感を尋ねるような快楽的・感情的アプローチを組み合わせる方法がよく用いられる。

経済学の分野ではSWBの有用性をめぐって意見が分かれていると言っても異論はないだろう。こうした測定法は福祉を包括的に評価する可能性を秘めている一方で、解釈にはさまざまな課題がある。私はこれまで、 こうした課題の一部 について、 以前ブログに書いた。とりわけ懸念されるのは、性別や教育水準など、どの集団にも当然存在する顕著な特性が、SWBに関する質問の理解や回答に影響し、集団間の比較を難しくする可能性だ。最近、2本の論文がこの分野を前進させ、あわせてSWBの落とし穴と可能性の両方を浮き彫りにした。

解釈上の課題に焦点を当てた最初の論文は、 BondとLangによるワーキングペーパーである。この研究は、調査対象者が主観的な尺度をどのように解釈するのか、また、回答者が連続体と想定される主観的認識に沿って回答をどのように区分するのかについて、私たちの知識がいかに乏しいかを示している。著者らによれば、幸福のような主観的な福祉は経験される連続体として存在すると一般に想定されている一方、質問の形式によって、回答者は「とても幸せ」「まあまあ幸せ」などの尺度に合わせて幸福感を区分せざるを得ない場合、解釈上の困難が数多く生じる。SWBの背後にある分布が分からなければ、ある集団が別の集団より幸せかどうかを推論するのは非常に難しいことが分かる。BondとLangは、 イースタリンの逆説 などの事例を検討し、自己申告の幸福度に基づく集団間の結論(たとえば、貧しい人々のほうが富裕層より「幸せ」であるという結論)は、幸福度の基礎分布に単調変換を施すだけで、覆されるどころか逆転することさえあると示している。

BondとLangは、この課題を簡潔に次のようにまとめている。

「データが離散的な順序尺度で報告されている場合、2つの集団の平均幸福度を順位付けできることは(ほぼ)決してない」

この課題は、研究者が真剣に受け止めなければならない。

彼らのアプローチにおける重要な前提の一つは、効用に上限がないということだ。しかし、SWBについては、この前提が現実的かどうか疑問に思う。富や所得が高い水準になると効用は急速に逓減する可能性があり、また、下限はある閾値によって制約される可能性もある。こうした未知の要素はBondとLangの批判がどこまで当てはまるかに影響する。私は、今後の重要な方向性を示していると思う。つまり、以前私が 主観的福祉の解釈学と呼んだものについては、まだ多くの研究が必要だ。

一見よく設計された尺度への回答の背後にある、参照枠や意味の解釈の違いを理解する必要がある。性別や教育水準などの主要な特性によって、標準的な質問の解釈がどの程度異なるのかを把握する必要もある。また、SWBを連続体としてモデル化することがどの程度妥当なのか、そしてそうする場合、その連続体に上限や下限があるのか、それともないのかを理解しなければならない。

SWB研究のもう一つの最近の論文は、別の課題、すなわち対象集団にとって福祉のどの側面が最も重要なのかを正確に理解するための、 新たな方向性を提示している 。著者のBenjamin、Heffetz、Kimball、Szembrotは、私が以前から会話の中でよく耳にしてきた手法を実行している。

説明のために、少し話を戻そう。標準的な多次元福祉指標に対してよく寄せられる不満の一つは、異なる側面を集約する際に使われる重みの選択が、きわめて恣意的になり得ることだ。これは Martin Ravallionが「ごちゃ混ぜ」と呼んだものである。SWB研究の根本的な問題は、消費に基づく指標を構築する際に限界効用の代理として用いる、観察可能な価格が存在しないことだ。そのため、SWBの諸側面をより包括的な指標に集約しようとする試みは、これまで、妥当な重み付けの仕組みを導く理論がほとんどないまま、諸側面を「ごちゃ混ぜ」にすることに依存してきた。

この問題を受けて、洞察力のある同僚たちから、会話の中で次のような問いが投げかけられてきた。「代表性のある標本に、実際に何を重視しているのか、SWBのどの側面ならトレードオフしてもよいのかを尋ねればいいのではないか。そうすれば、各側面のシャドープライスを引き出し、妥当な方法で集約できる」。まさにこれをBenjaminらは実行している。米国の代表標本に個人の選択シナリオを提示し、統一的な福祉指標に集約できる形式で回答を引き出す。この指標は、SWBを構成するさまざまな側面について本人が表明した限界トレードオフに基づいている。

Benjaminらは標本に対し、幸福感と人生の満足度のトレードオフだけでなく、達成、自由、人間関係、他者のウェルビーイングに関わる側面についても尋ねている。合計で、個人のシナリオに含まれるウェルビーイングの113の側面について限界トレードオフを評価した。全回答者をまとめて分析すると、次のことが分かった。

「幸福感、人生の満足度、健康など、一般によく測定されるウェルビーイングの側面は、確かに限界効用が最も大きい側面に含まれる。一方、測定されることが少ない他の側面にも、それらと少なくとも同程度の相対的限界効用がある。これには、家族(ウェルビーイング、幸福感、関係の質)、安全(経済的・身体的な安全、そして人生や将来全般に関する安全)、価値観(道徳性や意味)、選択肢を持つこと(選択の自由や資源)に関わる側面が含まれる」

相対的限界効用で見ると、標本におけるSWBの上位4項目は次のとおりだ。

  • あなたと家族全体のウェルビーイング

  • あなたの家族の幸福

  • あなたの健康

  • あなたが善良で道徳的な人であり、自分自身の価値観に沿って生きていること

下位4項目は次のとおりだ。

  • 勝つこと、競争すること、困難に立ち向かうことの楽しさ

  • 周囲の人々の所得と比べて、あなたの所得がどれほど高いか

  • あなたの社会的地位

  • 他者に対するあなたの権力

こうして推定した限界効用を使えば、異なるSWBの側面を集約し、調査対象の集団に適用できる一つの指数を作成できる。もちろん、ここでの重要かつ強い前提は、本人が表明した選好が真の選好を偏りなく測定しているということだ。しかし現時点では、リスク選好、支払意思額、SWBの側面のいずれを分析する場合でも、引き出された選好データを扱う以上、この前提に向き合わなければならない。表明選好データを検証する方法(ストレス指標など、ウェルビーイングの生物学的マーカーとの関連を見る方法など)が見つかるまでは、この前提をどう乗り越えればよいのかは分かりにくい。

Benjaminの論文で引き出された選好は、特定の集団に関するものであり、現状の近傍でのみ「局所的に」有効である(つまり、ある一時点でのみ有効である)。戦争が勃発したり、新たな疾病の脅威が生じたりすれば、引き出される選好は大きく異なる可能性がある。したがって、さまざまな状況でSWBの諸側面に対する自己評価に基づく限界トレードオフを再現・測定し、集団間や性別などの主要な特性間でどの程度一般化できるかをよりよく理解することが極めて重要だと思われる。興味深いことに、Benjaminらは、性別、所得、年齢、政治的所属のいずれも、特定の側面に対する順位付けの明確な違いと相関していることを見いだした。たとえば女性は「人々が善良で道徳的な人であること……」をかなり高く順位付けし、男性は「人々がふさわしい報酬と罰を受けること……」をより高く順位付けする。

将来、消費や市場価格で評価した所得と同じように扱えるSWB指標を実現するまでには、まだ多くの課題が残されている。しかし、まさにその隔たりがあるからこそ、研究は刺激的なのだ。

この記事はもともと、 世界銀行の「Development Impact Blog」に掲載されたものです。掲載は、世界経済フォーラムがその見解を支持することを意味するものではありません。

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著者:Jed Friedmanは、世界銀行の開発研究グループ(貧困・不平等チーム)の上級エコノミストです。

画像:フランクフルトのフラポート空港の出発エリアで、女性が本を持ってベンチに座っている。REUTERS/Lisi Niesner。

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