利益より人々を優先し、それでも成長する欧州諸国は?

A worker arrives at his office in the Canary Wharf business district in London February 26, 2014. London's financial services sector created 25 percent more jobs in February than a year ago, new data has shown, indicating the industry may be recovering from the restructuring and redundancies prompted by the financial crisis. After a strong January, the City hiring market showed no signs of slowing down last month, with 3,220 new jobs created, compared with 2,575 added in February 2013, according to financial services recruiter Astbury Marsden. The data suggests London's banks and financial services companies are returning to growth after slashing thousands of jobs in the face of a lengthy recession and a series of industry scandals that followed the financial crisis. Picture taken February 26, 2014. REUTERS/Eddie Keogh (BRITAIN - Tags: BUSINESS EMPLOYMENT TPX IMAGES OF THE DAY)ATTENTION EDITORS: PICTURE 03 OF 25 FOR PACKAGE 'CITY OF LONDON - LIFE IN THE SQUARE MILE'. TO FIND ALL IMAGES SEARCH 'RECRUITER KEOGH' - RTR3FZ88
Win-win space ... Nordic countries take the prize for inclusive growthImage: REUTERS/Eddie Keogh
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成長するには、各国は競争力を備えなければならない。経済成長の恩恵を誰もが受けるには、包摂性も必要だ。

この両立を、世界経済フォーラムは「ウィンウィンの領域」と呼ぶ。最近発表された報告書『公平性と効率性のトレードオフを超えて』は、欧州がこの目標をどう達成できるかを検討している。

Image: 世界経済フォーラム

副題を欧州における包摂的成長と競争力のための実践的アイデアとするこの報告書は、競争力と包摂性を促進する方法を示している。また、広く実現すべき取り組みの模範となる企業の事例も紹介している。

下の図が示すように、競争力と包摂性の両方で優れた成果を上げることは、決して矛盾しない。

散布図の右上に位置するスイス、ノルウェー、スウェーデン、オランダは、包摂的成長の面で優れた成果を上げている。

EU28か国と主要経済国のスコア(1=最低、7=最高)

ウィンウィンを実現するには

報告書は、より包摂的な成長と競争力に向けて各国が進むための5つの方法を分析している。報告書によると、主要な原動力はイノベーションと起業家精神だ。これらを支えるのは、財・サービス市場の強さ、労働力の充実、資金へのアクセスという3つの要素である。

Image: 世界経済フォーラム

報告書には、こうした取り組みがすでに進んでいる事例が数多く盛り込まれている。これらの事例は、包摂性の向上が欧州の繁栄を促す触媒になり得ることを示すと論じている。

イノベーションとその普及の両方を促進する方法の一つは、官民連携を推進することだ。例えば、スウェーデンのイノベーション機関、ヴィンノヴァで行われている取り組みがある。

ヴィンノヴァは、企業、大学、研究機関、公共部門を結び付け、研究の優先課題を定め、資源を共有している。こうした連携は多様な関係者が参加するため、将来のイノベーションによる恩恵を誰もが実感できると、報告書は述べている。

しかし、欧州がイノベーションの可能性を最大限に引き出すには、人口全体にすでに存在する才能を掘り起こさなければならない。報告書によると、欧州はこの点で遅れている。

報告書は、イノベーター層を多様化する方法の例としてi.am.angel財団を挙げている。同財団は、ロサンゼルスでも特に貧困に苦しむ地域の若者たちに、テクノロジー分野の先駆者としての可能性を見いだすよう促している。

Image: アイ・アム・エンジェル

報告書が指摘するその他の取り組みには、イノベーター層の多様化、(デジタル)社会イノベーションが花開くための適切な環境づくり、企業間でのイノベーション普及の加速がある。

企業の活力

企業の活力とは、資源を最も生産性の高い用途に素早く振り向ける能力を指す。報告書は、適切な枠組み条件を整えることでこれを促進するよう提言している。

例えば、欧州の事業者倒産規則は、欧州における企業倒産への新たなアプローチである。EU全域で事業を展開する国境を越えた投資家や企業に、法的確実性をもたらす。

報告書によると、新たな規則は投資家の誘致、雇用の創出と維持に役立つほか、経済がショックを吸収する助けにもなる。

改善すべきその他の分野には、ブロードバンドへのアクセスなどを通じた起業家エコシステムの立ち上げ、スタートアップの事業拡大支援、移民起業家向けの支援制度の構築がある。

失敗への恐れなど、起業家精神を大きく阻む要因となり得る文化的な課題にも対処する必要がある。

不可欠なインフラ

しかし、これらの目標は、それを支えるインフラなしには達成できない。例えば、より高速なブロードバンドの整備、スマート交通インフラへの投資の加速、スマートグリッドへの投資は、いずれもウィンウィンの領域の実現に役立つ。

報告書は、マドリード市営交通会社Empresa Municipal de Transportes(EMT)の事例を紹介している。同社はモノのインターネットを活用し、交通システムの効率を高めている。

同社は、リアルタイムの乗客情報を収集、処理、発信する分野で欧州の先駆けとなってきた。これにより、他の投資に充てる資源を確保し、渋滞コストを削減できた。その結果、都市部全体の生産性と競争力が向上している。

若者にデジタルスキルを教える

先進国ではスキル不足が生じている。報告書によると、これは投資の障害として最も頻繁に挙げられるものの一つだ。

しかし、いわゆる第4次産業革命によるデジタルの進歩を十分に活用するスキルを国民が備えて初めて、包摂的成長を実現できる。若い世代に必要なスキルを身に付けさせることも、その一環だ。

報告書は、EITデジタルの取り組みに言及している。同組織は、将来のデジタル人材を育成することを目指し、さまざまな場所にいる学生、研究者、エンジニア、事業開発担当者、起業家を結び付けている。

最後に報告書は、革新的な企業が成長するには、幅広い資金調達手段へのアクセスが必要だと述べている。報告書は、とりわけ株式による資金調達の促進、中小企業金融におけるノンバンク仲介機関の役割拡大を提言しており、フィンテックやノンバンク融資もその対象に含まれる。

この実現を支援する組織の一つが、欧州委員会のスタートアップ・スケールアップ・イニシアチブである。

主な目的は、スタートアップがEU単一市場で事業を拡大する際の障壁を取り除くこと、連携や事業機会、スキルを得るための機会を改善すること、そして資金へのアクセスを促進することだ。

報告書によると、これらの課題に取り組めば、欧州企業の競争力を大幅に高められる可能性がある。

「成長を包摂性より優先し、両者を別々のプロセスとして扱う考え方から脱却しなければなりません。長期的な成長の基盤には、包摂的な経済システムが必要だと理解することが大切です」と、報告書は結論付けている。

「この方向性に沿った重要な取り組みは、すでに欧州に数多く存在しますが、実施をより体系的に進める必要があります。」

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