ユーロスタットのデータによると、中小企業はEUの非金融企業経済に属する全企業の99%を占め、従業員のほぼ半数を雇用している。
この部門では、小規模企業の方が大企業よりも新型コロナウイルス感染症による混乱に強い底堅さを示した。
しかし、中小企業は技術導入で遅れがちであり、その状況を変えれば、さらなる成長につながる可能性がある。
新型コロナウイルス感染症のパンデミックによる混乱の中、ロックダウンやサプライチェーンの寸断により、世界中の多くの企業が閉鎖を余儀なくされ、従業員を解雇した。
欧州では、欧州委員会が3兆8,000億ドル規模の支援策を発表した。パンデミックの影響に対処するためだ。しかし、ユーロスタットのデータによると、中小企業はこうした困難な時期の影響に、大企業よりも強い底堅さを示した。
多くの地域と同様、欧州連合(EU)の経済を支えているのは中小企業、すなわち従業員250人未満の企業だ。雇用と成長の機会の両方を生み出している。
このグループでは、従業員50人未満の零細企業と小企業が中心で、2020年にはEUの非金融企業経済に属する全企業の99%を占め、従業員のほぼ半数を雇用していた。
これに対し、大企業や大手企業はこの部門のわずか0.2%を占めるにすぎないが、従業員の35%超を雇用している。
中小企業:小規模ながら底堅い
2020年にパンデミックの影響がピークに達した際、欧州の非金融企業部門では経済活動が縮小し、大幅な雇用喪失が生じた。
要素費用ベースの付加価値(営業補助金と間接税を調整した後の営業活動による総所得の指標)は、この部門で6%減少し、2019年の7兆1,000億ドルから翌年には6兆7,000億ドルとなった。
中小企業は底堅さを示し、パンデミックのピーク時にも付加価値は3兆5,000億ドルを記録した。2019年の4兆ドルからの減少幅は、より小さい5%だった。
部門全体で雇用者数も減少し、2019年の1億3,150万人からパンデミック後には1億2,770万人へと3%落ち込んだ。
新型コロナウイルス感染症:生産と雇用
生産と雇用が縮小した一方、EUの非金融企業経済で事業を営む企業数は1%増加した。しかし、中小企業数が増えたのに対し、大企業数はパンデミック前より3.4%少なかった。
2020年、この部門で記録された中小企業2,330万社は、8,200万人を雇用しており、雇用者総数の64%を占めていた。
グラフが示すように、その半数超は卸売・小売業(家庭用品や自動車の卸売・小売および修理)、製造業、建設業の3つの経済活動に従事していた。
中小企業の将来への備え
パンデミックの影響から得られる教訓の一つは、中小企業が今後起こり得る突発的な出来事や経済的ショックに備える必要があるということだ。
中小企業は世界経済で重要な役割を担っており、世界の全企業の約90%、全雇用の3分の2超を占め、世界のGDPの最大70%を生み出している。世界経済の屋台骨である中小企業を支援することは不可欠だ。
世界経済フォーラムの報告書『中小企業の未来への備え』は、中小企業が事業運営を将来にわたって維持するために必要な組織能力と姿勢を明らかにしている。同報告書は、持続可能な成長を支えるために、中小企業が規模、ネットワーク、人材、テクノロジーを活用する際に取り入れられるベストプラクティスを紹介し、市場の変化に対する底堅さを高め、社会に良い影響をもたらす方法を示している。
例えば、小規模企業は大企業に比べてコミュニケーション経路や意思決定プロセスが少ない。機動力が高いため、小規模であることを生かし、パンデミックのような市場の緊急事態に迅速かつ効果的に対応して、新たな事業計画を実行できる。
テクノロジーも成長を促す重要な要因だが、多くの小規模企業は、AIやIoTなどの第4次産業革命のテクノロジー導入に消極的であるか、そのためのリソースが不足している。
「中小企業未来ネットワーク」は、世界各地の政策立案者や産業団体が、障壁を下げ、最先端テクノロジーの導入を促進するための政策ツールの枠組みを提供している。
テクノロジー導入の障壁を取り除けば、中小企業は業務の効率化、収益性の向上、市場の拡大などを通じて、大企業に近づくことができる。
ビジネス、政治、社会が急速に変化する世界で、中小企業は突然の経済的・政治的ショックに対処できるよう備えを強化し、不確実な未来を切り抜けるために必要な底堅さを築く必要がある。




