政策立案者は、将来の経済課題への対処をどう支援できるか

Protest sign held up about climate change.
Hard policy choices are needed to fight global warming.Image: UNSPLASH/ Markus Spiske
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  • マクロン大統領の要請を受け、委員会は現在の世界経済が直面する主要課題を調査し、その将来に向けた解決策を提案した。

  • 気候変動、不平等、人口動態の変化が、3つの最大の課題として確認された。

  • 政策提言には、効果的な炭素価格付け、不平等の縮小を目的とする課税、柔軟な年金ポイント制が含まれる。

2020年1月、マクロン大統領は、世界経済の構造的課題に取り組む委員会を組織し、率いるよう私たちに依頼した。当時、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が直ちに世界的危機を引き起こすとは予想していなかった(新型コロナ禍における経済に関するVoxのセクションはこちらを参照 こちら)。しかし、新型コロナウイルス感染症の急激な影響が薄れるにつれても、私たちが調査を依頼された問題は依然として残っている。創造的で効果的な政策的解決策の必要性は、いっそう差し迫っている。

委員会のメンバー選定は全面的に私たちに委ねられ、結論の表明においても完全な独立性が認められた。結論はBlanchard and Tirole(2021)として公表された。報告書は、特定した最も差し迫った3つの課題を表す、3つのセクションで構成されている。気候変動のセクションでは、同僚のクリスチャン・ゴリエとマル・レグアントが主執筆者を務めた。経済的不平等と不安定のセクションでは、ダニ・ロドリックとステファニー・スタンチェバが同じ役割を担った。人口動態の変化のセクションは、アクセル・ベルシュ=スーパン、クラウディア・ディール、キャロル・プロッパーが主導した。世界各地からさらに17人の著名な経済学者が最終報告書に寄稿し、チームはフランス人が3分の1、アメリカ人が3分の1、フランス以外のヨーロッパ人が3分の1となった。これにより、幅広い意見と証拠を考慮に入れることができた。

私たちの結論と提言は、特にフランスに当てはまるが、ヨーロッパと世界経済にも関わる。これらは世界的な課題であり、地域や地方での成功から学ぶことができる。また、政策提言の多くは国際協力と支援を必要とし、特に気候変動への政策的解決策にはそれが欠かせない。

すべての結論を詳しく検討する紙幅はない。以下に、全文を読んでいただくきっかけとなればと願う要約を示す。報告書の全文は、こちらからダウンロードできるこちら。

気候変動

ここでは、先延ばしの原因とその影響がはっきりと見て取れる。地球温暖化が進行しているとの認識と、それに対処するために難しい政策選択を行う必要性との間には、一般に隔たりがある。こうした措置の費用に関する透明性が欠けているため、多くの人々は、炭素税のような目に見える費用に注目し、より大きい可能性があるものの見えにくい費用には目を向けていない。

委員会は3つの提言を行った。

  • 適切な炭素価格付け。多くの人々には不人気だが(経済学者は例外として目立つ)、炭素価格付けは不可欠だ。家計に行動を変える動機を与え、研究者にグリーン技術の革新を促し、企業にそうした革新を導入させるからである。しかし、現在の炭素価格付けは適切に機能していない。価格は低すぎ、免除や補助金が多すぎる。効果的な価格付けには、排出者による炭素排出の国外移転を防ぐ国境調整メカニズムと、炭素価格引き上げによる分配面への影響を緩和する政策の両方が必要となる。

  • 研究開発補助金、基準、禁止措置。炭素価格付けだけでは、グリーン分野の研究開発や炭素排出削減を十分に加速できないため、対象を絞った補助金や禁止措置が正当化される。欧州レベルでは、新たに2つの機関を設けることで、ガバナンスを改善できる可能性がある。1つはリスクの高い研究開発に資金を提供し、もう1つは必要な排出削減を達成するための代替手段にかかる費用について、市民や当局者に情報を提供する。

  • フランスとヨーロッパの役割。一国だけで行動しても、この課題への直接的な影響は小さい。しかし、強い決意を持ったリーダーシップは、削減とイノベーションを主導し、他国の取り組みが相対的に不十分であることを示すことで、地域および世界の気候政策に影響を与えられる。社会的責任ある行動を取ることはすべての人の務めだが、政府は模範を示し、その責任を全面的に担うべきである。市場の失敗を是正する手段も正当性も持たない民間部門や公的機関に責任を転嫁してはならない。

不平等

フランス(および他の国々)では、教育や雇用の機会が平等ではなく、不平等の問題を緩和するのに十分な社会的流動性もないと人々が考えていることが、研究から分かっている。残念ながら、こうした認識はおおむね正しい。

従来、不平等への対策は、再分配と保護を強化することだった。これらの政策は、生産がもたらす分配上の影響を緩和することに重点を置いている。これに対して私たちの報告書は、生産が行われる前の段階、すなわち人生の機会をより平等にすることや教育を改善することに、政策の重点をより置くべきだと論じている。また、生産のあり方にも働きかけ、より多くの良質な雇用を生み出し、良質な雇用へのアクセスをより平等にすることができる。

委員会は4つの提言を行った。

  • 機会の平等。この分野の政策提言は目新しいものではないが、現状では十分な重みが与えられていない。教育格差を縮小する方法については、多くの知見がある。相続税は制度設計が不十分で、説明も不適切なため、抜け穴が多く、世論の支持も弱い。目的を明確にして支持を高めるため、相続税収を機会の平等を促進するための金銭的な再分配に明示的に充てることができる。

  • より公平な課税。税負担を引き上げるのではなく、不平等の縮小を目的とする課税の徴収を強化すべきである。例えば、人工知能、より良い情報交換(第三者報告、国際協力)、国際協定を活用できる。

  • より良い仕事に就けるよう労働者を準備する。職業訓練の設計は、教育機関と民間企業の雇用主との連携を改善するなど、さらに大きく改善できる。

  • 良質な雇用の創出を促す。企業の組織形態、技術進歩のあり方、貿易ルールが所与のものだと考えるべきではない。訓練、資本・労働課税、経験料率といった従来の手法や、より対象を絞った補助金を通じて、生産のあり方に影響を与えるために国が介入する余地がある。

人口動態の変化

平均寿命が延び、より健康に暮らせるようになっている。これは喜ばしいことだ。しかし、それに伴い、仕事と退職の適切なバランスを保つ必要も生じる。退職後により長く生きる人が増えれば、現在と将来の財政均衡を保つために、退職後の給付を減らす、就労中の拠出を増やす、または退職前の就労期間を延ばす必要がある。差し迫るこの危機は、55~64歳の就業率が非常に低いフランスで、特に論争を呼んでいる。

理想的な年金改革には、統一的で透明かつ公平な制度が必要であり、退職年齢と退職給付水準の選択に柔軟性を持たせるべきである。また、高齢労働者の労働供給と需要を高める必要がある。人口の間にある職歴や平均余命の大きな違いも認識すべきだ。しかし、現在の改革案は官僚的で透明性に欠けるというのが、世間一般の受け止め方である。

この課題について、私たちの報告書はさらに詳細な一連の提言を示している。こうした問題では、痛みを伴う改革が試みられてきたものの、成功は限られていたことも一因である。提案の例を挙げる。

  • 透明性を伴う個人の柔軟性。労働者は職業人生を通じて個人の口座にポイントを積み立て、受給資格を得る最も早い年齢以降に年金を請求できる。働き続ける場合は、ポイントの積み立ても続けられる。

  • 低所得者への再分配。低所得の労働者や、避けられない事情で職歴に中断が多い人には、退職時に「ボーナスポイント」を付与する。ただし、働く動機を維持する必要があるため、低所得者であっても、獲得したポイントに応じて年金額が増える仕組みとする。

  • 経済の均衡を保つための一貫した従属人口比率。就労年数と退職後の年数の比率を2対1に保つ透明なルールを想像してほしい。平均余命が3年延びた場合、退職年齢を2年引き上げ、追加の退職後1年分を賄う(もちろん、世論がより小幅な退職年齢の引き上げを求める可能性はある)。社会の選好と財政の安定性のバランスを取るよう設計された独立したガバナンス機構が、このトレードオフを管理する。

  • 労働の過酷さへの対応を産業または企業レベルに分散化することで、より良い労働条件を促し、産業間の相互補助を避ける。

  • 高齢期の就労。多くの高齢者にとって、仕事はストレスが多く、つらい。慢性疾患への医療の改善、継続的な訓練の充実、高齢者向けのより柔軟な働き方によって、高齢者が働き続ける魅力を高め、年金制度の負担を軽減し、所得を増やすことができる。

結論

私たちが取り上げた3つの課題はいずれも、差し迫っている可能性がある。短期的な影響は長期的な影響よりはるかに小さいため、意思決定者は最悪の影響を緩和できる政策を先延ばしにする。また、複雑な問題でもあり、政策立案者が難しい決断を下すには、不確実性の下で、しばしば世論の反発に直面しながら判断しなければならない。それでも、委員会は、時に費用がかかり、受け入れにくいものであっても、これらの問題には多くの解決策が存在することを見いだした。

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