循環経済:新製品を減らしながら発展途上国が繁栄するには

Person repairing phone: Developing countries can thrive in a circular economy by embracing repair, refurbishment, remanufacturing and recycling
Developing countries can thrive in a circular economy by embracing repair, refurbishment, remanufacturing and recycling.Image: Unsplash/Kilian Seiler
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  • 発展途上国は、修理、再生、再製造、リサイクルを取り入れ、新製品の製造だけに依存するのではなく、複数回にわたる収益機会を生み出すことで、循環経済の中で繁栄できる。

  • 循環型の取り組みは、修理、部品の回収、リサイクルの分野で雇用を生み出すとともに、価格変動の激しい原材料の輸出への依存を減らし、経済の強靱性を高める。

  • 循環型インフラや技能への投資を行う国は、再生やリサイクルの地域拠点となり、多国籍企業の投資を呼び込み、長期的な経済成長を確かなものにできる。

世界各地で法制度や企業戦略が変化し、製造業を変革している。各国政府は、製品の耐久性、リサイクル可能性、生産者責任を義務づける循環経済規制を強化している。

この変化の背景には、製造業者の間で、循環経済はより大きな価値をもたらし、継続的な収益と原材料価格の変動に対する強靱性を生み出すという見方がある。

ここ数十年、ベトナム、バングラデシュ、メキシコなどの新興国は、グローバルサプライチェーンにおける主要な製造拠点として台頭してきた。

ベトナムは多額の外国投資を呼び込み、2023年の輸出額は約3,550億ドルに達し、主に先進国市場向けとなっている。低い人件費、戦略的な立地、有利な貿易政策を生かすこのモデルは、成長と雇用創出を促してきた一方、世界的な需要が続くことへの依存も生み出している。

循環型経済がもたらす5つの影響

世界経済が直線型の生産から循環型の価値創出へと移行するなか、発展途上国では、価値の創出、獲得、提供のあり方が根本的に変わりつつある。

この変革は既存の産業モデルを再編し、雇用、輸出、競争力、インフラ、技能に影響を及ぼす。競争力を維持し、循環経済における新たな成長機会を生かそうとする国にとって、こうした影響を理解することが極めて重要だ。

1. 雇用上の課題

新製品の製造に依存する産業では、再使用品や再生品への需要の移行に伴い、雇用が失われる可能性がある。例えば、バングラデシュのアパレル産業は同国の輸出の約85%を占めており、消費者が中古衣料を選ぶようになれば、雇用機会が減少する可能性がある。

2. 輸出収入の減少

原材料や新たに製造した製品の輸出に頼る国では、産業界で循環型の取り組みが広がるにつれて、収入が減少する可能性がある。

例えば、金属を輸出する国では、リサイクルの拡大により需要が減る可能性がある。同様に、新製品の製造・輸出に依存する国では、再生品、再製造品、修理品が消費者や企業に選ばれるようになれば、販売が減少する可能性がある。

3. 産業競争力

例えば、電子機器や繊維産業に多額の投資をしている国は、循環型の取り組みを実践しなければ競争力を失う可能性がある。研究によれば、循環型の取り組みは総付加価値と雇用にプラスの影響をもたらしており、先を見越した適応が経済的利益につながる可能性を示している。

4. インフラとサプライチェーンの調整

循環型経済への移行には、リサイクル施設や再生センターなどのインフラ投資が必要となる。発展途上国はサプライチェーンの再編を迫られる可能性があり、これには持続可能性、イノベーション、効率性に関する課題と機会が伴う。

5. 技能格差と労働力の移行

循環型の取り組みへの移行には、修理、再生、リサイクルの技能を備えた労働力が必要だ。労働者が必要な技能を身につけ、移行を円滑に進め、労働市場の混乱を最小限に抑えるためには、教育や職業訓練への投資が欠かせない。

発展途上国における循環型経済の5つの影響Image: circularpathwaysbook.com

新たな循環型ビジネス環境における機会

混乱が生じる可能性はあるものの、循環型経済への移行は、グローバルサプライチェーンにおいて戦略的な位置を占める発展途上国に経済的な機会をもたらす。こうした国々は、製造の専門知識、低い人件費、戦略的な地理的位置を生かし、世界の循環型バリューチェーンで重要な役割を担うことができる。

修理サービス

製品の寿命を延ばす修理は、循環型経済の基盤となる取り組みだ。電子機器、家電、自動車など多くの製品では、迅速な修理が欠かせず、そのためには地域に近い場所での対応が必要となることが多い。一方、発展途上国は、特定の修理分野に戦略的に参入できる。

近隣国への業務移転

主要な消費市場に近い発展途上国には、地域の修理拠点を設ける機会がある。東欧諸国はすでに、西欧向け製品の修理を成功させており、近接性とコスト効率の恩恵を受けている。

同様に、マレーシア、ベトナム、タイはアジア市場向けの近隣修理拠点となり得る。既存の貿易ルート、低い人件費、製造に関する専門知識を生かせば、発展途上国は地域の修理インフラ、技能開発、品質管理システムへの投資を呼び込める。

サービスとしての製品と遠隔修理

製造業者が製品を販売せずにリースする「サービスとしての製品」モデルの普及により、すぐに修理する必要性が減り、遠隔修理がより現実的になっている。製造業者は製品をまとめて回収し、費用対効果の高い集中施設で定期的に修理する。

例えばベトナムは、アジア各地でリースされた家電や電子機器の修理拠点となり、物流を最適化し、安定した収益を確保できる。

再生と再製造

企業が循環型戦略を取り入れるにつれ、再生(製品を修復して再販売すること)と再製造(部品または製品全体を「新品同様」の状態に戻すこと)が広がっている。世界の再生電子機器市場は規模が大きく、ナイジェリアのイケジャ・コンピューター・ビレッジのような拠点が市場を主導する見通しだ。製造業が強い国は、再生拠点としての地位を築き、複数回にわたる収益機会を獲得すべきだ。

特に自動車や産業機械の再製造は、分解、修復、品質保証を通じて高い収益をもたらす。例えばメキシコ、インド、ベトナムは、熟練労働力、インフラ、物流を強みに多国籍企業を誘致し、投資と経済成長を促進できる。

発展途上国は、世界的な再生拠点となることができる。例えば欧州企業は、下取り品を回収してベトナムで再生し、再販売することで、雇用と収益を高める循環型の価値の流れを生み出せる。

用途転換と部品回収

製品全体が動かなくなった場合に部品を回収して再利用することも、発展途上国にとって実行可能な循環経済の取り組みだ。

廃棄された機器の部品を再販売すれば、製造コストを削減できる。例えば、ホーチミン市のニャットタオ市場は、非公式な部品回収が収益につながることを示している。こうした活動を拡大すれば、手頃な価格と信頼性の向上を通じて、経済の強靱性を高められる。

使用を終えた電気自動車(EV)のバッテリーなどの部品も、定置型エネルギー貯蔵システムなど、別の用途で再び活用できる。バッテリーの組み立て能力を備えた国は、先進地域からEVバッテリーパックを調達して用途転換し、手頃な価格の地域エネルギーソリューションを生み出せる。

リサイクルと資源回収

リサイクルは循環経済の最終段階であり、使用済み製品から価値ある素材を回収する。発展途上国は、有害な非公式リサイクルから高度な施設へと移行し、電子廃棄物から金や銅などの資源を効率よく抽出できる。

チリやペルーのように鉱業が盛んな国は、「都市鉱山」へと軸足を移し、資源供給国としての役割を維持しながら、世界の電子廃棄物を持続可能な形で処理できる。正式なリサイクル部門は、回収、選別、処理の各段階で雇用を生み出すとともに、非公式に働く人々をより安全で体系化されたネットワークに組み込む。この方法は、インドとメキシコで実施され、成果を上げている。

強固なガバナンスと高い基準を確立すれば、発展途上国は世界的なリサイクル拠点となり、専門的な廃棄物処理に関する国際連携を呼び込める。

発展途上国が循環経済で繁栄できる分野Image: circularpathwaysbook.com

戦略的価値と世界における位置づけ

これらの機会は、循環経済への世界的な移行の中で、発展途上国がいかに繁栄できるかを示している。修理、再生、再製造、用途転換、リサイクルの分野で先を見越して地位を築けば、新しい製品の生産だけにとどまらず、世界に不可欠な循環経済サービスを提供する国へと発展できる。

この移行は持続可能な経済成長を促し、産業の強靱性を高め、急速に変化する世界のビジネス環境における各国の地位を向上させる。

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