企業の規模は賃金格差に影響するのか?

企業の規模は賃金格差に影響するのか?
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所得格差の拡大には、さまざまな要因が考えられる。格差の原因は、熟練労働者への需要の高まり、グローバル化、労働市場制度の弱体化、あるいはこれらすべての組み合わせかもしれない。こうした理論は、多かれ少なかれ、時とともに変化する労働者に焦点を当てている。しかし、雇用主の規模が時とともに変化することも、所得・賃金格差が拡大する重要な 要因 になり得る。全米経済研究所(National Bureau of Economic Research)の新しい ワーキングペーパー は、雇用主の規模拡大が賃金格差の拡大を説明する一助になると論じている。

米国では、企業の平均規模が大きくなっている。こうした大規模化への移行の根本的な理由はまだ明らかでないが、米国で スタートアップ率 が低下していることを示す証拠がある。労働者にとって、この傾向は好ましいものかもしれない。 研究 によると、大企業の従業員は小規模企業で働く人々よりも賃金プレミアムを受け取っている。小売店の賃金を調べた最近の論文を見てみよう。大型量販店の労働者は、小規模な家族経営の小売店の同様の労働者よりも 多く稼いでいる 。

新しい論文は、企業の規模が大きくなるにつれて賃金分布がどう変化するかを調べている。著者のホルガー・ミューラー(ニューヨーク大学)、ペイジ・ウイメット(ノースカロライナ大学)、エレナ・シミンツィ(ブリティッシュコロンビア大学)は、英国企業内の賃金に関する独自のデータセットを用いた。企業内の労働者を技能水準別に9つのグループに分けており、これは企業内の賃金水準にも対応している。

著者らが見いだしたのは、賃金比率で測った格差は企業規模が大きくなるにつれて拡大するものの、この傾向は分布の中位層に比べて上位層の賃金が大きく伸びることだけによって生じているという点だ。中位層と下位層の賃金比率は、企業規模が大きくなっても実際には上昇しない。

著者らが指摘するように、企業内格差のこの傾向は、英国と米国のより広範な労働市場で起きていることとよく一致する。両国における近年の格差拡大は、下位層が取り残されるというよりも、上位層が中位層や下位層を引き離すという話である。そして、ミューラー、ウイメット、シミンツィの結果によれば、企業が大きくなるにつれてまさに同じことが起きている。より多くの労働者が大企業で雇用されるようになれば、こうした傾向が一致するのは理にかなっている。

著者らはまた、規模が拡大する企業で賃金中位層と下位層の比率が一定に保たれるのは、両者が相対的に同じペースで賃金を伸ばしているからではないと指摘する。むしろ、賃金が比較的低いこれらの労働者の賃金は、企業規模が大きくなっても上昇しないようだ。言い換えれば、下位層と中位層の労働者は、大企業で働いても賃金が増えるわけではない。この結果は、大企業で働くことによる賃金プレミアムの大部分が、上位層の賃金上昇によって生じていることを意味する。

重要な留意点として、ミューラー、ウイメット、シミンツィが調べているのは企業内の賃金動向である一方、賃金プレミアムに関する研究の多くは事業所の規模に基づいている。たとえば、レストランチェーンを調べる場合、企業全体を見るのか、個々のフランチャイズ店を見るのかという違いがある。後者は事業所と呼ばれる。

もちろん、著者らが調べているのは英国のデータだ。こうした結果が米国のデータでも再現されるかどうかは、まだ分からない。したがって、米国でこの動態をより深く理解しようとする研究は、大いに示唆を与えるだろう。個別の知見にとどまらず、ミューラー、ウイメット、シミンツィの論文は、賃金格差のような経済のより深い傾向を明らかにするうえで、企業と労働者の動態をあわせて見ることが役立つと改めて示している。

本記事は、 Washington Center for Equitable Growthとの協力により掲載されています。掲載は、世界経済フォーラムが見解を支持することを意味するものではありません。

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著者:ニック・バンカーは、Washington Center for Equitable Growthの政策研究員です。

画像:バンガロールのアウトソーシングセンターで、世界各地のタイムゾーンを示す時計の下に立つ労働者たち。ロイター/Vivek Prakash。

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