ピンクのタンクトップとショートパンツを身にまとい、頬紅と赤い口紅で化粧をしたトランスジェンダーのムエタイ選手、ノン・ローズ・バーン・チャルーンスックは、手ごわい相手だ。
今月初め、ローズの名で広く知られる彼女に、激戦となった5ラウンドの試合で敗れた男性選手、カルン「プリウパック」ケムラムに聞けばいい。
「彼女の力と大柄な体格に太刀打ちできませんでした」とプリウパックは語った。
「彼女は本当に男だから、男のように戦うんです」とプリウパックは付け加えた。タイの首都にあるラチャダムヌーン・スタジアムでの試合で、彼は右目の上を切るけがを負った。
ローズは先月、この由緒あるムエタイの競技場で試合をする初のトランスジェンダーのボクサーとなり、今回、同競技場で2連勝を飾った。
観客は明らかに彼女の味方で、試合中ずっと熱烈な声援を送っていた。
「トランスジェンダーだからといって、私たちが弱いということにはなりません」とローズは試合後に語った。「私たちだって何でも成し遂げられます。」
21歳の彼女は8歳でボクシングを始め、ムエタイ選手だった叔父の後を追った。叔父に勧められてトレーニングを始めたという。双子の兄弟もムエタイ選手だ。
ソムロス・ポンチャルーンとして生まれたローズは、幼い頃から自分を女性だと認識しており、リングで化粧をし、スポーツブラを着け始めたと語った。
彼女が主に試合をしてきた地方の町では、その姿に戸惑う男性選手もいた。
「勝っても負けても恥ずかしいから、ゲイの人とは戦いたくないと言われました」と彼女は語った。
「今もそうした侮辱を受けますが、気にしていません。」
タイはゲイやトランスジェンダーの人々にとって楽園と広く見なされているが、多くの人は二級市民として扱われていると語る。
トランスジェンダーの女性はテレビや美人コンテスト、美容院、化粧品売り場で活躍しているが、性別に基づく差別を禁じる2015年の法律があるにもかかわらず、身分証明書上の性別表記を変更することはできない。

300試合以上を経験し、150勝のうち30勝をノックアウトで挙げたローズは、ついにラチャダムヌーン・スタジアムで試合をすることが認められたと語った。
ローズが練習するブリーラム県のキャンプのオーナー、プッティポン・プルクラムは、雑用やトレーニングに熱心に取り組み、誰よりも長い距離を走ることも多いとして、彼女を「素晴らしい模範」と呼ぶ。
「誰もが彼女を敬い、慕っています」と、56歳のプッティポンは語った。
ローズはタイ初のトランスジェンダーのボクサーではない。その先駆けは、2004年の映画『ビューティフル・ボクサー』の題材となったパリーニャ「ノン・トゥーム」チャルーンポンだ。トゥームは後にボクシングスクールを開き、ローズもいつか同じことをしたいと願っている。
ローズはまた、世界でムエタイの大使になることを目指し、地方のトランスジェンダーのボクサーたちに、初期の挫折にくじけないよう呼びかけている。
「まず転んで、それを乗り越えなければなりません。そうすればゴールは手の届かないところにはありません。」



