マナグアの調達担当マネージャーと 持続可能な開発目標 (SDGs)には、どのような関係があるのでしょうか。あるいは、ケニアの農家の携帯電話プランと、世界経済フォーラムの開発に関する議論には、どのような関係があるのでしょうか。
長期的な開発の解決策となると、実のところ、あらゆるものが関係します。発展途上国で民間セクターの関与が高まるなか、事業活動における日常的な側面が、開発目標を実現するために欠かせない土台となっています。
2015年に新たなSDGsを策定する合意が成立したことで、民間セクターには、目標に沿った開発効果の実現に取り組み、より繁栄し、公平な世界の創造に直接貢献する機会が生まれました。しかし、それを達成できるかどうかは、こうした取り組みを現場で前向きかつ持続可能な変化へと結びつけられるかにかかっています。
これは、 テクノサーブの使命です。私たちは貧困を緩和するためのビジネスソリューションを専門とする非営利団体です。職員の多くが民間セクター出身である私たちは、小規模企業から多国籍企業までを支援し、「持続可能性への取り組み」という高いレベルの約束を、企業と地域社会の双方に役立つ日々の実践へと変えています。
ここでは、その実現方法について、現場で得た知見をいくつかご紹介します。
地域のサプライチェーンを自社の利益にもつなげる
企業が貧困削減に貢献する最善の方法の一つは、地域の生産者をサプライチェーンに組み込むことです。しかし、道路事情が悪く、インターネット接続も不安定ななか、数百マイルにわたる地域の何千もの小規模供給業者と、納品、契約、支払い、普及支援サービスをどう調整すればよいのでしょうか。
私たちは、VodafoneおよびUSAIDとの官民連携を通じて、こうした課題に取り組んでいます。地域の農家と協働する農業関連企業向けに、技術的助言、市場情報、データ管理、決済システムを提供するモバイルアプリを開発しています。
ただし、同様の多くのプロジェクトと異なり、技術の費用を負担するのは農家ではなく、農業関連企業です。現場への複数回の訪問や、農家との契約・支払いの管理にかかる時間と費用を削減できるため、企業に明確なメリットがあるからです。モバイル通信会社にとっても、自社アプリの魅力的な企業間市場となります。
サプライチェーン全体の関係者にこのようなインセンティブを設ければ、地域からの調達が小規模生産者だけでなく企業にも利益をもたらし、持続可能性に不可欠な仕組みとなります。
車輪を再発明せず、既存の仕組みを改良する
東アフリカのコーヒー農家が収量を増やせるよう農業技術研修を行うなかで、所得を持続的に増やすには、より複雑な課題に取り組む必要があると分かりました。たとえば、収益性の高い国際コーヒー市場に参入するには、ウェットミルと呼ばれる大型で高価な設備で豆を加工する必要がありました。これを購入するには、農家が手頃な条件で外部資金を得なければなりません。その後、国際的な買い手にコーヒーを売り込み、価格交渉をするという難しい過程にも直面します。
しかし、こうした課題すべてに対応できる既存の市場関係者がいました。地域のコーヒー輸出業者です。私たちは輸出業者に技術支援を行う一方、融資用の資金を提供できる金融機関との連携も支援しました。その結果生まれたコーヒー・サービス・プロバイダー(CSP)は、新たなウェットミルへの資金提供を支援し、マーケティングの専門知識を活用して農家のコーヒーにプレミアム価格を実現するとともに、作物の損失から農家を守るリスク管理サービスを提供しました。こうした取り組みにより、CSP自身も事業を拡大し、改善することができました。
このモデルは、 ある取り組み の重要な一部であり、この取り組みによって過去5年間にコーヒー農家の収入が数百万ドル増加しました。
雇用促進には、従来型の研修にとどまらない視点を
簡単なことに聞こえますよね。企業が地域の従業員をもっと雇い、失業を減らしたいなら、仕事に必要なスキルを教えればよい。確かにそうですが、実際にはもっと複雑なことが少なくありません。企業は会計、調理、工学などの研修プログラムを提供できますが、そこに至るには、働き手となる人々が、プロ意識のある態度やチームで働く能力といった、明示されないさまざまな「ソフトスキル」を身につける必要があります。
また、それは企業が採用を行っている場合の話です。労働市場で供給が需要を大幅に上回る場合、失業削減には起業も不可欠です。
この課題に対処する方法の一つは、若者に従来とは異なる職業訓練を提供することです。MasterCard Foundationの支援を受け、TechnoServeは2011年に「企業を通じた農村部の若者の能力開発強化」プログラムを開始しました。職業人としての実効性、起業、事業計画、個人の財務管理などのスキルを指導するものです。これまでに研修を受けた約15,000人の若者は、所得が平均233%増加しており、多くがCoca-Colaの 5by20イニシアチブなど、より正式な雇用プログラムにも参加し、成果を上げています。現在、さらに48,000人の若者に届けるため、プログラムの改善と規模拡大を進めています。
国際開発の姿が変わりつつあることは間違いありません。今日では、 大手飲料企業 が小規模農家から果汁原料の調達を増やしたり、 地域の食品加工業者 が販売拡大に向けて製品を強化する方法を学んだりする姿にも表れています。
2015年以降の野心的な開発アジェンダを達成するには、こうした可能性を生かす必要があります。そのためには、民間セクターの取り組みをSDGsなどの世界目標に沿わせ、前向きな開発を促進する企業を評価することが求められます。そして何よりも、企業やその他の関係者が、取り組みを行動に移す際に細部まで適切に進められるよう支援することが重要です。
著者:William Warshauerは、TechnoServeの社長兼CEOです。
詳しくは、 世界経済フォーラムの食料安全保障と農業に関するページをご覧いただくか、 mailto:agriculture@weforum.orgまでメールでお問い合わせください。
画像:ペルー中部のジャングル地帯にあるチャチャポヤスの山間部のコーヒー畑で、有機コーヒー豆を手にする農家。REUTERS/Enrique Castro-Mendivil(ペルー)

