BRICSには結束を固める「モルタル」が必要

BRICSには結束を固める「モルタル」が必要
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魅力的な略称と毎年の首脳会議(第7回は今週ロシアで開催された)を除けば、ブラジル、中国、インド、ロシア、インド、南アフリカを結び付けるものはあまりないように見える。

当初のBRIC4カ国に共通していたのは、その圧倒的な規模だった。これらの国々は当時も現在も、新興・途上経済の中で最大の4カ国である。しかし、2010年に南アフリカが加わって以来、グループの結束は弱まった。南アフリカは小さすぎて参加国にふさわしくないと考えていたジム・オニールは、これを大いに嘆いた。実際、南アフリカは新興経済の中で18番目の規模にすぎず、ナイジェリアより3分の1小さい(「BRINC」でも面白いイメージができそうだ)。

BRICSのもう一つの特徴は、急速な経済成長のはずだった。この点でも、5カ国の実績は大きく異なることが分かった。2000年から2014年にかけて、中国経済は年率ほぼ11%で成長し、GDPは4倍になった。IMFの「世界経済見通し」によると、中国は今や南アフリカより豊かで、ブラジルやロシアにほぼ並ぶ豊かさとなっている。後者の3カ国の成長率はわずか3~4.5%で、この期間の新興・途上国平均を大きく下回った。インドは2000年以降8%の成長を遂げたが、極めて低い水準からの出発であり、2011~2013年には大幅な落ち込みもあった。

低調な成長の結果、ブラジル、ロシア、南アフリカを合わせた世界経済に占める比重は低下しており、通貨市場のゆがみをならすことを目的とする購買力平価で見ると、IMFは2020年にはわずか5.9%になると見込んでいる。その頃までにインドネシアはロシアとブラジルを追い越し、中国、インドに次ぐ第3位の新興経済となる。BRICSのシェアは2010年の27.1%から2015年には30.6%へ上昇したが、その増加はほぼ全面的に中国によるものだった。中国は昨年、購買力平価ベースで米国を追い越し、今では世界経済の6分の1を占める。

こちらで説明したように、中国を除くBRICS諸国や近年の大半の大規模新興経済の期待外れの実績には、いくつかの要因がある。全体として、ほとんどのコモディティ価格は下落するか、停滞している。資本流出と米国の緩和的な金融政策の段階的終了は、さらなる不安定さを生み、新興経済の信用へのアクセスを悪化させた。しかし、こうした要因だけでは減速を説明できない。

中国という顕著な例外を除けば、BRICS諸国は2000年代の高成長期を、競争力を高め、高い成長率を持続するために必要な構造改革の実施に生かさなかった。これは、世界経済フォーラムの 最新の「世界競争力報告書」 が示す主要なメッセージの一つである。同報告書は140カ国超の生産性を左右する要因を評価している。この調査は、中国と他のBRICS諸国との間に競争力の深い隔たりがあることを明らかにし、各国の経済的な明暗を部分的に説明している。

「 世界競争力指数ランキング」2014~2015年版では、144経済のうち中国が28位で、ロシア(53位)、南アフリカ(56位)、ブラジル(57位)、インド(71位)を大きく上回る。以下の表は、指数の12カテゴリーにおけるBRICS諸国の実績を示している。

実績の水準には差があるものの、5カ国すべてが3つの重要分野で改善を図る必要がある。(1)ボトルネックと参入障壁を取り除き、特に経済の戦略的部門で競争を促進すること。(2)労働市場の柔軟性を高め、既存の人材をより効果的に活用すること。(3)公的機関の質、透明性、効率性を向上させること。指数のこのカテゴリーで122位のロシアでは、特に重要である。

さらに、インド、南アフリカ、ブラジルは――とりわけ所得水準を考慮すると、ブラジルは大いに懸念される――競争力の 基本的な基盤 、すなわちインフラ、保健、基礎教育、マクロ経済の安定をなお強化する必要がある。

生産性向上のための手の届きやすい成果をほぼ取り尽くした中国でさえ、将来の競争力を左右する、より複雑な分野で改善するという大きな課題に直面している。これには教育、市場効率、金融の発展、イノベーションが含まれる。

世界競争力指数の12の柱におけるBRICSのスコア

BRICS

競争力や経済を超えて、文化、人口動態、政治体制にも大きな違いがある。地理的な隔たり、領土紛争、頻繁な外交上の応酬――直近では首脳会議で、中国とインドがあるテロリストの行方をめぐって対立した――も加われば、BRICSは大規模な新興国同士の緩やかな、そして競合する集まりに見える。それでも、どういうわけか、単なる略称として始まったものが政治機構となった。比較的動きが鈍いとはいえ、この枠組みが存在するという事実そのものが祝うべき理由である。言葉を交わすことは――たとえ厳しい言葉であっても――引きこもりや孤立より常に望ましいからだ。

さらに二つの明るい兆しは、多国間開発銀行である新開発銀行と、アジアインフラ投資銀行の設立である。2014年に発足したこれらは、グループによる初の重要な取り組みだ。国内外の多くのインフラ上のボトルネックや、その他の差し迫った開発課題への対応に貢献し、必要性の高い帰属意識を育むこともできるだろう。加えて、共通の政策課題としてBRICS間の貿易を促進すれば、各国の競争上の優位性と多くの相互補完性を活用できる。

BRICS諸国の政府は、世界人口の約40%の運命に影響を及ぼしている。その多くは、必ずしも所得面の貧困に限らない、さまざまな形の貧困に苦しんでいる。人々の暮らしの改善に貢献することは、少なくとも各国が共有する重大な責任である。世界競争力指数が特定した重要分野で構造改革を進めることは、この目標に大きく寄与する。

スイス西部のジュラ山脈では、石灰岩の多孔性のため水が乏しく、農民たちは何世紀にもわたってモルタルを使わず、乾式石積みの壁で牧草地を囲ってきた。こうした壁は、この地域の厳しい冬と気まぐれな夏に耐えてきた。BRICSもまた、結束を保っている。将来の嵐にも、ジュラの石壁のようにしなやかに耐えることを願いたい。

著者:ティエリー・ガイガーは、世界経済フォーラムのグローバル・ベンチマーキング・ネットワーク、シニアエコノミスト。

画像:ヴォー州ジュウ渓谷の乾式石積みの壁(スイス)

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