ダボス会議で最も印象に残った瞬間は、会話に集約できます。人々と地球を中心に据える新たな経済パラダイムについて、アイデンティティとメンタルヘルスがどう交差するかについて、肉の消費が拡大する世界における食の未来について、あるいは仕事のない世界でいかに意味を見いだせるかについて。
会合で多くの人に投げかけた質問の一つは、こうでした。あなたに本当に刺激を与えたり、心を動かしたりし、歩みに大きな役割を果たした本を一冊挙げるとしたら、何でしょうか。寄せられた回答をいくつか紹介します。
1. 持続可能な開発目標をテーマにした集まりで、ノルウェー首相のエルナ・ソルベルグ氏に会いました。今年のダボス会議の女性共同議長7人のうちの一人です。彼女は、フェミニストSF小説シカスタ(ドリス・レッシング著)に深く感銘を受けたそうです。
2. スンダー・ピチャイ氏はグーグルのCEOです。一冊だけ選ぶのは難しいとのことで、質問をこの1年間に読んだ本に絞りました。彼が薦めたのは、『遺伝子』(シッダールタ・ムカジー著)です。私たちの根幹をなすものを深く掘り下げ、私たちがそれを操作する力を手にしつつあることを幅広く論じた本です。

3. カルナ・ラナ氏はモーリシャス出身のグローバル・シェイパーで、小島嶼国の若者たちによる連合を率いて、気候変動への認識を高め、行動を促しています。彼女は、『神との対話』(ニール・ドナルド・ウォルシュ著)が与えた影響を取り上げました。この本のおかげで、あらゆることに疑問を持ち、常により深く探究する批判的な考え方を身につけられたといいます。
4. クリスティアナ・フィゲレス氏は、気候変動対策で世界のリーダーたちを協力へと導いた功績が広く認められている、気候問題に楽観的な立場を取る人物です。科学者たちが現状を説明し、企業関係者がこの取り組みへの参加を表明したイベントに出席していました。愛の力を強く信じ、仏教哲学に影響を受けていると語り、ティク・ナット・ハンの『地球へのラブレター』を薦めました。

5.世界情勢をめぐる複数のノーベル賞受賞経済学者との対話で、アンガス・ディートン氏は米国のオピオイド危機の悲劇を取り上げました。彼が薦めた『道徳経済学者たち』(ティム・ローガン著)は、ぜひ読むべき一冊です。
6.社会学者のアーリー・ホックシールド氏は、テクノロジーと信頼をテーマにしたパネルに参加しました。そこでは、今日目にする多くの技術トレンドを動かす、誰の目にも触れながら見過ごされている経済的要因が議論されました。彼女は、先見性があると感じた本として、ロバート・ライシュ著『資本主義を救え』を挙げました。
7. クリスティー・ピーコック氏は、何十年にもわたりアフリカ各地の農家と協働してきた社会起業家です。食の未来をめぐる議論を進行するなかで、農村の農家が抱える懸念を取り上げました。彼女によれば、アトゥール・ガワンデ著の『死すべき定め』(アトゥール・ガワンデ著)は、深い個人的な喪失を経験したとき、道を見つける助けになったそうです。
8. オックスファムのウィニー・ビャニマ氏は、ダボス会議直前に、前年の世界の富の82%が人口の上位1%に渡ったと発表し、不平等に光を当てました。納得のいく答えを見つけるまで、一晩考える必要があったといいます。最初は作家ゾラ・ニール・ハーストンが描いた黒人の闘いに触れましたが、最終的に選んだのは、『第二の性』(シモーヌ・ド・ボーヴォワール著)でした。

9. ウィキペディア創設者のジミー・ウェールズ氏は、ダボス会議でグローバル・シェイパーズの若者たちと率直に議論するなかで、『お金か、それとも人生か』(ヴィッキー・ロビン著)は人生における大切なことを明らかにしてくれたと語りました。
10. ケイト・ラワース氏は、同様の問いをより大きなパラダイムの規模で扱った著書、『ドーナツ経済学』の著者です。彼女は、『格差』(ジェイソン・ヒッケル著)が心に強く残ったと語りました。
11.脳とコンピューターをつなぐインターフェースと、それが将来どのような役割を果たすかについて語るなかで、心理学者のスティーブン・ピンカー氏は、『無限の始まり』(デイヴィッド・ドイッチュ著)を、特に印象に残った本の一冊として挙げました。



