ビル・ゲイツが語る、1年前には知らなかった今の知見

Microsoft founder Bill Gates smiles while playing bridge with Warren Buffett, CEO of Berkshire Hathaway Inc, as part of the company annual meeting weekend in Omaha, Nebraska U.S. May 6, 2018. REUTERS/Rick Wilking - RC1445865200
He "reads a lot, knows a lot, travels a lot, and thinks a lot."Image: REUTERS/Rick Wilking - RC1445865200
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ビル・ゲイツは多くの本を読み、多くを知り、各地を訪れ、深く考えます。では、1年前には知らなかったことで、今は何を知っているのかと尋ねれば、彼には語ることがたくさんあります。

Quartzは、世界の保健と貧困に関する目標の進捗を報告するビル&メリンダ・ゲイツ財団の年次報告書の発表を前に、電話インタビューを行い、ゲイツにこの質問を投げかけました。

それはインタビューの最初の質問でした。ゲイツは約7分をかけて答え、その内容は幅広く、約900語に及びました。

質問はこうです。「1年前には知らなかったことで、今は何を知っていますか?」

ゲイツの答えを紹介します。

ビル・ゲイツ:栄養がいかに重要かという理解は深まってきました。ただ、この1年で、その認識が広がる範囲はかなり大きくなったと思います。しかも、いくつものレベルで広がっています。

私たちはデータを詳しく調べ、死亡リスクが最も高いのは成長の軌道に乗っていない子どもたちだと分かりました。そこで、健やかな出生と成長に関する、研究者が全面的に利用できる素晴らしいデータベースを構築しました。子どもの成長の軌道、つまり年齢に応じた身長が順調でなくなると、その軌道に乗っている場合と比べて、死亡リスクが約4倍になることが分かりました。

Image: ゲイツ財団「Goalkeepers」報告書

世界の保健分野で私たちが取り組んできたことの多くは、急性期の介入、あるいは急性の発症を防ぐことです。たとえば、ロタウイルスワクチンを接種すれば、ロタウイルスに感染しないため、ロタウイルス性下痢症の急性症状は起きません。肺炎球菌ワクチンを接種すれば、肺炎の急性症状を起こさずに済みます。しかし、こうした急性症状が出たとき、命を落とす子どもと助かる子どもがいるのはなぜか、という疑問は常にありました。それが成長の軌道に乗っているかどうかと深く結びついているという理解は、まさに今回明らかになりました。さまざまな問いを扱った研究を集め、文字どおり数百万件の成長記録を作成し、成長と健康上の出来事を結びつけました。こうして、「なるほど、栄養と成長は重要だ」と分かったのです。

科学の面では、いわゆるマイクロバイオーム、つまり腸内で増殖する細菌についての理解が進んでいます。同じ食事をしていても、一方の子どもは成長の軌道に乗って健康を保ち、心身ともに十分な発達を遂げる一方、もう一方の子どもは腸に炎症が起き、食べた栄養さえ吸収できなくなる。その違いを左右するのが、こうした細菌に関わる問題です。この病態は、以前から腸管性腸症や熱帯性腸症などと呼ばれてきました。経口ワクチンを接種しても多くの子どもに効果が見られないことから、私たちはその存在を認識していました。つまり、腸内で何らかの問題が起き、炎症が十分に強くなると、経口ポリオワクチンやロタウイルスワクチンが効かなくなるのです。この2つが主な経口ワクチンですが、効果がありません。いずれにせよ、栄養についての理解が深まったことを強調したいと思います。

教育の分野では、開発に携わる人々がもっと重視すべきだったのに、実際に取り組まれるようになったのはごく最近という課題があります。それは教育の質です。これまでの多くの指標、たとえば「ミレニアム開発目標」に関する指標は、とても分かりやすいものでした。子どもたち、とりわけ女子が学校に通っているかを、初等教育と中等教育の両方で見るものです。世界銀行が今年の「世界開発報告」の執筆を依頼した素晴らしい専門家たちによって、ほとんどの国が、学校で過ごす時間を活用して、仕事や経済成長に必要な数学と読解の力を十分に身につけさせていないことが明らかになりました。彼らはこの問題に強い光を当てました。

保健分野と同じように、GDPに対して教育の質をプロットすると、各国が概ね沿う期待曲線が見えてきます。GDPが上がれば、教育の質も上がります。保健分野でも、子どもの生存率やワクチン接種率をGDPと照らし合わせたグラフを私たちは常に見ています。ここでは、学習年数をGDPに対して示したところ、いくつかの国が好ましい外れ値として見つかりました。報告書で取り上げ、詳しく論じているのはベトナムです。同国で実際に行われている教育の質は、いわゆる高所得国に匹敵します。ベトナムが中所得国の地位を得たのはごく最近のことです。人事制度を調べても、巨額の資金を投じているわけではありません。妥当な額を投資していますが、投資水準で突出しているわけではありません。際立っているのは、その運営方法です。

マラリアやHIVについて、今の私たちは以前より理解が進んだと言えます。会議に出席してマラリアやHIVについて話し、うまくいっていることや、そうでないことを論じるのが私の仕事のようなものです。HIVについては、目標達成に向けて行動変容を促すことが難題だと思います。「90・90・90」という考え方を聞いたことがあるでしょう。90%が自分の感染状況を知り、そのうち90%が治療を受け、さらにそのうち90%でウイルスが抑制されている状態を目指すものです。3つ目の目標は、もともと健康状態が非常に良好な人の割合にあたりますが、それを達成するのは難しいと分かっています。これについて議論する大規模なエイズ会議が、つい先ごろ開かれました。

こうして私たちは理解を深め、イノベーションを生み出します。そして、Goalkeepers(年次報告書とイベント)の目的は、先を行く人々がいる場所や、好ましい成果を上げている国々を紹介し、その優れた取り組みをどう取り入れるべきかを話し合うことです。また、遅れを取っている場所や、軌道に乗せるのが非常に難しい目標についても率直に語ります。

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