アジアの成長加速と貧困削減の鍵となる可能性

A private security guard stands by an ATM of Dena Bank in New Delhi, India, September 18, 2018. REUTERS/Adnan Abidi - RC17EE5EC890
Mind the gap.Image: REUTERS/Adnan Abidi
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世界で最も急成長する地域であるアジアでは、より多くの人々が金融サービスを利用できるようにすることで、成長が促されるとともに、貧困と不平等の軽減につながる。

なぜだろうか。個人や企業が当座預金口座を開設したり、融資枠を設定したりできれば、借り入れや貯蓄、支出の管理がしやすくなる。これらすべてが経済の循環を促す。

私たちの最新の研究は、より多くの人々に金融サービスを利用する機会を広げることで、アジアがどのような恩恵を得られるかを示している。

格差に目を向ける

明るい兆しとして、ATMの利用やモバイルバンキングの普及により、アジアではかつてないほど多くの人々が金融サービスを利用している。しかし、こうした進展にもかかわらず、各国では金融包摂として知られる金融サービスへのアクセスや利用状況に依然として大きな格差がある。

例えば、アジアにおける富裕層と貧困層、農村部と都市部、男性と女性の間の格差は、世界でも特に大きい。インドでは、最も所得の低い層の成人男性で銀行口座を持つ人は約52%にとどまる一方、最も所得の高い層では80%に上る。

いわゆる「銀行口座保有者」と「非保有者」の格差を生む要因は、所得だけではない。この地域の多様性を踏まえると、地理的条件、金融部門の構造、政策なども重要な要因となる。

金融サービスへのアクセス拡大は、貧しい人々が貧困から抜け出す助けとなる。

フィンテックを活用して恩恵をより広く、効果的に行き渡らせることも含め、金融サービスへの幅広いアクセスを促す政策を実施すれば、アジアのこうした格差を縮小できる。

金融アクセスの拡大がもたらす恩恵

私たちの研究によると、金融サービスへのアクセス拡大は大きな経済的利益をもたらし得る。

金融サービスへのアクセスが広がれば、貧しい人々は貧困から抜け出しやすくなる。事業の運営、教育や健康への投資、リスク管理、金融ショックへの対処に必要な融資や保険を利用できるようになり、収入を生み出して生活の質を高められるからだ。銀行口座を持つ世帯が40%に満たないミャンマーやネパールなどの低所得国では、これは極めて重要である。

さらに、金融商品やサービスへのアクセスが乏しいアジアのすべての国が、金融包摂の最先端にあるアジアの新興市場経済国タイの水準まで改善すれば、この地域の貧困は約4%、人数にして約2,000万人減少する可能性があることも分かった。

Image: IMF

また、特に貧困世帯への金融サービスのアクセスを拡大すれば、経済的な機会が増え、生計が改善し、国内の所得不平等全体の縮小につながることも、私たちの研究は示している。

所得分布を示す統計指標を用いた分析では、必要な金融サービスを手頃な価格で広く利用できるシンガポールの水準まで各国がアクセスを拡大した場合、不平等は現在の30~43%から最大で10~20パーセントポイント低下することが分かった。

さらに、ラオス人民民主共和国(Lao PDR)がタイの金融包摂水準に達すれば、所得不平等は5パーセントポイント低下し、2002年以来見られなかった水準になる。

金融包摂は、マクロ経済政策の効果を高め得る点でも重要である。

例えば、金融包摂は政府支出の効率化につながることが分かった。より多くの世帯や企業が金融サービスを利用できれば、政府は個人や企業の口座に給付金や支払いを直接送金できる。これにより政府支出の無駄が減り、社会支出など、多くの人々に恩恵をもたらす成長の促進に資源を振り向けられる可能性がある。

拡大するフィンテック

金融サービスへのアクセスが経済成長と所得不平等の縮小に極めて重要であることを踏まえると、金融サービス分野の技術革新、いわゆるフィンテックは、コスト削減と利用のしやすさを生かし、これまで金融サービスから排除されていた人々にも利用を広げる重要な手段となり得る。

例えば中国はモバイル決済の世界的リーダーであり、2017年には人口の61%がデジタル決済を利用した。これは地域全体のモバイル決済総額の55%を占め、複数の高所得国の水準を上回った。バングラデシュ、カンボジア、インドネシア、マレーシアなど、他の新興市場経済国や一部の低所得開発途上国でもフィンテックが利用されている。

この地域はモバイルマネーのサービス提供者と利用者の主要な拠点にもなっており、サハラ以南アフリカに次ぐ規模である。

Image: IMF

フィジー、サモア、ソロモン諸島、トンガなどの太平洋島しょ国では、基本的な金融サービスを利用するためにモバイル技術を活用する動きが広がっている。モバイルバンキングは、インフラの不備や地理的条件を乗り越える助けとなり、実店舗に出向くといった従来型の銀行利用を難しくしている問題を回避できる。

こうした進展がある一方、この地域ではフィンテックの恩恵が均等に行き渡っておらず、アジアの農村部と都市部のフィンテック格差は世界最大級である。

金融アクセスのさらなる拡大が必要

すべてに通用する政策はない。アジアの政策担当者は、幅広い政策を組み合わせて実施するにあたり、イノベーションの促進と金融の安定維持との適切なバランスを取る必要がある。

例えば、バングラデシュでのマイクロファイナンスの登場や、アジアとアフリカの多くの国でのモバイル決済の普及は、社会的な実験や官民連携によって金融サービスへのアクセスを深め、広げ、その恩恵をより多くの人々に届けられることを示している。

同時に、金融サービスのコストを下げる改革を継続し、銀行口座を持たない人々が金融部門に参加できるよう促すことも有効である。

例えばサモアの政策担当者は、国の「国家金融包摂戦略」において、特に低所得層を念頭に、金融サービス商品を幅広く利用してもらえるよう、適切な設計と価格設定を優先課題としている。

私たちの研究は、アジアの金融包摂を改善する方法について、最大規模の国と最小規模の国の双方が教訓を与えてくれることを示している。鍵となるのは、各国に適した政策を整えることだ。

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