年齢は単なる数字にすぎないと言われる。しかし、ASEANの貿易圏が50周年を迎える今、数字はこの地域のダイナミックな変革を雄弁に物語っている。ひとつの経済圏として見れば、GDPは2兆ドルで世界第7位であり、2030年までに6兆ドル(世界第4位)に達する見通しだ。成長に伴う困難がなかったわけではない。この地域の10か国には著しい多様性がある。その多様性は課題をもたらす一方で、強みにもなっている。
ASEANは、先進国、中所得国、そして新興国が共存する今日の世界の縮図だ。保護主義の高まり、二国間貿易への移行、グローバル化に対する姿勢の変化によって暗さを増す世界にあって、多国間協力の灯台となっている。この地域では今なお、グローバル化が未来への鍵と見なされている。真の成功を測るには、グローバル化と技術変化が西側諸国にもたらした懸念や不満を理解して解消し、ASEANが成長を続けるなかで誰一人取り残されないようにすることが必要だ。
そのためには、ニーズに優先順位をつけ、電力、医療、清潔な水といった基礎インフラを最優先にしなければならない。資金と融資可能なプロジェクトを結びつけ、資金調達の課題に取り組むことが極めて重要だ。厳しい条件の地域でも、最新技術とデジタルソリューションを用いて効率を最大化し、炭素排出を最小限に抑えれば、発電所を3か月で稼働させることができる。医療機器は携帯型でネットワークにつながるようになり、遠隔地でも医療の改善を可能にし、乳幼児や母親へのケア向上に役立っている。また、病院に清潔な水を供給すれば患者ケアの質が高まり、貴重な予算をボトル入り飲料水ではなく患者向けプログラムに充てられる。

優先順位の次に来るのは人的資本だ。ASEANをめぐるもうひとつの重要な数字は労働力である。人口6億人を擁し、世界で3番目の規模を誇る。その50%以上が30歳未満だ。企業が政府や教育機関と連携して、より大きな役割を果たしながら、職業技能とデジタル技能の教育・訓練のバランスを取ることで、この地域の若者の未来を形づくる必要がある。人々は、技術革新による混乱に適応し、変化する経済の需要に技能を合わせるため、継続的な生涯学習に取り組まなければならない。
技能の向上、中小企業向け融資の拡大、ジェンダーの多様性の促進、デジタルインフラへの投資は、より多くの生計を立てる機会を生み出して貧困を減らし、成長を維持し、生産性を高める助けとなる。これにより、将来の労働力の強靱性と柔軟性が確保される。
こうした技能を備え、適応力のある労働力がイノベーションを推進する。それは、21世紀に持続的な経済成長と生活水準の向上を実現する鍵だ。協力と相互連結への取り組みを通じて、ASEANには能力を高め、さらなるイノベーションを促進するための要素がそろっている。デジタル産業時代へ飛躍できれば、各国はより効率的で持続可能な技術をすぐに導入し、実践できる。政府資金によるプログラムや民間のテクノロジー・インキュベーターとの連携は、ASEANのデジタルリテラシーの水準を引き上げる。イノベーションによる技術変化は、より高い付加価値を生む雇用につながる。
ASEANが傍観者の立場を離れて世界の舞台に進み出るなか、その数字は説得力を増している。各国の経済を引き続き動かす、実質的な成長と繁栄の共有を生み出すインフラへの投資を続ける必要がある。若年層に焦点を当て、従来型の技術要件とデジタル時代の要件の双方に応える雇用、技能形成、訓練に投資しなければならない。そして、多様な地域社会が直面する現実の課題に対応するハードウェアとソフトウェアのソリューションを開発し、イノベーションをさらに深めるべきだ。



