世界経済の現状を示す最新の数値を受け、投資家やエコノミストは「同時成長」という言葉を、2017年に世界各国の経済が健全かつ力強く改善した兆候として用いるようになった。地球上のほぼすべての国で経済生産が増加した。
実際、2017年は先進国市場にけん引されて世界成長率の見通しが上方修正された年だった。米国とユーロ圏の数値は予想外に強く、新興国市場は商品価格の変動を乗り越え、市場予想を上回る成長率を達成した。世界はようやく停滞のリスクから抜け出し、明るい見通しの2018年を迎えるかに見えた。
しかし、同時成長にはあまり望ましくない相手が伴っていた。債務の同時拡大である。2017年の債務増加は過去15年間で最大となり、世界の債務はGDPの325%を超えた。

市場への信頼や投資家の需要を強調する言説が優先され、過剰債務の危険性は一年を通じてほとんど顧みられなかった。アルゼンチンなどの国は、歴史的な低利回りで100年債を発行し、強い需要を集めることができた。中国は改革課題と債務削減政策を断念し、前年を上回るペースで債務を増やした。ユーロ圏諸国は、残存期間3~5年の債券に付く異常なマイナス金利に慣れていった。各国政府は構造改革を放棄し、「赤字支出の拡大」を再び唱え始めた。金利は非常に低かった。なぜそうしないのか、というわけだ。
ゾンビ企業の台頭
問題の最初の兆候は、ゾンビ企業の異常な増加と不良債権の長期化だった。国際決済銀行によると、営業利益で利払い費を賄えない企業、すなわちゾンビ企業の数は、危機時の水準を上回った。低金利は企業が支払い能力を回復する時間を与えず、多くの企業を「生ける屍」にした。同時に、ECBによる約2兆ユーロの景気刺激策にもかかわらず、ユーロ圏の不良債権は1兆ユーロを超えていた。
ムーディーズとスタンダード&プアーズは、超低金利にもかかわらず、支払い能力や返済能力を示す比率が大きく改善していないと警告した。さらに、懸念すべき兆候も現れ始めた。実体経済への有意なリターンが見込めない、非常にリスクの高い投資向けの債務も増加していた。一部の先進国では、投資の伸びの最大80%が資本の再循環によるものだった。
債券市場に過信が広がるなか、マイナス利回り債は7.5兆ドル超、現地のインフレ率を下回る利回りの債券は11兆ドル超に達し、ハイイールド債は過去35年間で最低の金利で発行された。
超低金利が8年間続いた後、利回りを追い求める動きが懸念されるようになっていた。
2018年初頭、新興国市場と先進国市場の金融資産が大幅に上昇し、陶酔的な雰囲気はいっそう強まった。慎重になっていた私たちは、何かを見落としていたのだろうか。ついにインフレ率が上昇するのだろうか。成長率の見通しがさらに上方修正されるのだろうか。そして、それは突然、弾けた。
宴は終わった
私たちが「低リスク」と見なす資産への資金の集中は、常に大きな相場調整や金融危機の背景にある。2018年2月最初の数週間に見られた動きは警告のサインだ。低金利と債務への依存に明け暮れる宴は終わったと告げる警鐘である。また、ボラティリティがゼロで低金利が永遠に続くという危険な賭けを続けるべきではないとも告げている。政府や債務発行体は、この警鐘を好機として受け止めるべきだ。
成長予測が依然としてプラスで、工業関連指数が拡大を示し、消費者信頼感が高水準にある今、経済主体はこうした市場の動きを、金融の健全性を取り戻す好機と捉えなければならない。2018年は、成長を強化し持続可能性を高める年にすべきであり、不均衡を拡大させて前回をはるかに上回る危機を招く年にしてはならない。
すべての経済主体にとって、その好機は非常に大きい。持続可能な水準で実体経済にリターンをもたらす投資が増え、可処分所得の改善に支えられた、より健全な消費パターンも広がっている。こうした前向きな動きを確かなものにしなければならない。しかし、安く簡単に資金を得られる時代は終わり、潤沢な流動性と低金利によって世界経済が次の危機を乗り越えることはできないと、私たち全員が理解することが絶対に必要だ。現在、危機がないなかで主要中央銀行は月に2,000億ドル超を買い入れており、金利は景気の動きに対して150~250ベーシスポイント遅れている。
すでに流動性があふれているため、次の危機はさらなる利下げや流動性供給では解決できない。
最近の金融市場の調整を、その本質どおりに受け止めよう。極めて深刻な警告である。
サッカーの試合では、審判は警告として選手にイエローカードを提示する。ピッチ上で許容できない行為が続けば、選手はレッドカードを受け、退場となる。
最近の市場の反応は、まったくリスクがないかのように債務と不均衡を拡大させるのをやめるよう告げるイエローカードだ。ここから学ぼう。ボラティリティは高まり、金利は上昇する必要があり、金融規律を取り戻さなければならない。世界経済はレッドカードを避けなければならない。
ダニエル・ラカジェ氏は経済学の博士号を持ち、『中央銀行の罠からの脱出』および『金融市場での生活』の著者である。トレシスのチーフエコノミストを務める。



