ドル高が進むなか、介入はあるのか?

A portrait of Benjamin Franklin on a U.S. One-hundred dollar bill is pictured at Interbank Inc. money exchange in Tokyo, in this September 9, 2010 picture illustration. The dollar neared a 15-year low versus the yen on Thursday as traders bet Japanese authorities were not yet ready to intervene in the currency market. REUTERS/Yuriko Nakao (JAPAN - Tags: BUSINESS EMPLOYMENT) - RTR2I3FR
Fears of a strong currency are by no means limited to emerging economies.Image: REUTERS/Yuriko Nakao
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自国通貨の為替レートを安定させたり、望ましい方向へ誘導したりするために外国為替市場へ介入しない中央銀行は、ごく一部に限られる。直接介入しない場合でも、各国の金利政策は、為替レートの目標と整合するように策定されることが多い。その結果、自由変動相場制の通貨は比較的まれである。ドルの為替レートが急上昇するなか、米国当局にとってこれは重大な意味を持つ。

通貨への信認が失われる可能性、あるいは実際の信認低下が大規模な資本流出を招く恐れがある場合、介入は通常、減価の幅や速度を抑えるために外貨準備を売却する形をとる。中国人民銀行で続く準備資産の減少は、最近の顕著な例である。弱いドルを支えるための米国による直近の外国為替市場介入(そもそも介入はまれだった)は、1992~1995年にさかのぼる。

これとは逆に、大幅な通貨高によって国際競争力が低下するとの懸念は、政策当局者や輸出志向の企業の間でさらに一般的かもしれない。通貨の過大評価への懸念は、2013年の時点でも多くの新興市場国の政策論議に広がっており、通貨高の流れに逆らう持続的な取り組みの結果、多くの中央銀行で準備高が記録的な水準に達した。

強い通貨への懸念は、新興国に限られたものでは決してない。ユーロ圏周縁国の危機が深刻化し、スイスフランに対するユーロの価値が急落した際、スイスの中央銀行は強いフランが経済を脅かすとして、2011年9月に事実上の為替レートのペッグ制を導入した。この政策は、必要な量の外貨を買い入れる用意があると中央銀行が表明したことで、ユーロに対するスイスフランの上昇に上限を設けた。準備高が驚異的に増加した後、上限は最終的に2014年12月に撤廃され、マイナス金利政策に置き換えられた。

米国もこうした懸念と無縁ではなかった。1980年代前半、連邦準備制度理事会(FRB)が過去に例のない利上げを行った後、ドルは他の主要通貨に対して約45%上昇した。ドル高の結果、米国の国際競争力は低下し、1985年には貿易収支が過去最低水準に落ち込んだ。

こうした展開を受けてプラザ合意が結ばれた。私の同僚のジェフリー・フランケルはこれを、評している。1973年にリチャード・M・ニクソン大統領がドルを変動相場制へ移行させて以来、外国為替市場で最も劇的な政策措置だった可能性が高いと。1985年9月22日、ニューヨークのプラザホテルで、米国当局者と世界の主要経済国の代表者は、ドル高を食い止め、反転させるために協調して行動することで合意した。主要国の政策協調があり、各国の声明に組織的な市場介入(米ドルの売却)が伴ったからこそ、これは合意と呼べるものだった。

実際にドルは下落したが、それをどの程度プラザ合意の成果とみなせるかについては、今なお議論がある。確かなのは、その議論が今日にも関係するということだ。

ドルは2011年7月の安値から、通貨バスケットに対して35%超上昇している。ドル高の一因として、ドナルド・トランプ氏が米大統領選で予想外の勝利を収めたことが挙げられているが、ユーロ圏と日本で金融緩和が続く一方、米国の金融政策が引き締めに向かっていることも反映している。

トランプ次期大統領は、関税の導入や既存の貿易協定の解体が必要になっても、米国の製造業を復活させると公約して選挙戦を戦った。しかし、ドル高はその公約を実現するうえで大きな障害となる。金融市場がドルを現在は過大評価されていると見て、上昇分を巻き戻し始める可能性はある。そうならなければ、再びプラザ合意のような協定を結ぶ時期が来るのだろうか。さらに重要なのは、誰が協力に応じるのかという点だ。

米ドルが累積で大幅に上昇したことを除けば、現在の状況と1985年との共通点はほとんどない。当時、日本の実質GDP成長率は6%を超えていた。今日、円高が続けば、日本銀行がインフレ率とインフレ期待を高めるために積み重ねてきたわずかな進展が、おそらく損なわれるだろう。公的債務の対GDP比が約250%に達するなか、インフレ率の上昇は、日本の債務過剰問題を解決する手段の一部となる可能性が高い。

一方、経常黒字が過去最高水準(GDP比8%超)に達しているドイツは、通貨高に耐えられるだろう。しかし1985年とは異なり、ユーロが現在の課題を乗り越えるシナリオでは、2017年に交渉の席に着くのはドイツ連邦銀行(ブンデスバンク)ではない。周縁国で再び危機が起き(主にイタリアで、銀行システムの脆弱さが資本流出を招いている)、その対応に追われる欧州中央銀行の立場から見れば、ユーロ安は天の恵みだ。

こうして、1985年の合意に不可欠な役割を果たさなかった中国が、今や世界第2位の経済大国として、ドル下落の負担を担うことになる。しかし、中国が最近資本規制を強化したことは、人民元のさらなる下落を防ぐという、すでに直面している課題の大きさを示している。さらに、プラザ合意後の円高が日本経済のその後の成績に及ぼした悪影響を踏まえると、中国が人民元高をリスクに見合うものと考える理由は明らかでない。

言い換えれば、トランプ政権の財務省がドル高を反転させたいと考えるのは十分あり得る一方、他の主要経済国が協力しないことも同じくらいあり得る。ドル高を受けて2017年に為替市場で介入が行われるとすれば、最も可能性の高いシナリオは、米国が単独で介入することだ。

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