『グローバルリスク報告書』の9年間

『グローバルリスク報告書』の9年間
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「 グローバルリスク 」報告書が2006年に発表されたとき、世界は、経済や社会に広範な影響を及ぼす金融危機の瀬戸際に近づいていました。最初の報告書の目的は、差し迫った短期的リスクを特定することよりも、政策立案者が10年間の時間軸で不確実性に対処するために必要な知見を提供することにありました。

それでも、過去9年間に報告書で取り上げられた脅威を振り返ると、世界を揺るがし、指導者間の新たな協力の形を求めることになった出来事の一端が見えてきます。

2007年、投資銀行ベアー・スターンズが破綻する1年前に、 資産価格の 下落は、発生可能性と影響度の両面で、世界的リスクの上位5項目の一つと特定されました。景気後退がもたらす広範な影響も専門家たちの懸念材料でした。専門家たちは2007年から数年連続で、 財政危機 が世界経済にもたらすさらなるリスクについて警鐘を鳴らしていました。 。

近年では、世界経済が直面する最も重大なリスクは失業と不完全雇用とみなされるようになり、 深刻な所得格差 は過去3年間、毎年、最も発生可能性の高い世界的リスクとして挙げられています。

世界経済以外にも、長年にわたり「 グローバルリスク 」に繰り返し現れる傾向から、世界が最大の課題と捉えているものがうかがえます。たとえば2011年、ほとんどの国が依然として景気後退からの脱却に苦闘するなか、専門家たちは発生可能性の高いリスク上位5項目のうち4項目を環境関連としました。同年、 気候変動 は影響度で2番目に高いリスクに挙げられ、問題への適応や緩和に向けた効果的な対策が講じられていないことへの懸念が高まっていました。

過去9年間の「 グローバルリスク」では、社会的リスクも大きな位置を占めています。所得格差と並ぶ恒常的なリスクとして、 水供給危機があります。これは2015年に初めて社会的リスクに分類されることになります。影響度では2012年と2013年に2番目、2014年には3番目に高いリスクとして挙げられました。

パンデミックも、「 グローバルリスク 」の状況に頻繁に登場してきました。2007年には、H5N1によって高病原性インフルエンザウイルスへの懸念が再燃するなか、 パンデミック は影響度で4番目に高い世界的リスクとなり、翌年も上位5項目にとどまりました。

2006年以降、「 グローバルリスク 」の上位に地政学的リスクが登場したのは時折に限られます。グローバル化からの後退は2007年と2008年に影響度で2番目に高いリスクとなった一方、 地政学的紛争 が影響度で上位5項目に入ったのは一度だけです。それは2011年で、3番目にランクされました。ベルリンの壁崩壊から25年が経ち、国家間の戦略的競争が激化するなか、2015年にこれが世界的リスクとして大きく取り上げられるかどうかは注目に値します。

リスク1
リスク2

個々のリスクに加え、過去を振り返ることで、専門家たちが世界的リスクを捉える見方に生じた、より大きな変化も見えてきます。下の表は、2007年から2014年まで各年の発生可能性と影響度に関するリスク上位5項目を示しています(2006年にはリスクの順位付けをしていません)。データを収集した最初の4年間は、青色で示された経済関連リスクが、両方の表でほぼ優勢だったことが分かります。興味深いのは、影響度では2011年から2104年にかけても経済関連リスクが大きく取り上げられている一方、発生可能性で評価すると、環境関連リスクと社会的リスクへの懸念の高まりに大きく取って代わられていることです。

環境への懸念や所得格差がもたらす社会的影響が経済的リスクを上回るように見える一方、リスクの地平には、ほかにも頻繁に現れる異質なリスクが見られます。2011年には、黄色で示された地政学的リスク、すなわち汚職と地政学的紛争の2項目があり、2013年にはさらに、 大量破壊兵器の拡散が加わっています。技術的リスクの台頭にも注目してください。2007年に専門家たちが、 重要情報インフラの機能不全 を人類を脅かす最も発生可能性の高いリスクと評価したことは、統計上の例外に見えたかもしれません。しかし2012年になると、紫色の四角が再び現れ始め、2014年にはインフラの機能不全とサイバー攻撃の両方がリスク上位5項目に入りました。

『グローバルリスク2015』は1月15日に刊行予定です。

著者:オリバー・カンは世界経済フォーラムのメディアリレーションズ担当ディレクターです

画像:2008年3月26日、晴れた午後、モスクワのクレムリン近くにあるマネージュ広場でフットバッグを楽しむ人々。REUTERS/デニス・シニャコフ

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