成功を遂げた国々は、農業から製造業へと資源を移してきました。緑の革命は世界の大半の地域に恩恵をもたらし、とりわけ東アジア・太平洋地域では、1960年から1990年の間に穀物の収量が4倍になりました。しかしアフリカはその恩恵を受けられず、農業生産性の向上が今なお進まないことが、地域全体の経済成長を妨げていると指摘されています。
では、アフリカの農業生産性を高めるには何ができるでしょうか。以下の8つの要因は、世界経済フォーラムの 『Africa Competitiveness Report 2015』に掲載された、アフリカ開発銀行による分析「Transforming Africa’s Agriculture to Improve Competitiveness」から導き出されたものです。
1. 高収量作物を開発する
アフリカ特有の土壌の種類を考慮した植物育種の研究を強化することが重要です。農業研究センターの CGIAR コンソーシアムによるこうした研究への1ドルの投資は、6ドル相当の便益を生むと推定されています。
2. 灌漑を拡大する
気候変動が気象パターンに及ぼす影響が強まるなか、灌漑の拡大が必要になります。灌漑農地の平均収量は、近隣の天水農地より90%高くなっています。
3. 肥料の使用を増やす
土壌の肥沃度が低下するなか、肥料の使用を増やす必要があります。政府は、適切な種類の肥料が適切な価格で、適切な時期に入手できるようにする必要があります。肥料に関する教育は環境への影響を軽減します。東アフリカでのこうした研修プログラムの分析では、平均所得が61%増加したことが分かりました。
4. 市場へのアクセス、規制、ガバナンスを改善する
道路などの農村インフラを整備することは、輸送コストや傷みやすい農産物の損失を減らし、生産性を高めるうえで欠かせません。また、食料補助金の削減など、農家へのインセンティブを改善すれば、農業生産を約5%増やせる可能性があります。
5. 情報技術をより有効に活用する
情報技術は、作物、肥料、農薬のより適切な選択を支援できます。また、土地や水の管理を改善し、気象情報へのアクセスを可能にし、農家を融資元につなぎます。異なる市場の作物価格に関する情報を農家に提供するだけでも、交渉力は高まりました。モバイル向け作物情報サービスを提供するEsokoは、所得を10~30%増やせると推定しています。
6. 遺伝子組み換え(GM)作物を導入する
アフリカでは、GM作物の導入は依然として限られています。特に欧州をはじめとする海外顧客の反発が障壁となってきました。しかし、アフリカの人口が急速に増加するなか、気象ショックに強い高収量のGM作物は、食料不安に対処する機会となります。 100件を超える研究の分析 では、GM作物によって農薬使用量が37%減少し、収量が22%増加し、農家の利益が68%増加したことが分かりました。
7. 生産性と包摂性を念頭に土地所有制度を改革する
アフリカには、世界で最も広い耕作可能な未耕作地(2億200万ヘクタール)がある一方、大半の農場は2ヘクタール未満です。これは、土地ガバナンスと所有制度の不備に起因します。アフリカ大陸での土地改革は成果がまちまちですが、多くのアフリカ諸国が潜在的な生産性向上を実現するには、所有権を明確に定義し、土地保有の安定性を確保し、土地を担保として利用できるようにする改革が必要です。
8. 農業バリューチェーン(AVC)への統合を加速する
国際的なスーパーマーケットチェーンの成長などを背景に、アフリカ経済は伝統的な換金作物から、
果物、野菜、魚、花へと段階的に多角化してきました。しかし、資金へのアクセス不足とインフラの未整備が進展を遅らせています。小規模農家をより大きな協同組合やグループに統合するうえで欠かせない政府の支援は、より広い市場との連携を促す他の分野でも必要となる可能性があります。 World Economic Forum on Africa 2015
は、6月3日から5日まで南アフリカのケープタウンで開催されます。
著者:Mark Jones、編集委託担当、The World Economic Forum Agenda

