過去30年以上にわたり、 世界経済フォーラムは競争力を研究・ベンチマーク化してきました。これは、国の繁栄を維持し、国民の生活の充実度(well-being)を向上させるための主要な原動力として広く認められています。
このような背景のもと、フォーラムは次のステップとして、競争力の向上を目指す、あるいは目指す予定の取り組みに関する情報を収集し、競争力に関する議論に資する情報を提供しています。
世界各地の7つの事例を紹介します。
1. 米国:Automotive Manufacturing Technical Education Collaborative
自動車製造技術教育連携 (Automotive Manufacturing Technical Education Collaborative、 AMTEC)は、コミュニティカレッジと大手自動車メーカーによる共同プログラムで、深刻な熟練労働者不足に対応するため、学生が自動車産業で必要となる高度な技能を習得できるよう支援しています。中等学校での早期勧誘を背景に入学者数は増加しており、2000年代半ばにトヨタがケンタッキー州で先駆けて導入した単一の職業訓練制度から、12州にわたる30の大学と34の工場を網羅する大規模プログラムへと発展しました。この有料プログラムでは、学生は週2日は教室で学び、週3日は実地訓練を受けます。訓練は、フォード、ゼネラルモーターズ、トヨタ、BMWが提供しており、いずれもカリキュラムの設計に関与しています。
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2. 欧州連合:European Innovation Partnerships
欧州では、イノベーションが市場で迅速に実装されることを妨げる要因が多くあります。例えば、資金調達の確保が困難であること、特許取得が高額であることといった不利な制度的条件、市場の分断、標準化の遅れ、人材不足、さらに取り組みの分散などが挙げられます。
欧州イノベーション・パートナーシップ( European Innovation Partnerships 、EIPs)は、2010年に開始された欧州委員会の一連の取り組みの一つで、研究・イノベーションの条件と資金調達を改善し、革新的なアイデアが主要な社会課題に対応する製品やサービスへと転換され、成長と雇用を生み出せるようにすることを目的としています。
EIPsは戦略的計画を策定し、イノベーションの過程を加速させるとともに、研究開発の成果やプロトタイプといった画期的成果と、その商業化・利用との間のギャップを埋めます。これまでに5つが立ち上げられており、対象は、活動的で健康的な高齢化、農業の持続可能性と生産性、スマートシティ・コミュニティ、水、原材料です。
民間パートナーはガバナンスと実施に参画します。自社の資源を投入して提携の活動に貢献するとともに、将来の法律、標準、調達に影響を与え、より大きな市場にアクセスする機会を得ます。
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3. インド:Infrastructure Leasing & Financial Services Ltd
広範な人口移動と若年層中心の人口構造により、インドは2030年までに労働年齢人口が2億7,000万人増加します。同国の人口の60%以上は40歳未満です。インドが直面する重要な課題は、雇用主が求める技能を若者に身につけさせ、インドの成長と貧困削減に貢献できる人材を育成することです。
大手インフラ企業が2007年に営利事業として設立した、 Infrastructure Leasing & Financial Services Ltd (IL&FS Skills)は、農村部出身の若者を16の戦略的分野で訓練し、全国的な技能ギャップの解消を目指しています。官民パートナーシップモデルを採用し、1,000の提携企業および国が出資する National Skill Development Corporationと緊密に連携しています。
IL&FS Skillsはインドの28州のうち24州で研修機関を運営しています。これらは業界で認められたカリキュラムに沿って訓練を行い、受講者が就業できる状態に整えています。多くの場合、就職は提携企業によってあらかじめ保証されています。これまでに、18の「ハブ」技能学校と355の「スポーク」技能センターで10万人の学生が訓練を受け、85%が就職に成功しています。
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4. チリ:Start-Up Chile
長らくチリは鉱業、サーモン養殖、その他の伝統的産業に依存してきましたが、近年は政治的な意思のもと、同国をラテンアメリカのイノベーションと起業の拠点へと転換しようとしています。 Start-Up Chile は、2010年に設立されました。世界で最も優秀で意欲的な起業家を誘致し、国内のスタートアップの数と質を高めることを目的としています。
年間平均予算は1,100万ドルで、Start-Up Chileは毎年、プログラムに100枠を提供しています。毎回、世界から1,500件を超える応募があります。選ばれたスタートアップには、それぞれ4万ドル、1年間の就労ビザ、そして協働する意欲のある800社超のスタートアップのコミュニティへのアクセスが与えられます。これまでに、このスキームのもとで750社超の企業と1,500人超の起業家がチリを訪れています。
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5. モロッコ:Education for Employment
中東・北アフリカ地域(MENAとも呼ばれる)は、世界で最も高い若年失業率に直面しており、中東では27.2%、北アフリカでは29%超です。
Education for Employment (EFE) は、地域の失業中の若者に経済的機会を創出するNGOのネットワークです。世界水準の専門的・技術的訓練を提供し、直接的に雇用や起業支援につなげています。
EFE-Marocは200の企業と提携し、熟練した初級レベルの従業員を提供しています。2013年末までに、6,600人の若者(その半数が女性)がEFE-Marocの就職支援プログラムを修了し、約5,000人の学生が求職スキルの研修を受け、860人超の若者が就職しました。
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6. フィンランド:VIGO Venture Accelerator Programme
「フィンランドのパラドックス」と呼ばれるものは、フィンランドが強力なイノベーション能力と制度的能力を有しながら、新たな高成長のスタートアップを世界市場に送り出すことに成功していない状況を指します。
従来、フィンランド政府は、革新的なスタートアップの資金ギャップに対し、自ら資本を市場に提供することで対応してきました。
政府は、ベンチャー・アクセラレーター・プログラム「 Vigo 」を2009年に開始しました。成功した連続起業家、いわゆるアクセラレーターの助けを借りて、スタートアップが迅速に世界市場へ参入できるよう指導することを目的としています。開始以来、アクセラレーターのチームは、60の対象企業のために合計2億ユーロの資金を調達しています。
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7. 韓国:Meister Schools
韓国は、学歴過剰で技能が不足した労働市場に直面しています。具体的には、韓国人の42%が自身の職に対して学歴過剰です。同時に、中小企業(SMEs)の20%が技能不足を報告しています。特に技術職の不足が深刻であり、従来は専門高校がこれを供給してきました。
このような労働力不足と若年失業の併存は、労働市場における需給の技能ミスマッチの存在を示しています。
2010年に設立されたマイスター・スクールのネットワークは、高度な技能を要する製造業やその他の分野の仕事に若者を就かせるために特別に設計されました。
また、こうした職種の地位向上も促しています。学生は授業料が無料であり、ドイツ語で熟練の職人を意味する「マイスター」と呼ばれる若い人材として位置づけられます。
その後、学生はインターンシップや現場実習に参加し、早ければ1年目の終わりに内定につながることもあります。卒業時には、2年分の就業経験もしくは地域大学(コミュニティカレッジ)での経験に相当する資格を得ます。マイスター・スクールはまだ新しく、韓国の全高校の2%未満を占めるにすぎません。
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次の報告書をお読みください: Global Competitiveness Report 2015-2016


